日本人は他の民族と比べ、さまざまな違いがあることが分っている。白人と比べると、日本人は内臓脂肪がつきやすく、アルコールや牛乳を分解する力が弱い。日本人は腸内に善玉菌が多く、腸内環境がきれいなのに対し、中国人は善玉菌が少なく、肉食を好むアメリカ人と腸内環境がよく似ている、などだ。
糖尿病リスクも!欧米人のマネをしても痩せない?
このように、日本人の持つ体質を知り、それに応じた生活を送るべきなのだが、現在、それとまったく相反したダイエット方法が流行中という。『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社)の著書がある医師の奥田昌子先生が警鐘を鳴らす。
「糖質を極端に減らすダイエットは、やせるどころか、糖尿病になるリスクを増大させることがあります。それは、もともと日本人が、血糖値を下げる働きをするほぼ唯一のホルモン『インスリン』の分泌量が少ない国民という特徴があるからです」
糖質を極端に制限し、炭水化物をあまり摂取しなくなると、血中のブドウ糖が減少。すると、脳が活動を維持できなくなるなどの障害が出てしまう。それを防ぐために、筋肉を分解して糖を生み出す「糖新生」と呼ばれる反応が起こる。これは空腹でストレスを感じた脳から分泌されるホルモンである「コルチゾール」によって引き起こされる。
日本人は内臓脂肪をためこみやすい
このとき、体内では低血糖状態を脱しようと、糖新生と同時にインスリンの効きを悪くしようとする。すると、インスリンを作る細胞の数がどんどん減り、残った細胞もインスリンを作れなくなり、やがてインスリンをほとんど分泌できなくなる――この悪循環の結果、それほどの肥満ではなくても糖尿病になってしまうのだ。
「そのような糖尿病発症の道筋をたどるのは、日本人を含む東アジア人に特有です。欧米人は炭水化物の摂取が少なくても、インスリンをしっかり分泌できるので、このような現象はほとんど見られません」(奥田先生)
さらに日本人は、インスリンの働きを悪くするなど、生活習慣病のもととなる“悪玉物質”を分泌する内臓脂肪をため込みやすいという。
「欧米人はでっぷりとした人でも皮下脂肪が多いだけで、悪さをする内臓脂肪の割合は低いのです。逆に、日本人はやせて見えても内臓脂肪が多く、糖尿病を引き起こすことが少なくない。日本人に内臓脂肪がつきやすいのは遺伝で決まっていますが、くわしいことは現代の科学ではまだ解明されていません」(奥田先生)
日本人と欧米人では体質が大きく違うことにより、病気発症のメカニズムも大きく変わってくるのだ。
※女性セブン2019年1月1日号
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