味覚の秋。これからはりんごやみかん、柿などの果物がおいしくなる季節。そのまま食べるのはもちろんですが、料理に使うと、そのおいしさは無限大に! 驚きと感動の幸せなマリアージュ、試してみませんか?
実は美と健康にイイ!果物の新常識
「”果物は太る”というのは間違い!」とつくば生命科学研究所 所長で農学博士の田中敬一さん。果物の知られざるパワーを教えてもらいました。
Q.果物を摂ると健康にいいの?
A.がん、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、認知症予防などに効果的
「1986年に米国食品医薬品局は、果物の糖類は生活習慣病の直接の原因ではないと報告。欧米でも日本でも、果物のビタミン、食物繊維、ポリフェノールなどの相互作用で、がんや生活習慣病のリスクを下げると報告されています」(田中さん・以下「」内同)
Q.果物は糖分が多く、太りませんか?
A.果物はダイエットに効果的です
「たとえば、りんごは100gで54kal、ごぼうは100gで65kalとごぼうのほうが高カロリーです。野菜は調理して食べるものが多く、油を使うなどしてカロリーが高くなりがち。果物は甘くてもカロリー控えめです」
Q.果物は、1日にどれくらい食べるといいですか?
A.自分のこぶし5個分が目安
「アメリカではがん予防研究の結果、果物と野菜をそれぞれ握りこぶし5個分摂る運動を1991年から実施し、がん死亡率などが減少。こうした成果などから果物の種類は何でもよいのでこぶし5個分を毎日摂って」
Q.加熱してもビタミンCは減らない?
A.減りませんが、水分ごと摂って
「果物のビタミンCは加熱には強い。ただし水に溶け出してしまうので、調理した時に使った水分ごと摂りましょう。生果をたくさん食べられない時は、ジュースにしたり、料理に加えて食べるのもおすすめです」
Q.「朝の果物は“金”」だから朝摂るほうがいいの?
A.朝昼晩、いつでも”金”です!
「握りこぶし5個分の果物を一度の食事で摂るのは大変なので、朝昼晩、毎食摂ってOKです。食物繊維を含んでいるので、果物の糖類は血糖値を急上昇させにくいため、いつ食べても問題ありません」
フレンチシェフが教えるフルーツ料理のコツ
いざ、家庭で作ろうと思っても、組み合わせ方が…。そこで、フルーツ使いのコツをフレンチのシェフが伝授。果物には”調味料”の役割もあったんです。
『ビストロ サブリエ』は、東京・日本橋茅場町で昭和27年から続く老舗果物店が経営。家業を継いだオーナーシェフ・今野登茂彦さんは、フランスで修業したビストロ料理に、果物を合わせた新感覚の一皿を提供する。
「フランスでは家庭料理にも果物をよく使います。果物は、いわば甘味と酸味を兼ね備えた調味料。特に肉料理と好相性で、肉の旨みに果物の甘味と酸味が加わり、まろやかに仕上がります。脂っぽさも果汁が洗い流してくれるので、しつこくない。家でも気軽に試してみてください」(今野さん・以下「」内同)
りんごはクリーム煮に入れる
フランスの家庭料理『フリカッセ』(白い煮込み)には、りんごの酸味と甘味が合う。鶏肉とりんごをバターでソテーし、ブイヨンスープと生クリームを加えて煮込むと、まろやかな優しい味に。
柿には濃厚なチーズを
柿はチーズと和えてサラダに。「ややクセのある青カビ系のゴルゴンゾーラがベスト」。柿の水分で塩気が中和され、マイルドな旨みが広がる。
熟した柿はシャーベットに
熟れ過ぎた柿は凍らせると、新感覚のデザートに。「熟した柿は糖度が高く、凍らせると舌触りがよくなめらか。甘さ控えめのホイップクリームがよく合います」。
ぶどうは揚げる
余ったぶどうは天ぷら生地で揚げると新食感の一品に。衣はやや硬めにして、粉糖をかけていただく。「ぶどうは火を入れると糖度が増して、さらに甘くなりますよ」。
キウイはつぶしてソースに
熟したキウイフルーツをつぶして、オリーブオイル、酢、塩を加えれば、即席ソースのできあがり。白身魚のカルパッチョにかけると、さっぱりと味わえる。
洋梨が肉料理を格上げ
果汁が肉の旨みと複雑に絡み合い、高級感のある味に。「火を軽く入れ、トロッとさせて」 。
みかんはご飯と炊きこむ
「みかんはパエリアやピラフと好相性。食べる時にギュッとしぼると香りが加わり、さわやかになります」。トマトや鶏肉、魚介と一緒に米と炊き込むと、ほのかな甘さが絶妙にマッチ。
フルーツはカレーに後のせ
「スパイシーなカレーに、好みの果物をのせるのもおすすめ。口の中で複雑に絡み合うハーモニーを楽しんでみて」。同店の人気メニュー。
こんな食べ方も美味!余った果物はフルーツ酢に
酢と氷砂糖に漬けてフルーツ酢にすると約1年保存できる。炭酸水や酒、お湯で割って飲んだり、ドレッシングに使っても。
撮影/玉井幹郎
※女性セブン2018年11月15日号
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