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《人生の最期を「施設」で迎えるための準備》施設選びは元気で判断力のある60代から 重視すべきは「スタッフに余裕があるか」「入居者とスタッフの間に笑顔があるか」

施設で最期を迎えるための準備とは(写真/PIXTA)
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 年齢を重ねれば、肉体も衰え、誰かのサポートが必要になる。長い人生の終盤は、誰もが人の手を借りて生きることになるのだ。その期間を「自宅」で過ごすか、「施設」で過ごすかは、人生最後の重要な課題と言えるだろう。そこで最善の選択をするために必要な知識と準備について専門家に取材。「自宅」での最期について紹介した前編に続き、後編では「施設」で最期を迎えるための準備について紹介する。【前後編の後編】

施設選びは「60代から」、「最低3軒」ははしごを

家族の負担を減らしながら安全な生活を送るには、介護施設などが大きな選択肢になる。日常生活のサポート、見守り、医療連携など、高齢者に必要なサービスが充実している。

 自宅に比べて自由な行動が制限されるように思えるが、必ずしもそうではない。介護アドバイザーの横井孝治さんが言う。

「たしかに介護施設は集団生活ですが、それゆえ食事やレクリエーションなど、人との交流が自動的に毎日発生します。“一日中誰とも会話しない”という状況は施設では起きにくいのではないでしょうか」(横井さん・以下同)

 年齢を重ねてからこそ、社会とのつながりを持ち続けることは健康寿命増進に直結するとされる。この点において、自宅と施設ではそれぞれにメリットとデメリットがある。一方で、健康管理という意味では、施設の方が有利かもしれない。医師や看護師による定期的な健康チェックがあることや、常駐のスタッフによりわずかな変化に気づいてもらえる利点もあるだろう。年を重ねてからこそ、24時間365日、誰かがそばにいるという施設の利点に気づく人は少なくないのだ。

 一方で、ギリギリまで自宅で老後を過ごし、いざ介護施設に入りたいと思ったときには選択肢が減っていることは珍しくない。実家相続介護問題研究所代表の江本圭伸さんが言う。

「日頃から子供に『いざとなったらあなたたちに迷惑をかけないように、施設に入るからね』と伝えている高齢者は多いですが、そうしたかたがたの多くが、比較的費用のかからない特養(特別養護老人ホーム)をイメージしています。

 ところが、特養は原則として要介護3(自力での立ち上がりや歩行が難しく、徘徊や妄想などの症状が出る場合もある)以上でないと入れません。また待機者が多く、入りたくても入れないのが現状です」

 施設の可能性を視野に入れるなら、あらかじめ自分で探しておかないと、必要に迫られてから子供に施設探しから手続きまでしてもらうことになるのだ。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんも、早めの情報収集が大切だと念を押す。

「頭や体が弱ってきてからだと、情報収集力も判断力も弱りがちで、見学に行くのも大変です。元気で判断力のある60代、遅くとも70代前半までには探し始めておきましょう」

 介護施設は種類も費用もピンキリだ。当然ながら、費用が手頃かつサービスが手厚い公的施設は人気が高く、「入居数年待ち」もありえる。だが一方で、下調べしておけば、いま満室でも、数年後に体の自由がきかなくなったり、認知症の兆候が表れたりしたときに、自分に合った施設にすぐにアプローチできる。

リスクを避ける「介護施設の選び方」
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 終の棲家としての施設選びで重視すべきは、「スタッフに余裕があるかどうか」「入居者とスタッフの間に笑顔があるかどうか」だ。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが言う。

「人員が足りず、掃除が不充分だったり、夜間スタッフが1人しかいなかったりするような施設は不安が拭えません。いつもスタッフが走り回っていたり、食事を“作業”のようにしていたりする施設は、入居者への配慮が足りない。おかずとみそ汁を一緒くたにご飯にかけて“ねこまんま”にして食べさせるような施設を見たのは一度や二度ではありません」

 82才の母が神奈川県内の介護施設で暮らす、東京都在住のBさん(56才)が言う。

「母の認知症が進んできたので、実家のそばの施設で空きがあったところに入居してもらいました。ところが、入ってみるとスタッフのかたに愛想がなく、おしゃべり好きな母はみるみる元気がなくなって……。面会に行ったときにしていたレクリエーションは、若いスタッフが懐メロを歌い、入居者は手拍子をするだけ。寂しい、家に帰りたいと繰り返す母を見ているのもつらく、転居先を探していますが、なかなか見つからない。そうこうしているうちにもどんどん認知症が進んできて、形式だけの見学で入居させたことを後悔しています」

 施設での生活が合わないと、入居から数か月で一気に認知症の症状が進んだり、うつになったり、心身の状態が悪化してしまうことすら少なくない。介護施設で本当に安心できる老後を送りたいなら、介護サービスや医療だけでなく、レクリエーションや食事、雰囲気まで、自分に合うところを探すことが大切だ。そのためには、元気なうちに必ず自分で見学に行くこと。 

「インターネットの情報やパンフレットにはない、見学に行かなければわからないことはたくさんあります。例えば、どちらがいいというわけではありませんが、入居者を“さま”づけで呼ぶか“さん”づけで呼ぶかなど、一見些細なことでも、毎日続くと違和感を拭えなくなることも。見学は1か所だけで終わらせず、続けざまに3か所ほど、はしごするのがいいでしょう。

 また、夫よりも女友達と行くのがおすすめ。聞きにくいことを質問してくれたり、帰り道にあれこれ言い合うことで、自分では気づけなかったポイントや、外せない条件が見えてくるはずです」(太田さん)

 施設選びで重要なのが、「子供の家から遠い施設にしない」こと。

「施設に入ると、子供は月に一度くらいのペースで施設に行き、ケアマネジャーと介護計画を立てることになり、病院へのつき添いもします。子供の家と施設が遠すぎると、時間もお金も大きな負担になる。基本的には、自分がいま住んでいる自宅近辺より、子供の家の近くの施設を選ぶのがいいでしょう」(横井さん)

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