健康・医療

《長生き血管を目指すために》大切なのは「動脈硬化を遅らせる」こと 減塩と脂質をコントロールする食生活、1日30分の早歩きで血管の柔軟性をキープ

1日30分の早歩きが血管をやわらかに

 動脈硬化、ギトギト血液から生まれるプラーク、そして高血圧といった複合的な要素により「早死に血管」がつくられる。すなわち、「長生き血管」を目指すうえでもっとも大切なのは、動脈硬化を遅らせることだと名医たちは口を揃える。そのためにまず気をつけたいのは食生活の改善だ。減塩と脂質をコントロールするのが重要だというのは、渡辺さんだ。

「なるべく青魚を食べて、血液中の炎症を抑えて血管を守ってくれるEPA、DHAなどのオメガ3系脂肪酸を摂取しましょう。

 肉を食べる場合も、脂身の少ない種類を選ぶべきです。牛肉や豚肉の脂身は血中の中性脂肪と悪玉コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を進行させてしまう。肥満になると睡眠時無呼吸症候群にもつながり、血圧上昇でさらなる動脈硬化の加速が危惧されます」

 食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」は血管に大きなダメージを与えるが、野菜を摂取することで急上昇を抑えることができる。1日に350g以上が推奨されているが、選ぶ種類も工夫したい。

「ごぼうや枝豆など食物繊維の多い野菜を食べることで、糖やコレステロールの吸収を抑えられます。さらにブロッコリー、トマト、なすなどは抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれるため、血液や血管の酸化を抑えて動脈硬化を予防するうえでとても有用です」(渡辺さん・以下同)

 高血圧も動脈硬化の大きな一因だ。近年、日本高血圧学会では、尿中のナトリウム量をカリウムの量で割った比率「ナトカリ比」をコントロールすることで、高血圧を防ぐ方法が推奨されているという。塩分摂取量が多ければナトカリ比が高くなる。

「カリウムは体にたまった塩分を体の外に排出して、血管を拡張して血圧を下げる働きがあります。

 尿の中のナトカリ比は2〜4未満が推奨されており、塩分を摂りすぎた場合は、カリウムを多く含むみかんやりんご、バナナなどを食べることで高血圧予防になります」

早歩きが血管の柔軟性を高める(写真/PIXTA)
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 食生活に加えて、運動習慣も身につけたら「長生きする血管」への距離はぐっと近くなる。米国心臓病学会誌によると、1日30分の早歩きが血管の柔軟性を高めるというデータがある。山形県立保健医療大学の理事長・学長の上月正博さんが解説する。

「安静時と比べて心拍数が20〜30程度上がるくらい、目安としては息が弾む程度の速度で30分歩きましょう。理想としては週に5回、トータルで150分ですが、1日だけでも翌日の採血で血管の柔軟性が優位に高まっていたというデータもあるので、おすすめだといえます」

 散歩はタイミングも重要だ。朝に行う人も多いが、早朝に活動し始めることで、かえって体調が悪化してしまうケースもある。

「脳梗塞や心筋梗塞は午前中に起こるケースが多いです。薬が切れやすいタイミングであることに加えて、起床時に副交感神経から交感神経に切り替わり、そこで交感神経が異常に活発化すると不整脈が起きやすくなるという仕組みです。早朝の散歩は危険なので、せめて朝食後にしましょう」(上月さん・以下同)

 生活習慣のコントロールに加えて、自身の血圧を毎日記録することで、体調悪化を予防できる可能性が高まると、上月さんは続ける。

「自宅でリラックスした状態で『家庭血圧』を毎日測りましょう。薬の影響がいちばん小さい早朝の計測(食前・薬服用前)が推奨されます。季節によって血圧は上下するため、薬によって上がりすぎたり下がりすぎたりする場合があります。数値を自分で把握しておけば、かかりつけ医に薬を減らすなどの調整を相談できます。

 病院で測ったときだけ高い『白衣高血圧』、逆に病院でだけ低い『仮面高血圧』もあります。腎不全や睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れている場合も。特に女性は更年期で血圧が変動する。いままでは大丈夫だったからと慢心せずに、血圧の変化をしっかり確認してください」

(後編に続く)

※女性セブン2026年7月9・16日号