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逆境に負けない!スキャンダルを抹消した高須克弥の交渉術【第18話中編】『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』

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すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。

第18話:形成外科学会を除名された話【中編】

「その裏ビデオを、誰が見たんですか?」

 この問いに議場が静まり返った。ネットがなかった当時、裏ビデオといわれる海賊版は規制が厳しく、自ら怪しい店に出向き、購入しなければ見ることができない違法商品だった。つまりエロに対するもの凄い積極性を必要としたのである。黙る重鎮たちに克弥が畳みかける。

「で、この中のど、な、た、が、その違法ビデオを見たんですか? あなたですか?」

「わしは知らん」

「わ、わしも知らん」

 皆が同じ言葉を繰り返す。誰だって積極的なエロ医者だとは思われたくない。ここぞとばかりに弁護士がとどめを刺す。

「証拠がないのに高須先生を処分するとなると、これは問題ですね」

「……確かに」

 皆が苦虫を噛み締めるように前言を撤回した。

「では、高須先生の名誉のためにもこの件は議事録から抹消してください」

 こうして克弥の裏ビデオ事件は無かったことになった。この時、大麻で逮捕されたO美容外科のI先生が同じく除名処分を受けていたが、議事録抹消のためにこの審議自体も無かったことになった。

「高須君、君は命の恩人だよ」

 I先生は克弥の手を取り、額に押し戴いたが、1年後、すぐにまた大麻で逮捕された。この時も克弥に連絡が来て、「また学会に乗り込んでくれない?」と頼まれたが丁寧にお断りした。

* * *

 なんとか“下”に引き摺り込まれそうになった危機を回避した克弥は、脂肪吸引の市場独占という武器を持ち、東京都中央区、札幌、横浜、仙台、ハワイとクリニックを増やしていった。この時点で克弥は名実ともに日本一の美容外科医になった。患者数は5万人を超え、クリニックの数、売上のどちらをとっても高須クリニックがずば抜けていた。開業からちょうど10年が過ぎた頃である。

克弥・シヅ夫婦と3人の息子たち。後列中央は母の登代子。(本人提供)
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 毎週1回ずつ全国にあるクリニックを回るので、克弥は家に帰る時間がなくなった。故に子育ては完全にシヅに任せっきりである。シヅはこの期間は医者をせず、息子3人の子育てに専念していた。さらに犬も2匹いた。

 ある日、数週間ぶりに克弥が家に帰ると、食卓を家族が囲んでいた。克弥の席に小型犬が座っている。動物に対する愛情が欠落している克弥が「おい!」と怒鳴ると、犬が怖がって机の下に隠れた。(後編につづく)

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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。

高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。

※女性セブン2026年10月29日・11月5日号