
4月7日、東京都内から約1200キロメートル離れた太平洋上に浮かぶ硫黄島を訪問され、「令和の慰霊の旅」をスタートさせた両陛下。硫黄島は小笠原諸島のひとつで、現在その地で生活しているのは、駐屯している自衛隊員のみ。
一般島民は太平洋戦争末期の昭和19年に疎開させられ、その後、日米による1か月にもわたる激戦が繰り広げられ、アメリカが占領した。いまだに元島民だった人々は帰還できず、終戦から80年がたっても人々の日常の営みが取り戻せないままの孤島だ。

両陛下は小雨の降る硫黄島に約2時間半のフライトを経て政府専用機で海上自衛隊が管理する硫黄島航空基地に降り立った。
「戦没者の慰霊は、平成の天皇皇后が戦後50年の前年に硫黄島、60年はサイパン島、70年にはパラオと続けられてきました。いまの両陛下はお二人とも戦後生まれでいらっしゃる。両陛下が戦後80年の今年、硫黄島や沖縄、長崎、広島を訪問されることで、平成の両陛下と同じ気持ちで戦争と向き合うということを国内外に示されたことになるでしょう」(皇室ジャーナリスト)

雅子さまは硫黄島に到着時、ネイビーのパンツスーツに白いインナー、ネイビーのパンプスという軽快な服装だったが、その後、ネイビーで大きな白いえりが特徴的なスーツとネイビーに白いラインが入ったお帽子に着替えられた。

「このスーツとお帽子は一昨年5月、戦没船員の碑がある県立観音崎公園(神奈川県横須賀市)で行われた『第50回戦没・殉職船員追悼式』でお召しになったものと同じだと思います。大きめの襟はまるでセーラーカラーでした。セーラー服は、いわば海で働く人たちの制服です。雅子さまが硫黄島訪問にもこのセーラーカラーのスーツを選ばれたのは、“海”で命を落とした人たちへの心からの弔意と敬意を表されたのだと思います」(宮内庁関係者)