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怪我を治したのに恨まれた!高須クリニック不遇の時代【第14話中編】『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』

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すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。

第14話:逆張り失敗の話【中編】

高須クリニックにて診療を行う克弥。(本人提供)
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「院長、今日は駅前のレストランが100円でサラダバーをやってるから行きましょう」

 ミユキが気を使うと克弥は、「ちょっと待って」と、ドアに「外出中」という張り紙を貼って、ついてくる。

──予約制で誰も来ないことが分かっているのに、見栄張っちゃって。

 ミユキが不憫に思うほど克弥は強がった。

「美容整形で1円も儲からなくたっていいんだよ。僕らは高須病院から給料をもらっているんだから」

 “負けを認めない限り負けではない”の精神がある克弥だからこそ、この2年間を乗り切れたのだろう。

 ただ来ない患者を待っていても仕方がない。暇が何より嫌いな克弥はこの間、他の病院にヘルプに行くことにした。

 ある病院で指を切り落としてしまった患者が来た。通常は切れた指先を形成して皮膚で丸めるのだが、その患者の妻が切れた指先を持っていた。2人とも指は諦めていたようだったが、克弥は内緒でその指をキレイに繋いだ。こんな手術は自分にしかできないとの自慢も込めた、患者への粋なサプライズだった。

──いいことをしていれば、自分に返ってくるかもしれないから。

 克弥は淡い期待を込めて、手全体をガチガチにギプスで固め、抜糸の時に患者を驚かせるつもりだった。

 抜糸当日。病院の前には黒塗りの車が何台も停まっていた。どうやら指を切った人はかなりの大物らしい。克弥が褒められる気満々で白衣に着替えているところに、病院の事務局長が飛んできた。

「先生、逃げてください。殺されます!」

 聞けば、患者はヤクザの親分で、子分たちを助けるために全責任を負って指を詰めたのだという。その指をホルマリンに漬けて大親分に差し出さなくてはならないのに、ギプスを外したらくっ付いている。その時の親分の驚きは想像を絶するものだった。

「『あの痛い思いをもう一回しなきゃならないのか! あの医者を連れて来い! ぶっ殺してやる!』って、子分たちが病院中を捜し回ってます!」

「ええ⁉ 指って詰めたらそれで終わりじゃないの? 提出物なの?」

 ヤクザのしきたりを知らない克弥は裏口から逃げた。それ以降この病院には二度と行っていない。

 こうしてバイト先も失い、週1の美容整形は、遂にやることがなくなった。(後編につづく)

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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。

高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。

※女性セブン2026年9月24日号