《専門家が教える「血管年齢」若返り習慣》重要なのは「食事」「運動」「睡眠」、おすすめは雑穀や野菜が中心の“地中海食” 食べる順番に工夫して「血糖値スパイク」の予防を

老化に大きく関係すると言われる、腸と血管。「昔から便秘だし、そんなに気にしていない」「年をとれば、誰だって高血圧になるよね」──腸と血管の不調に対して楽観的な考えだと、老化を早め、寿命に大きなダメージを与えるかもしれない。そのリスクを減らし、健康寿命を延ばすために何より大事なのは、自分の「腸年齢」と「血管年齢」をきちんと把握しておくこと。そのためにすべきことは何か、専門家に取材した。後編では主に「血管」についてレポートする。【前後編の後編】
血管の老化は生活習慣病、喫煙、ストレスなどが要因
腸内環境が全身に影響を与える一方、血管は体中に血液を送り届け、私たちの生命を支えている。しかし、年を重ねるとしなやかさが失われ、どんどん硬くなっていく。その血管の老化は、「血管年齢」で推し量ることができる。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが説明する。
「血管の硬さやしなやかさ、傷み具合を年齢にたとえて表したものが『血管年齢』です。血管の老化は加齢以外の生活習慣病や喫煙、ストレスなどが要因で進むので、血管年齢が実年齢より高くなることは大いにあります」
老化すると血管の内部ではどのような変化が起きるのか。京都府立医科大学特任教授で池田病院院長の池田宏二さんが説明する。
「血管は複数の細胞で構成されていますが、なかでも大切なのが血管の内側を覆っている『血管内皮細胞』です。この細胞が老化して機能が低下すると血液が固まりやすくなり、動脈硬化の要因になります」
そうした血管の老化が進む要因として、池田さんは生活習慣病を挙げる。
「特に気をつけたいのが、コレステロールや中性脂肪の値が高くなる脂質異常症や肥満で、これらは動脈硬化の危険因子です。高血圧や高血糖も血管に負担をかけて細胞を老化させるため、必要に応じて治療し、放置しないでください」
血管の老化が恐ろしいのは自覚症状がないまま動脈硬化が進み、突然、命を脅かす病気を発症することだ。
「動脈硬化が進むと心臓の血管が狭くなる狭心症や、血管が詰まる心筋梗塞・脳梗塞などを起こす危険性が高くなる。大動脈の壁が膨らむ大動脈瘤などといった血管の病気にもつながります」(東丸さん)
そうした病気を防ぐためにも、血管の状態を把握しておきたい。血管年齢を調べる代表的な方法は、医療機関で受けられる血圧脈波検査の「PWV(脈波伝播速度)」だ。
「両腕と両足首に血圧計のようなカフを巻いて、脈波の速さを測定する検査です。血管は老化して硬くなると脈波が伝わる速度が速くなるので、血管年齢を推定できます。実年齢との差がどの程度なら正常という明確な基準はなく、できるだけ若いに越したことはありません」(池田さん)

血管の状態を調べる検査は、ほかにもある。
「動脈の硬さを調べる『CAVI(心臓足首血管指数)』検査は、測定時の血圧の影響を受けにくいのが特徴です。また、同時に計測できる『ABI(足関節上腕血圧比)』では、腕と足首の血圧の比率から足の血流が低下していないか、血管が詰まっていないかを調べることができます」(東丸さん・以下同)
さらに、首の血管に超音波を当てる「頸動脈エコー検査」では血管の壁の厚さや、脂質などがたまってできる「プラーク」の有無を確認できる。頸動脈の状態は、全身の動脈硬化の進行度を推測する手がかりにもなる。
「これらの検査は、循環器内科などで医師が必要と判断すれば保険診療で受けることができますし、人間ドックのオプションとして自費で受ける方法もあります。保険診療での自己負担額は1000〜2000円程度が目安で、人間ドックではもう少し高額です。病気の早期発見や予防につながるので、生活習慣病のある人や喫煙者は40〜50代でも一度受けるといいでしょう」
池田さんが続ける。
「実際、血管年齢が実年齢より6〜7才以上高い人は、実年齢とほぼ一致している人に比べて、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが約3倍高い。逆に、実年齢より7〜8才以上若い人は、実年齢と同じ人に比べて、リスクが半分以下であることがわかっています」
すぐに医療機関で検査を受けるのは難しいという人は、掲載の「血管年齢チェックリスト」で体の状態を確認してみよう。