40代になると、肌だけでなく髪の変化も感じるようになる。年のせいだから仕方ないと思いがちだが、それ以外に問題があるかもしれない。洗髪から乾かし方まで髪を傷ませないヘアケア術と、トリートメントの使い方、頭皮マッサージ法、ダメージを抑える白髪の染め方をご紹介。
まずは洗い方から。きめの細かい泡で洗うのがコツ。
【1】濡らす前にブラッシング
濡らす前に髪をとかすと、絡まりが解けて洗髪時の摩擦の軽減に。「キューティクルは根元から毛先に向かってうろこ状に重なっているので、上から下へとかすと摩擦を防げます。ブラシは、根元に弾力のある“クッションブラシ”がおすすめ」(ヘアサロン『サンバレー』店長・忠本功さん)。
【2】予洗いする
シャワーを当てて2~3分すすぐと、ほこりや皮脂など汚れの半分以上が落ちる。「上を向いて流し、キューティクルの摩擦を防止。後ろの髪を前方にもってくるのは逆らうことになるので禁物」(頭皮の生理学を研究する山野美容芸術短期大学教授・秋田留美さん)。
【3】シャンプーをつける前に水分を絞る
髪が長めの人は、シャンプーをつける前に水分を軽く絞る。「髪の根元まで濡れていないとシャンプーの泡立ちが悪くなりますが、逆に滴るほど水分が多くても、泡が流れて泡立ちが悪くなります」(忠本さん)。
【4】泡立てて洗う
シャンプーを手のひらで軽く泡立て髪につける。「指の腹で頭皮をマッサージしつつ、空気を髪に含ませるイメージで全体にきめ細かな泡を行き渡らせると髪の摩擦が軽減します」(忠本さん)。
【5】しっかり流す
シャワーヘッドをあらゆる方向に動かしながら、髪を根元までしっかりすすぐ。「泡は消えても洗浄成分は残っています。すすぎ残しは頭皮に刺激を与え、湿疹など肌トラブルの原因になります」(忠本さん)。
続いては、トリートメントの使い方のコツをご紹介。
【1】毛先を中心につける
軽くタオルドライした後、トリートメントを傷みやすい毛先につけ、残りを髪全体に。頭皮用でない場合は髪だけにつける。「髪を揉むようにすると成分が浸透しやすくなります」(忠本さん)。
【2】蒸らして浸透させる
「トリートメントをつけた状態で、ホットタオルを巻くか、シャワーキャップをかぶり5分ほど蒸らすと、髪の内部に浸透しやすくなります」(忠本さん)。
ツヤッと仕上がる乾かし方にもコツがある。
【1】タオルで水分を吸わせる
タオルで髪をはさみ、やさしく叩いて水分を吸わせる。その後、アウトバストリートメントをつける。「キューティクルは水分を含むと膨張し、摩擦を受けやすくなります。ゴシゴシこすらず、やさしく扱って」(忠本さん)。
【2】まず前髪からドライヤー
前髪は短いため、生えグセの影響を受けやすいので、素早くしっかり乾かす。「分けたい方向とは逆方向に前髪を流し、手で頭皮をこするように毛を左右に振ってドライヤーを当てるとクセを抑えられます」(忠本さん)。
【3】全体が乾いたら冷風を当てる
前髪以外も根元まで完全に乾かすことで、クセが出にくくなる。最後に冷風を頭頂部から毛先に向けて当てる。「急激に髪の温度を下げると、キューティクルが整ってツヤが出て、スタイルもキープしやすくなります」(忠本さん)。
頭皮マッサージで“薄毛対策”を
更年期を迎え、薄毛を気にする女性が増えるが、女性は出産や閉経でホルモンバランスが崩れると脱毛しやすいと前出・秋田さんは言う。
「正常時でも、髪は1日80本前後が抜けています。髪は成長期が2~6年、退行期が数週間、休止期が3~4か月、脱毛、というサイクルを繰り返しているのですが、季節の変わり目に脱毛する場合も多く、抜け毛が気になっても一時的なことかもしれません」(秋田さん・以下同)
ただ、加齢とともに頭皮をつくるコラーゲンが減少するため、日々のケアは欠かせない。
「栄養が行き渡るようにストレスを解消し頭皮マッサージで血行を促進。毛穴に皮脂が詰まらないよう清潔にして」
育毛剤や発育剤を使う場合は、性別により薄毛のメカニズムが異なるため、男女で兼用できないものも。抜け毛がひどい場合は医療機関を受診したい。
ダメージを軽減させる白髪染め術
白髪染めも、ダメージを軽減させるケア法を身につけよう。
白髪用のヘアカラーは、黒髪用と比べて、色がなじみやすく、染毛力も強くなっている。だが、その成分は髪や頭皮に負担がかかるため、染めている時に刺激を感じる人が多いとも。
「サロンでは、毛先は根元の半分の濃度など、部位によって濃度を変えて傷みを抑えています。また、肌が弱い場合はあらかじめ伝えていただければ、頭皮を保護する薬剤をつけたり、ヘアカラーの塗布を頭皮につかないギリギリにとどめるなど工夫もしています」(忠本さん・以下同)
それでもダメージが気になる場合は、髪の表面だけを染めるヘアマニキュアや、植物成分のヘナ染めがおすすめだ。
「ヘナは髪の内部まで染めますが、脱色しないので髪にやさしい。ですが、白髪にしか染まらず、退色時はオレンジ色っぽくなりやすいので、その点も参考に選んで」
ホームケアではリタッチを
ヘアサロンよりホームケア用の方が、髪を傷める原因にもなる過酸化水素の濃度が、高い場合があるという意外な事実が。
「濃度は6%以下と定められていますが、サロンでは状態に合わせて薄めています。そのため、ダメージを抑えられますし、色ムラにもなりにくい。一方、市販品は誰でも染めやすいよう濃度は高め。ですが、髪がダメージを受けやすいので、自宅でヘアカラーを使う場合はより注意が必要です」(秋田さん・以下同)
泡で染める市販のヘアカラーはムラにならず人気だが、広範囲に行き渡るのでリタッチ(髪の毛を染めた後、新しく伸びてきた部分を染めて修正すること)には向かず、頻繁に使うと髪を傷めやすい。
「自宅で簡易的に白髪カバーをするなら、シャンプーで落ちるカラー剤やシャンプー後に使うカラートリートメントがあります。カラートリートメントは、髪の表面を少しずつ染めるだけなので、白髪を完全に染めることはできません。洗髪や汗で日々退色もしやすいですが、回数を重ねるたびに白髪となじんで目立たなくなります」
それぞれ適材適所で使い分けをしよう。
続いて白髪に関するQ&Aを紹介する。
Q.白髪染めで髪を傷めないタイミングは?
A.髪全体を毎回染めるとダメージも大きいので、1か月ほど間をあけるか、白髪が目立ってきたらリタッチをするのがおすすめ。
Q.サロンでヘアカラーがしみる場合はどのタイミングで申告すべき?
A. 「カラー剤は、肌と性質の異なるアルカリ性なので刺激があります。ですが、顔に薬剤がついていないのに顔に刺激を感じたり、汗をかくほど頭皮が痛い場合は、ある種のアレルギー反応ですから、必ず申告を。無理に続けると、全身がただれたり、呼吸困難など危険な症状が出る場合もあります」(忠本さん)
Q. 染めた日はシャンプーしてよい?
A. 翌日からがおすすめ。「ヘアカラーは髪の表面ではなく内部から染めますが、染料をしっかり定着させるため、ヘアカラーをした日のシャンプーは極力避けてください。翌日以降は問題ありません」(秋田さん)。
Q. カラー後はどんなケアが必要?
A.「ヘアカラーで髪はアルカリ性になり、弱酸性に戻るまで2~3日必要です。この間のケアで傷みも色もちも変わるので、染めてから1週間くらいは、カラー用のトリートメントなどでスペシャルケアをすると色が長持ちします」(忠本さん)
イラスト/小野寺美恵
※女性セブン2018年10月4日号
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