子供に連絡しないケースが増えている
記憶から消そうとしているかのようにも見えた息子の存在。だが相続に関してはそうはいかない。遺産分割の調停・裁判件数は年々増え続け、2024年には直近8年間で最多の1万9550件に上った。相続問題はもはや誰にとっても身近なトラブルになりつつある。
生前、遺言書の作成を公言していた中尾さん。念入りに終活を進めていた彼の遺言に、遺産相続に関する記述がまったくないことは考えにくい。相続に詳しい司法書士の椎葉基史さんが解説する。
「仮に“全財産を配偶者に相続させる”という旨の遺言を残していたとしても、子供には『遺留分』として法定相続分の2分の1を受け取れる権利が残ります。中尾さんのケースでは法廷相続人が2人なので、子供は遺産の4分の1を受け取る権利がある。疎遠になっているとはいえ、基本的には法定相続人の存在を無視して相続の手続きを進めることはできません。住所がわからない場合は、専門家に依頼するなどして連絡をとる必要があります」
ただ近年、中尾さん夫婦のように、疎遠になった子供と連絡をとらずに、そのまま相続を進めてしまっているケースが増えているという。
「その場合、後々、子供(法定相続人)から遺留分を請求される可能性があります。遺留分は現金での支払いになるため、手元にお金を用意しておく必要がある。遺留分の請求には期限があり、遺族や専門家からの連絡で“遺留分があることを知ったときから1年”、もしくは被相続人が亡くなってから10年とされています」(椎葉さん)

中尾さん亡き後も池波は夫の書斎を整理するなど、ひとりで終活を進めている。
「相続問題の存在は知っているはずです。ですが池波さんからしてみれば、会ったこともなければ連絡したこともない相手に、どうアクションを起こせばいいのかわからないというのが本音でしょう。それにお金が絡むことなので、生々しいやりとりになる可能性もある。長男側から連絡がないこともあって、“棚上げ”している状況なのかもしれません」(前出・池波の知人)
中尾さんと池波の所属事務所に相続の手続きについて尋ねたが、期日までに回答はなかった。池波の終活はまだ終わらない──。
※女性セブン2026年6月4日号