《絶対に後悔しない最期のために…》70才以降のお金との向き合い方 節約に走るのではなく「自分で貯めたお金を使いきる」ことが大切 いちばん不要なものは「がまん」
70才からの終活はお金だけなく「気持ち」も整理
70才は、自分の財産を整理すべきタイミングでもある。まず行うべきなのは、預貯金や株式、生命保険といった財産が「どこに、どれだけあるか」を確かめること。このとき、不要なものや損になるものは解約することも忘れずに。
「昨年息子に言われて財産の整理を始めたら、超低金利時代の定期預金をいくつも持っていることに気づいたんです。いらない口座は70才の時点で解約しておけばよかったと、つくづく後悔しました」(鎌田さん)
75才からは後期高齢者となり、認知機能や判断力が低下しはじめる人が増えてくる。その前に「家族が探せない財産」の整理も、忘れずにしておきたい。
「特にわからなくなりやすいのは、ネット証券やネット銀行などのデジタル遺産です。スマホやパソコンのパスワードがわからないと、口座の存在すら知られないままになってしまうので、紙のメモに残しておきましょう」(三原さん)

財産とあわせて、自分が受けている医療や薬の情報、緊急時の連絡先などもまとめて共有しておこう。行政書士で相続・終活コンサルタントの明石久美さんが言う。
「救急医療や介護が必要になったときの希望も忘れずに伝えておきましょう。
特に胃ろうや人工呼吸など延命治療にかかわるものについては、理由も明確に。私の場合、キンモクセイの香りが大嫌い。もし意思表示ができなくなって入院した際、病室にキンモクセイの香りのものを持ち込まれたら、嫌とも言えずに苦しむことになる。そうした個人的な嗜好も伝えておきましょう」
最期の瞬間まで後悔せずに生ききるため、欠かせないことは何か—人生の最終盤を見据えて、鎌田さんが語る。
「この年まで生きると“いつ死んでもいい”と思っています。同時に、生きている限りは、おいしいものや楽しいことに、最期までできるだけ貪欲でいたい。
この世で貯めた財産はあの世に持って行けません。怒りや苦しみや恨みも、あの世には持って行きたくない。そう自分に言い聞かせながら、できるだけ脳天気に、がまんせずに生きるのがいちばんいいのです」
70才を過ぎてから、いちばん不要なものは「がまん」なのだ。人目を気にして、誰かのために頑張り続けるのはもうおしまいにしよう。
「特に、私の母の世代、つまりいまの70〜80代の女性は、若い頃からずっと、夫や子供のために自分を犠牲にしてきた人がとても多い。もう自分を解放して、自分に正直に、好きなように生きてほしいと心から思います」(明石さん)
好きなように生きていれば、80才を過ぎてからも衰えるばかりではない。帯津三敬病院名誉院長で医師の帯津良一さんは知力や体力が満ちていた60代を過ぎて70代に入ると一気に体力の低下を感じた。だが80代になると“むしろ若返った”という。
「死後の世界が近づいてきたら、先に亡くなった人たちに会いたい、自分も死後の世界に行きたいと考えるようになり、老化や死を受け入れられるようになったのです。するとたちまち、70代の頃のくたびれた感覚がなくなり、体力も回復しました。
そうして、自分なりに老いと死を受け入れながら、最期まで歩むことを、私はアンチエイジングならぬ“ナイスエイジング”と呼んでいます。70代から80代にかけて必要なのは、自分らしく好きに生きることなのです」(帯津さん)
年齢を重ねて、はじめることとやめること。そのバランスを上手にとることが後悔しない最期につながるのだ。


※女性セブン2026年4月30日号