「長持ちする脳」を実現するための“予備脳”の強化 「新聞・雑誌の音読」「会話」「できるだけ最近の話」が有効 「会話の中で1回でも頭を使って質問」で脳をアップデート
脳の機能の指標となる「会話」
人と交わす「会話」を重視するのは、『脳が長持ちする会話』の著者であり、認知症予防研究者で理化学研究所チームディレクターの大武美保子さん。
「会話というのは非常に高度で複雑な脳の処理が必要で、脳の機能の指標となります。語彙力が低下する、同じ話を繰り返す、人の話を聴けなくなるなど会話に変化があれば、老化に伴う変化の可能性があります」
長持ち脳のための会話では、「昔の話」ではなく「最近の話」をするのがよいという。
「遠い過去のことを話すより、ここひと月ほどの体験について話す方が『覚える・覚えておいて(定着する)・思い出す』という3つのプロセスを経るため、より多くの認知機能を使います。脳が老化すると、記憶は覚える機能から先に落ちるので、特にシニアのかたは思い出すだけの昔話ではなく新しい出来事を『覚える』ことでできる最近の話をおすすめします」(大武さん・以下同)
“ふーん”という生返事をやめて人の話をじっくりと聞き、的確かつ噛み合う返答をすることもめざしたい。
「会話のなかで1回でも頭を使って質問をすると脳をアップデートできます。また、いつも家族や特定の友人といった同じ相手ではなく、勇気を出してあまり知らない人や話したことのない人と会話することも脳に新鮮な刺激を与えます」

脳を鍛えるには、食事や栄養も大切な要素となる。
「西洋風の肉中心の食事は脂質や糖質が過剰になりやすく、内臓脂肪を増やして動脈硬化を促進し、脳血管障害や認知症を引き起こすリスクが高まります。
また、空腹時に食事をすると脂質や糖質を最大限に吸収しようとして血糖値の急上昇を招くので、間食により極端な空腹状態を少なくすることも大切です」(石川さん・以下同)
注意すべきは脳ばかりではない。歯や鼻、耳の健康を維持することも、めぐりめぐって脳を助ける。
「虫歯や歯周病、慢性的な副鼻腔炎がある人は、炎症が頸部リンパ節に波及して、動脈硬化が進行しやすい。歯周病のある人は、ない人に比べて1.4〜2.8倍も脳梗塞になりやすいとの報告があります。
また、耳が遠くなると脳に与える刺激が格段に減り、認知症になるリスクが上昇するので、トラブルがあればすぐに治療することが重要です」
全身の代謝をアップして脳を鍛えるには、ウオーキングやエアロバイクといった有酸素運動が効果的であることも知っておきたい。脳を長持ちさせるには、脳をケアするだけでは充分とはいえないのだ。
(第2回に続く)
※女性セブン2026年8月13日号