
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第17話:ソープランド改名事件と脂肪吸引の話【後編】
* * *
──“下”からの脱却。
これを実現したい克弥に朗報が飛び込んできた。フランスの美容外科医が、メスで切らずに体の好きな部位の脂肪を取る技術を開発したというのである。今までも痩せるための手術はあったが、脂肪を皮膚ごと切り取る切除術だった。皮膚を傷つけずにその下の脂肪だけを除去できれば、患者は簡単に美しいボディラインを手に入れることができる。何よりも克弥にとっては“下”よりも少し上の“体”に移行できる。克弥はすぐにパリに飛んだ。
その医師の名はピエール・フルニエ。太い金属管を脂肪層に挿入し、脂肪細胞を破壊して吸入ポンプで吸い出すという、世界初の脂肪吸引術を開発した美容外科医だった。
「すげえ! てことは、傷は金属管を挿入する穴だけですか?」
フルニエは大きく頷いた。克弥はその場で弟子入りし、第一号になった。他に弟子がいなかったのは、この術式がフランス医学界で大バッシングを受けていたからである。

「脂肪は体の組織にくっついているものだから、そんな水みたいに抜けるわけがない」
「一時的に抜けたとしても、脂肪細胞はすぐに再生するからインチキだ」
フランス医学界は、今までの常識を覆す術式を完全に否定していた。
「高須君もあんなインチキ医者の弟子になんかなっちゃいけないよ」
克弥を思ってアドバイスしてくれる先輩医師もいたが、克弥は無視した。
「偉い先生たちっていうのは実践的な術学ではなく、座学で頭が一杯だからすぐに『理論的にあり得ない』って決めつけちゃう。でも僕らの世界には、なんか知らんけどやってみたら上手くいっちゃった、ってことがたくさんある。皆がフルニエ先生を批判してるんですよね? じゃあむしろ僕にはラッキーです」
克弥はここでも思いっきり逆張りした。
こうして誰も見向きもしなかった脂肪吸引術を、アジアで初めて行う医者になった。案の定、日本でも「脂肪吸引はインチキだ」という批判を受けたが、お構いなし。何せ今の克弥にはそれを宣伝する手段がある。出演するテレビ番組で、豚肉を使い、どうやって脂肪が抜けるかを実践してみせた。その結果、脂肪吸引は大ブレイクしたのだ。ついに包茎から脱出した克弥は、まさに一皮剝けたのである。高須克弥37歳。文春砲を食らう8年前の話である。(第18話につづく)
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年10月22日号