「万が一、おいしくないと思ったら、砂糖を入れていいですか? ふだんからコーヒーも紅茶も、砂糖とミルクをたっぷりじゃないと飲めないんです」
「糖分の蓄積は体に負担がかかるので、お砂糖は加えないほうがいいですね(苦笑)。どうしても、という場合はハチミツのほうがまだいいですね」
会話をすればするほど、住む世界が違いすぎると感じた。なんとなく石山さんに見下されているような気持ちでいっぱいになった私は、我慢できずに叫んでしまった…。
「軽蔑してるでしょ!?」
「いやいや、全然していないです。『素敵なクライアントだなぁ』と思っていますよ。甘い味が好きであれば、そのようにブレンドします。ふだんの食生活で足りていないビタミンなどの栄養素も、摂れるようにしましょう」
めっちゃ冷静な対応をされたけれど、なんだか石山さんに挑戦状を叩き付けた気分に。それにしても、砂糖なしで甘くなるなんて信じられない。「お好みに合わせておいしく作ります」と言われたけれど、絶対に限界があるはず…。
甘くないなら、飲みたくない! Eの要望は叶うのか!?
石山さんが私に合わせて作ってくれたお茶には、6種類のハーブが入っているという。ミネラル成分が豊富な「ネトル」、整腸や気持ちを落ち着かせる働きをもつ「ワイルドストロベリー」、糖質吸収抑制してくれるという「マルベリー」。さらに、ビタミンCをたっぷり摂ることができる「ローズヒップ」も加えている。
そして、甘い味と香りを付けるために、漢方では甘草と呼ばれ、砂糖の50倍の甘さをもつ「リコリス」と、ハチミツのような香りがする「リンデン」を選んだとか。
説明を聞いていると、2杯目が出来上がった。また、リアクションが微妙になってしまったら、どうしよう(汗)。クンクン…ん? 香りがさっきと全然違うかも…。
「あ、甘い! めっちゃ甘い! めっちゃおいしいです!!」
「よかったです。甘いけど、体にはすごくいいんですよ」
砂糖を入れていないのにしっかり甘いことに、とにかく驚いた。これなら毎日ウキウキ気分で飲み続けられそう。
「めちゃめちゃワガママを叶えてくれるお店なんですね!」
「ありがとうございます。お好みがわかれば、なんでも叶えますよ(笑い)」
「ちなみに過食を抑えるハーブもありますか?」
「ないこともないですが、その場合にはもう少し深くお話をうかがったほうがいいかもしれませんね」