健康・医療

《本当にその手術は必要?》乳がん全摘出、腰椎椎間板ヘルニアの手術…納得して選択するために「知っておくべきリスクと判断基準」

「脳外科医による腰椎の手術」で医療事故

 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さんが危険性を指摘するのは、社会的な問題として取り上げられた「脳外科医による腰椎の手術」だ。

 2020年に兵庫県赤穂市の赤穂市民病院で、脳外科医が腰の痛みを訴えた高齢女性の腰椎後方除圧術の手術中に、ドリルで神経を切断するなどして患者に重度の障害が残るという医療事故が発生。医師は業務上過失傷害罪で在宅起訴され、今年3月に禁錮1年、執行猶予3年の判決が下された。

「ドリルを使う工程で、脳外科医が適切な止血処理を行わずに骨の切除を進め、腰椎神経を誤って切断したとみられています。そしてこの医師は腰の手術をするのは初めてだったそう。たしかに、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきついかんきょうさくしょう)や腰椎椎間板ヘルニアなど、腰の神経の圧迫からくる痛みやしびれが脳外科医の診療の範囲内とされる場合もありますが、腰の手術は経験が豊富な整形外科医に任せるべきだと思います」(戸田さん・以下同)

 腰の痛みだけでなく肩やひざなど、加齢とともに至るところに不調が発生する。そうした整形外科の分野での手術が、かえって体に悪影響を与えるケースもある。そのひとつが、背骨の中の神経が圧迫されて腰や足に痛みやしびれが出る、脊柱管狭窄症の手術だ。

「スクリューとロッドで背骨を固定する手術があるのですが、手術をしなかった場合と比べて、患者に明確にメリットがあるわけではないという研究があります。

 この固定術は3割負担でも60万〜85万円、自費なら200万〜300万円もかかる高額な手術ですが、特に骨がもろくなっている骨粗しょう症の高齢女性では、スクリューがゆるんだり骨にダメージを与えることがまれにあります」

 また、変形性膝関節症に対する手術も要注意だ。

「冷却型ラジオ波焼灼療法(クーリーフ)は根本治療ではなく痛みを取るだけのもの。1〜1年半で元の痛みに戻ってしまいます。どうせお金を払うなら、60才以上の場合は根本治療である人工関節置換術の方がおすすめです」

 しかし、その人工膝関節を入れる手術も、早急な判断は禁物だという。

「『いまやらないと手遅れになって寝たきりになる』という医師が多いのですが、その言葉に惑わされないように。そもそも、人工膝関節は骨を器械に入れ替えるので、“手遅れ”ということはない。人工膝関節を入れると正座ができない、自転車に乗れなくなるなど、生活に大きな制限も出るケースもある。できるだけ保存療法でねばって、日常生活にどうしても支障が出るようになってから検討すればいいと思います。ひとつの目安として6分連続で歩けなくなったら検討してもいいでしょう」

(後編に続く)

※女性セブン2026年9月10日号