
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第6話:初めて男の部屋に招かれた女の悲劇の話【前編】

克弥は昭和医大で空手部に入部した。今まで腕力には頭脳で対抗してきたが、強さへの憧れは心のどこかにずっとあったので、始めると夢中になった。そして夜は麻雀である。同級生の大半が勉強する気など微塵もないので、メンバーには事欠かない。ゆえに克弥の大学生活は空手と麻雀に明け暮れることとなった。
「空手部の新歓コンパで初めてお酒を飲まされたんだけど、気がついたら便器に顔を突っ込んで寝てたんだ」
「そんなに飲んだの?」
シヅが驚く。知り合って1週間目の今日、世田谷区上野毛にある克弥のアパートに初めて招待された。
布団のない炬燵テーブルを挟んで座る二人。なぜ春に炬燵テーブルかというと「麻雀に最も適しているから」との、どうでもいい説明を克弥から聞かされた後だった。
「いや、2杯目までしか覚えてないんだ」
克弥は初めて自分が酒を全く飲めない体質であることを知ったという。
「シヅさんはお酒飲むの?」
「私は飲めるけど、全然好きじゃない」
「僕たち、共通点が多いね。嬉しいなあ」
窓から差し込む春の夕焼けが二人の影を大きくしていく。ふと会話がなくなった瞬間に窓の外で鳩が歌うように鳴き始めた。
「近くに鳩の巣があるの?」
「上の部屋の大家の息子が、伝書鳩を飼っているんだ」
シヅが立ち上がって窓の外を見る。そして振り向いて言った。
「晩御飯どうしようか?」
すると克弥が意外なことを言った。
「チャーハン作ろうか?」
「えぇ!? 克弥くんお料理できるの?」
「キャベツチャーハンなら…」
小声になる克弥を見てシヅは「今日のために練習してくれたんだ」と思った。初めて女の子を部屋に呼ぶもてなしが手料理とは、微笑ましいサプライズである。
「じゃあ、行こう」
克弥が靴を履いて玄関を出る。
「え? どこに? 作るんじゃないの?」(中編につづく)
最新話は発売中の女性セブン本誌に掲載!
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年7月9・16日号