《知っていれば救われる“老後準備”》大事なのは「いつまでも歩ける体をつくること」、脳への刺激となる「会話力」も重要 健康長寿をもたらす“社会や人とのつながり”

日ごとに年を重ね、老い、最期に向かっている私たち。人生100年時代、人はより長く生きられるようになっているが、80代、90代という“未経験”の長寿に不安を覚える人も多い。どんな準備をしておけば安心して老後を送り、長寿時代を生きられるのか。上手に老いるための備えを知っておこう。【全3回の第3回。第1回を読む】
筋力や体力より「片足立ち」
いつまでも健康で活力のある老後を送るためには、体力をつけ、いつまでも歩ける体をつくることが大事だ。理学療法士の土屋元明さんは「体力の衰えを感じるのは50代から」と話す。
「50代頃から視力の衰えなどだんだんと老化を感じ、階段で息切れしたりふらつくなど顕著な症状が出るのは70代頃です。体力というのは柔軟性、筋力、持久力、バランスの4つが必要ですが、明らかに悪くなるのがバランス。70代後半になると片足立ちで10秒保てないかたも出てきます。70代でも片足で30秒くらいふらつきなく立てることが望ましい。バランスを刺激しながら筋力や柔軟性を保つことが大切です」
老化を感じてからでも間に合うトレーニングもある。
「浅いスクワットやもも上げなど関節に負担がかからないような運動は体を痛めずに、筋力がつきます。関節を痛めると一気に動くことがおっくうになるので、関節に負担がかかりすぎない範囲で、息が上がるような運動を習慣化しましょう。最近では脂肪浸潤といって、筋肉の細胞内に脂肪が入り込んでしまって、体重は変わらないものの筋力が落ちる病態が注目されています。たんぱく質を摂る食事を意識したうえで運動習慣を持たないと、フレイルや寝たきりになるリスクが上がります」(土屋さん・以下同)
つけておくべきは体力や筋力だけでなく、会話力も忘れてはいけない。
「仲間と話せるコミュニティーを2つ3つ持っておくと脳へのいい刺激になります。外出のきっかけにもなりますし、外出すれば自然と体を動かせる。コミュニティーがあるかたほど、元気に幸福に過ごしています」

終活総合支援士でリンテアライン株式会社代表取締役社長の武藤頼胡さんも言う。
「疫学研究所が18年前から健康寿命についての研究をしています。その論文によると、社会とのつながり、人とのつながりがあると、健康寿命が長いということが明らかになっています。近所のかたと挨拶をするといったことも、立派な社会とのつながりです」
識者が口を揃えるのは、何かをするには早すぎることはないということ。
「80代の相談者のかたがたがよくおっしゃるのは『60代はまだ体が動くし、70代も動いた。でも80代になったら動かなくなる。明日明後日じゃなくていまやっておくのよ、やりたいことは。旅行でも何でも、片付けでも、会いたい人に会っておくのも』と。いつかやろう、老後にやろうというのは後悔にもつながります」(武藤さん)
いい老後は、いい最期につながる。いまが何才でも、できることから始めよう。
※女性セブン2026年7月9・16日号