
食べ盛りの子供に、お腹いっぱいご飯を食べさせてあげたい。親なら、誰しもがそう思うだろう。しかし、こと勉強においては、その親心が子供の集中力を奪ってしまうこともあるようだ。学習時間や塾選びばかりに目が向きがちな受験戦争の中で、「食事の工夫」が必要不可欠だということはあまり知られていない。難関中学を突破した家庭を取材すると、食事と学力の意外な関係が見えてきた。
■糖質制限で掴んだ御三家合格
都内在住の主婦・中村真希さん(仮名・43才)の長男は、昨年、“神奈川御三家”と呼ばれる名門中学に見事合格した。
「男の子ですし、息子にはご飯をたっぷり出していました。よく食べる子で、白米が大好き。大盛りのお茶碗で2〜3杯はぺろりと平らげます。勉強して頭を使うから糖分も必要だろうし、それが当たり前だと思っていたんです」
そんな中村さんの食卓は、ある出来事を契機に一変する。3年生の頃から通い始めた進学塾の“ママ友会”だ。
「息子が塾で仲良くなったお友達のママたちと話し込んだ際、一番成績が良かった子のママが『夜遅くに白米をたくさん食べると、脳が重くなって翌日の集中力に響くことがある』とおっしゃっていて。食べ盛りの男の子なのに、本当かしら? と半信半疑でしたが、確かに過度な糖質はよくないのかもしれないと思うようになって。息子とも相談しながら少しずつ白米を減らして、タンパク質のおかずを増やしていきました。糖質制限の基準は1日60グラムとされているようなのですが、小学校の給食だけでこの数値に達してしまうので、家ではパンやご飯を極力出さないようにしたんです」
糖質60グラムとは、お米だとお茶碗一杯ほど。長男の食生活はガラリと変わったが、その効果を実感したという。
「息子はリビングで勉強させていたのですが、どこか注意力が散漫で。『雑音が逆効果なのか?』と思っていました。ところが食事を変えてから、集中力が見るからに変わったんです。自分から机に向かう時間が増えて。息子自身も何か感じていたのか、『眠たくなるからおやつはいらない』なんて言うようになりました」
東京都在住の主婦・大野智子さん(仮名・48才)も、中学受験を機に食卓を変えた一人だ。朝はご飯と味噌汁と納豆。夕食も焼き魚など和食中心に。乳製品は食卓から消したという。
「娘はもともと少しお腹を下しやすい子で、ずっと心配していました。牛乳が体に合わないのはわかっていたので、牛乳そのものは飲ませていませんでした。でもグラタンやシチューは娘も好きだったので普通に出していて。それも、思いきってやめてみたんです。小学5年生の夏前だったと思います」
変化は、思いがけない形で現れた。
「ぴたっとお腹を下さなくなったんですね。やはり、乳製品がずっと娘の体に負担をかけていたのかもしれないなと。体調がよくなったことで気持ちも上向いたのか、模試の成績が、少しずつ上がっていきました。担当の先生にも『最近、ぐっと伸びましたね』と驚かれて。無事、第一志望だった附属中に合格できました。もちろん娘の頑張りが一番ですが、食事面などの工夫で少しでもサポートしてあげられたのかなと思っています」