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井上順がアンミカとの対談で語った前向きな生き方 ありのままの自分を受け入れ難聴もオープンに「ぼくは生きているだけで四六時中ハッピーなの」

井上 順さん&アンミカさん
井上順さん&アンミカさん(撮影/田中智久)
写真3枚

野獣会との出会いからザ・スパイダース加入まで、人との縁が人生を導いたと語った前編。後編では、50代で難聴になったショックすらも前向きな気持ちに切り替えていく生き方に、アンミカさんと共感の輪が広がります。ポジティブ対談のスタート!

アンミカ:私、順さんのフィンガーペイントの作品が、温かな空気を感じてすごく好きなんです。

井上:うれしいな、コロナ禍で家にいることが多い時期に、知人が36色の絵の具を贈ってくれたの。それがきっかけだから、始めてからそんなに経ってないんです。

アンミカ:絵はもともとお好きだったんですか?

井上:絵はヘタクソ。でも、絵の具をもらって少し経ったあるとき、目の前にあったマスカットを見ながら親指に絵の具を付けて、母印を押すようにグッグッグッと押し付けてみたんです。そしたらマスカットの出来上がり! 天才かもしれない、と思って(笑い)。

アンミカ:そこから描くのが楽しくなっていったんですね。

井上:そうなの。頼まれることも増え始めて、100枚くらいはプレゼントしたかな。近所のお店に飾ってあったりするんですよ。

アンミカ:福の神が宿りそう!

井上:「本当にこんなの飾って大丈夫かい?」って言ってるんだけどね。でも自分が描いた作品で人が笑顔になるのはとってもうれしいことだよね。

アンミカ:ぜひ展覧会を開催してほしいです!

井上:ずっとお世話になっている渋谷区にお返しの気持ちとして、今年まさに展覧会を渋谷区のどこかで開催できたらいいなと思っているの。やることになったらアンミカさんにお声がけするね。

アンミカ:楽しみにしています!

アンミカさん
アンミカさん(撮影/田中智久)
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三谷幸喜さんの心温まる計らい

井上:そういえばアンミカさんは、結婚してどのくらい?

アンミカ:15年目になりますね。

井上:ぼくは1回だけ、20代の頃に結婚したことがあって14年続いたの。ウチよりも長いね!

アンミカ:順さんより先輩なことをひとつだけ、見つけました!

井上:あははは。

アンミカ:いまは再婚へのお気持ちがあったりはしますか。

井上:パートナーはずっといますよ。女性との時間が楽しみで毎日過ごしているようなぼくですし、せっかく生まれてきたんだからひとりじゃなく、人とかかわっていたいじゃない。もう随分長い関係になりますね。

アンミカ:お相手といい関係を築かれているのが伝わってきます。

井上:すごくいい刺激を与えてもらっています。年が30才くらい離れているんですよ。それもあって、ぼくにはない感性があるから話すと刺激になるし、「順さん、いまはこういう感じですよ」なんて世間の流行も教えてくれてね。

一緒にいると若い気持ちでいられるというのかな。彼女のためにも長生きしたいから、健康でいようと暴飲暴食もやめました。食べるのも、飲むのも、大好きなんだけどね。

アンミカ:私もお酒とのつきあい方を最近変えました。翌日に響いてベストなパフォーマンスができないと、お仕事をいただいたのに申し訳ないですし、自分をいたわれるのは自分だけですからね。

井上:本当だね。50代は体の変化が出始める年代ですよね。ぼくは50代半ばで耳にきました。最初は人の言葉が元気なく聞こえて、「ごはんをちゃんと食べているのかな」「最近の子はお腹から声を出さないんだな」なんて勝手に心配していたの(笑い)。ところが、耳鼻科へ行ったら感音性難聴と診断されて。「そうですか。じゃあ先生、治療をよろしくお願いしますね」とのんきに返事をしたら、「順さん、この難聴は治らないんです」と言われました。

アンミカ:こんなに会話を楽しまれる順さんが、望みがないと宣告されたお気持ちを思うと…。

井上:いつも明るいぼくだけど、さすがに落ち込みましたね。人と話をしても聞き返すのが億劫だし、何度も聞き返すのは失礼だと思って、だんだん自分から引くようになってしまったんです。

アンミカ:目の前にいらっしゃる順さんからは想像がつきません。

井上:そうだよね。ぼく自身もあるとき、“あれっ、井上順はこうやって引きこもる人間じゃないよな”とはたと気づいたの。それからはありのままの自分を受け入れて、気にせず「難聴でーす」とオープンにするようになったんです。

アンミカ:ご本人がカラッと語られたら、周りも声をかけやすいですね。

井上:実際、「順ちゃんは難聴だから大きな声で話しましょう」と気遣ってくださったり、事情を承知で「それでも出てもらいたいんです」とお仕事をいただいたり。難聴のおかげで人のやさしさに包まれて、勿怪の幸いというのかな、ありがたいと感じています。

アンミカ:三谷幸喜さんからも心温まるお計らいがあったそうで。

井上:NHK大河ドラマの『真田丸』(2016年)のときね。三谷さんから出てほしいと連絡をいただいて。「戦国時代に補聴器をつけた人がどこにいるのよ」と言ったら、「大丈夫、心配ありません」って。どういうことなんだろうと撮影に行ったら、頭巾をかぶった茶人役でした(笑い)。

アンミカ:三谷さんのウイットなやさしさがじわっと染みますね。落ち込む出来事でも順さんのようにその中から「LUCKY」や「HAPPY」を見つける目が持てたら、日々をもっと朗らかに過ごせそうです。私も講演などで「毎日あったいいことを書き留めて、自己肯定感を上げていきませんか」とよく話しているんです。悲しみやつらさではなくて、心が弾むうきうきを刻んでいきましょうって。

井上:そう、幸せな気持ちは自分が決めるものですよね。

井上 順さん
井上 順さん(撮影/田中智久)
写真3枚

アンミカ:順さんはその笑顔で周りをたくさんハッピーにしていますが、順さんご自身はどういうときにハッピーを感じますか?

井上:ぼくは生きているだけで四六時中ハッピーなの。だから、いつだって笑顔。ぼくの家族はすごく団らんが多かったんだけど、兄さん、姉さんと年が離れているから、子供の頃は話についていけないこともあってね。みんなが笑ってるけど、どうして笑ってるのかわからない。でも家族の笑顔を見ているだけで楽しい気持ちになるから、一緒になって笑ってたの。そんな子だったから、幼稚園で先生に「あらぁ老けた子ね。笑いじわができているわ」と言われました(笑い)。

アンミカ:順さんらしい! 脳は顔にいちばん近い筋肉だから「笑顔でいると“笑い脳”になって幸せな気持ちになれる」と母に教わったのを思い出しました。

井上:素敵なお母さんだ。いつも天真爛漫なアンミカさんでいてほしかったんだね。

アンミカ:はい、感謝してます。

井上:アンミカさんの笑顔、素敵ですもんね。周りへの感謝や真心を絶やさないから和やかな雰囲気に人が集まってくるし、頑張り屋さんで誠実な仕事ぶりが信頼されるんだと思います。

アンミカ:順さんにそう言ってもらえると、本当にうれしい。ありがとうございます!

365日毎日が穏やかで楽しい

アンミカ:笑顔といえば、順さんのXでは季節の移ろいや日常の幸せがユーモラスに投稿されていて、クスッと笑ってしまうこともあります。SNSを始めたきっかけは何だったんですか。

井上:ぼくは渋谷生まれの渋谷育ちで、地元のイベントをお手伝いする機会が多かったものだから名誉区民に選んでいただいたんです。何かお返しをしなくちゃと考えて、ぼくが感じた渋谷の魅力を発信してみたいと思って始めました。

アンミカ:麻辣湯やヴィーガン寿司など新しいグルメに挑戦したり、新スポットをパトロールしているのも印象的です。

井上:それが楽しいのよ。ヴィーガン寿司は9割が外国からのお客さんでした。昔は旅行客には銀座や六本木が人気だったけれど、最近は「シブヤへ行きたい」と言うらしいね。自治体や渋谷警察署の皆さんのおかげで、意外かもしれませんが犯罪発生率が低いのは渋谷区の自慢です。

アンミカ:SNSの投稿にも順さんの地元愛があふれています。そんな順さんが、平和を感じるひとときを聞かせてください。

井上:もうこの年だから言えることだけど、目覚めたときだね。朝早く目覚めちゃうんだけどさ、「ああ、今日もまた生かしてもらえた! 24時間いただけたよ!」って毎朝思いますよ。そういう感謝の気持ちとともに起きると、元気に一日をスタートできますね。

アンミカ:感謝を忘れない心がポジティブな毎日につながっているんですね。朝起きてからのルーティンはありますか?

井上:起き上がったらコーヒーをいれて、スクワットをして、わが家は観葉植物が多いので朝のハグをしにいきます。「新しい一日が来てうれしいね」なんて声をかけてまわるんですよ。

アンミカ:なんて素敵! 鉢植えでも切り花でも、声をかけると頑張って長持ちしてくれますよね。

井上:さすがアンミカさん。ウチの古株は30才を超えるゴムの木でね、いまの住まいへ越す際に「大きいから一緒に連れて行けないかな」とポツンとつぶやいたら、青々としていた葉っぱがみるみる茶色くなっていったの。栄養もお水も足りているはずなのに、どうしてだろうと考えて、そうか、生きているんだと気づかせてもらったんですよ。すぐ「ごめんね。大丈夫だよ、連れて行くからね」と声をかけたらまたグリーンに戻った。これぞ“葉ッピーエンド”。

アンミカ:出ました、Xでもおなじみのダジャレ(笑い)。心が通じたようで、愛着が増しますね。

井上:愛おしくなっちゃって、ただのゴムの木じゃあ失礼だと名前をつけたの。ぼくらの話を見聞きしているルームメートだから「壁に耳あり障子に目あり」になぞらえて、つがいで“ミミちゃん”と“メアリーちゃん”にしました。

アンミカ:あはは! 洒落が利いていて、名前で呼びかけるだけで愉快な気持ちになりそう。

井上:ルームメートはまだまだいますよ。部屋を掃除してくれるロボットは“オネッティ”。

アンミカ:きっとこれも洒落が利いているはずですね。

井上:掃除機、ソウジキ、ショウジキ…。

アンミカ:正直=honestyでオネッティ!

井上:大正解!オネッティもその日の調子で家具の脚にぶつかったりするから、「今日はよく当たるね」なんてなぐさめたりしてね。

アンミカ:順さん、おちゃめすぎます! 心の余裕が感じられて、いつも笑顔でいらっしゃるのが納得です。私も持ち物に名前をつけて呼んでみようかな。

井上:よく年の瀬に、今年の漢字を書くじゃない。ぼくの去年を一字で表すと「穏」。いやだなと心がささくれ立つ日が1日もなくて、毎日が「穏」やかだった。その境地が今年に入ってからもずっと続いているんです。

アンミカ:365日穏やかだなんて、うらやましい。心を乱す出来事に遭遇しても、嫌悪感ではじき返さない心のクッション性をお持ちなんですね。なにより人生を楽しむ達人でいらっしゃる。今後はどんな夢や目標を描いていますか。

井上:好奇心が強いから、興味が向くものをいっぱい見つけて輝いていたいと思います。79才ですが、いくつになってもピョーンと飛び跳ねられる身軽さを持っていたいな。そうして、出会った皆さんにお返しをして、お世話になりました~♪と陽気に歌いながら、ポックリ旅立つのが理想です。

アンミカ:すべての出会いに感謝をしながら、笑顔で自分らしく人生を貫く。順さんをお手本に、私も後半生をもっともっと楽しんじゃえる! と希望が湧きました。

井上順さんのHLLSPD

井上順さんに、Happy、Lucky、Love、Smile、Peace、Dreamについて答えてもらいました。今回はSmile、Peace、Dreamについて直撃!

Smile:あなたを笑顔にする宝物は?

人の笑顔が幸せを与えてくれます

Peace:心が穏やかになる趣味や場所は?

笑顔の見える場所

Dream:子供の頃の夢は?

よく「太陽」と言っていたと家族が教えてくれました。

◆モデル・俳優・アンミカ

アン ミカ/1972年生まれ。1993年パリコレ初参加。モデル業以外にもテレビ・ラジオMC、俳優、歌手、テレビCM出演と多彩に活躍。「日本化粧品検定1級」など20個以上の資格を生かし、化粧品、洋服、ジュエリーなどをプロデュース。

◆俳優・井上 順

いのうえ じゅん/47年生まれ。1963年、ザ・スパイダースに加入し、グループサウンズブームを牽引。解散後は、ドラマ『ありがとう』出演のほか、『夜のヒットスタジオ』では司会を担当。現在も役者などエンターテイナーとして多岐にわたって活躍中。

構成:渡部美也 衣装:ガウン、パンツ/ともにレオナール ブラウス/マレーラ ピアス/アビステ(アンミカさん)

※女性セブン2026年4月30日号

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