
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第7話:デリカシーのない初夜の話【前編】
克弥の部屋のドアが開くと同時に、ガヤガヤと3人の男が入ってきた。
「たかすー、もういいか?」
「あの後、大家を宥めるの大変だったよ」
「星野さん、こんばんは」
シヅも顔馴染みの同級生である。克弥は嬉しそうに迎え入れ、部屋は急に狭くなった。
「しっかし、星野さんが高須と付き合っているとはなー」
「ほんと、みんな星野さんを狙っていたから残念がってるよ!」
「星野さんは高須のどこが…あ…す…すき…なの…」
3人目の同級生がシヅの表情に、言葉を失っていく。
「シヅさん、どうしたの?」
克弥が間抜けな質問をしてきたが、今はマヌケを構っている場合ではない。シヅは無視して同級生に向き直った。
「私は克弥くんとまだお付き合いをしていません!」
男たちが息を止めた。お淑やかなイメージしかなかったシヅが初めて見せる剣幕に、己の早とちりを後悔する。シヅは続けた。

「でも今日からお付き合いをすることにします。初めて女の子を部屋に招待した夜に友達を呼んで麻雀をしようなどというデリカシーのない男でも構いません。その想像もできない行動を楽しむことにします。そして今夜はここに泊まりますので皆さんはお引き取りください。あと、このチャーハンはすごく不味いです!」
同級生たちを追い出した後、克弥がか細い声で「ごめんね」と謝ったので、シヅは少し意地悪をすることにした。
「何がごめんね、なの?」
「友達が付き合ってるって誤解したことと、今夜泊まってくれるなんて思っていなかったこと。あとチャーハンが不味かったこと」
沈黙の後、やはりシヅは吹き出してしまった。それを見て許されたと思ったのか、克弥は調子を取り戻した。
「シヅさんはどこまで逃げてたの? 帰ってくるまで随分時間がかかったね?」
「心配した?」
「シヅさんなら大丈夫だと思った」
シヅも克弥のことは全く心配しなかった。
「この人は何があっても切り抜けるだろう」
と、根拠のない自信があった。
──なんなんだろう? この感覚は?
胸焦がれるような気持ちは微塵もないし、ドキドキもしない。それでもこれが私の恋なんだろうとシヅは思った。
その夜、二人は一つの布団で寝て、結ばれた。お互いが初めての夜だった。(中編につづく)
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年7月23日号