スキンケア

乾燥肌解消にはこの6つの方法!保湿クリームの選び方も丸わかり

乾燥が気になるこの季節。冬は空気中の水分が減り、晴れの日が2~3日続けば、空気はカラカラに。また、部屋の中では暖房が肌から潤いを奪い、かゆみを引き起こしてしまいます。間違った対策や生活習慣を続けていると、肌はさらにダメージを受け、傷つき、かゆさもエスカレートしていきます。でも! ちょっとしたケアや生活習慣を改善すれば、そのかゆさは、抑えられるんです!

つらそうな表情の女性が背中をかいている
写真/PIXTA
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かゆみの原因は4つ

寒い場所から暖かい場所に移動したり、セーターなどを着た時、肌がかゆくなる。こまめに保湿クリームをつけているのになぜ?

「かゆみの主な原因は4つに分けられる」と言うのは、『あいこ皮フ科クリニック』院長の柴亜伊子さん。

「それは、1.皮膚の乾燥や炎症、2.慢性の肝障害や腎障害、透析などの全身疾患、3.帯状疱疹などの神経障害、4.精神的な要因の4つです。ですが、冬場のかゆさは1の乾燥によるものがほとんどです」(柴さん・以下同)

冬場は暖房で室内もカラカラ状態になっているため、さらに肌の水分は奪われ、かゆさの原因になる。

「外気だけではなく、栄養が足りていないことも、乾燥肌の原因となります。特に、肉や魚などの動物性たんぱく質が不足していると、”肌のバリア”が落ち、皮膚が荒れ、ちょっとした刺激でかゆみやヒリヒリするなどの症状が起こります。かゆさ対策として肌のバリアを整えることが大切です」

なぜ、乾燥するとかゆくなるのか?かゆさのメカニズムとは?

皮膚が乾燥した状態になると異物が体内に入りやすくなり、それがかゆさを引き起こしてしまう。では、どのようにしてかゆさが起きるのか、そのメカニズムから見ていこう。

●皮膚に刺激が加わると、かゆさが起こる

そもそもかゆさとは、皮膚に何らかの刺激(ほこりや花粉、熱、蚊などによる虫刺されなど)が加わることで起こる。刺激を受けると、真皮内にある肥満細胞(マスト細胞)からヒスタミンなどさまざまなかゆみ物質が分泌され、それが神経を刺激し、脳に伝わることによって起こるのだ。ではなぜ、肌が乾燥するとかゆさを感じるのか?

「正常な状態の肌は、表皮が水分と油分で覆われており、異物が入るのを防いでいます。しかし、肌が乾燥すると、皮膚の水分や油分が足りなくなり、異物が入り込みやすく、刺激を受けやすくなるのです」

かゆみのメカニズムを図解
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異物とはほこりやハウスダストなども含まれるが、これからの季節は花粉も要注意だ。

「スギ花粉は1月頃から飛び始め、肌の炎症を引き起こすことがわかっています。外を歩いてかゆみを感じたら、スギ花粉の可能性があります」

花粉を避けるためにマスクは有効だが、これも乾燥した肌には刺激になる。

「顔は意識していなくても動いています。顔が動くたびにマスクと皮膚がこすれて、炎症を起こすことがあり、それでかゆさを誘発してしまうのです」

マスクを選ぶ時は、ガーゼタイプや敏感肌用など、肌に負担の少ないものを選ぼう。

●寒暖差もかゆさを引き起こす原因に

夕方、家に帰ると急にかゆさを感じる。これには副交感神経がかかわっている。

「気を張っている日中は、交感神経が優位になっているのでかゆさを感じにくいのですが、家に帰ってリラックスすると、副交感神経が優位になるため、かゆみを感じるようになるのです」

一方、急な温度変化も皮膚への刺激となる。

「お風呂に入るとかゆくなるのは、温熱刺激によるものです。冬場の肌の乾燥に急な温度変化が加わると、さらなるかゆさを引き起こしてしまいます」

この場合、肌をかくのではなく、体温を下げるのが有効だ。

「お風呂上がりにぬるめのお湯をかぶって、少しだけ体温を下げると、かゆみは和らぎますよ」

風呂上がりに常温の水を飲むのも効果的。冷えすぎないよう、ほんの少しだけ体温を下げると、寒暖の刺激が軽減される。また、部屋の湿度を40~60%に保つことで乾燥を防ぐことができる。

●着衣やアルコールも刺激に

冬場はセーターなどを着る機会が多いが、素材によっては、これもかゆみの原因となる。また、ハイネックのセーターが原因で、かゆさを感じることもある。

「モヘアやウールなどが刺激になることが多いですね。チクチクした部分が皮膚にあたると炎症を起こして、かゆさを誘発するのです」

着衣以外の原因もある。

ビールやワインなどアルコールが並んでいるイメージ写真
写真/アフロ
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「患者さんの中には、『高級クリームを塗って保湿をしているのに、首のあたりがかゆいんです』と、おっしゃるかたがいますが、肌に触れている貴金属に問題がある場合が多いのです」

アルコールもかゆさを引き起こす原因になる。

「飲酒により、血管が拡張されるとかゆくなりやすく、また汗をかくと、普段は気づかないような、ひっかき傷などの小さな炎症が刺激となって、かゆさを感じることもあります」

かゆさの原因はさまざまだが、いずれの場合も、肌のバリア機能を高め、皮膚への刺激を少なくすることが大切だ。

保湿で肌の“バリア機能”を正常にすればかゆさも治まる

乾燥対策の基本はやはり保湿。肌の水分と油分を補うことで、バリア機能が正常になる。しかし、間違ったやり方では返って肌を傷つけてしまう。正しい方法を知って対処しよう。

1. 保湿剤の選び方

ドラッグストアに行くと、さまざまな保湿剤が売られているが、商品のどこに着目して選んだらよいのか。

「保湿剤には、下の5つの成分を含んだものが多いので、これらの特徴を参考に肌の状態に合わせて選ぶといいと思います。ニベアなど昔からあるものは無難。ただ、はじめて使う場合は二の腕や太ももの内側などに少しつけて、しみたり、かぶれたりしないか確認してから使いましょう」

尿素ー保湿とともに硬くなった角質をやわらかくする。肌のごわつきが気になる人向け。ただし、乾燥がひどい人には刺激が強く、しみることもあるので、その場合は使用をやめる。

グリセリンー多くの化粧水や乳液、クリームに使われる保湿成分。肌をやわらかくし、しっとりとさせる。グリセリンが配合されているものは、敏感肌や赤ちゃんの使用も○。

ワセリンー保湿ではなく、肌を保護する作用がある。そのため、服などがこすれてかゆさを感じるなどには◎。肌への負担も少なく、比較的安価で酸化しにくいためコスパもいい。

オイルー肌の潤いを閉じ込める作用がある。ただし、油分100%のものは酸化しやすく、べたべたした使用感がある。塗り心地を重視するなら、オイルとともに水やグリセリンなど他の成分が配合されたものを選んで。

セラミドーバリア機能を働かせる作用があるため、水分の蒸発を防ぎ、肌が潤う。敏感肌はもちろん、加齢によって肌の乾燥がひどくなった人にも有効。

もしも迷った場合は、調剤薬局に行くとよい。

「調剤薬局には乳幼児にも使える敏感肌用保湿剤が置いてあるので、薬剤師に確認を。また、製薬会社が出しているザーネクリームやビタミンクリームなどは、肌のバリア機能を高めてくれるのでおすすめです」

2. タイツをはく前は保湿を

タイツをはくと、かゆくなる人は、はく前に保湿を。

「ベタベタするとタイツがはきづらいので、乳液ややわらかめのクリームがおすすめです。一か所に使う量は500円玉くらいの大きさで、惜しみなくたっぷりと塗りましょう。低刺激で皮膚を保護してくれる椿油もおすすめです」

脚にクリームを塗っている
写真/アフロ
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ワセリンや馬油も皮膚を保護するが、ベタベタした使用感があるので、ストッキングやタイツなどをはく前には不向きだろう。

3. 赤ちゃんをなでるように

保湿剤を浸透させようと、強めのマッサージをするのは逆効果だ。

「手の力も皮膚への刺激となります。ゴシゴシとこすってしまうと炎症がひどくなり、かゆさもより強く感じるようになります。保湿剤は、赤ちゃんの肌をなでる時のようにやさしく塗りましょう」

4. オーガニック系の保湿剤は避ける

食物アレルギーは、口から摂ったものだけではなく、皮膚についたものが原因で起こることもわかっている。

「“自然派化粧品”などオーガニック系のものの中には植物由来で作られていて、口に入れても大丈夫とうたっている商品もありますが、それらが原因でアレルギーを引き起こすことも。また、植物由来のものでもアレルギーの原因になることがあります。肌のバリア機能が低下している時には、これらは避けて、グリセリンやセラミド、ヒアルロン酸など、スキンケア用に開発された成分が配合されているものを選びましょう」

5. 保湿効果のある入浴剤は◎

寒い冬は、湯舟につかって温まりたいもの。そんな時は保湿効果のある入浴剤で、乾燥を防ごう。保湿成分としては、セラミドやホホバオイルなどの成分が代表的だ。

風呂上がりにクリームを塗っている女性
写真/アフロ
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「ただし、お風呂上がりはお肌から水分が抜けやすく乾燥もしやすいので必ずパジャマを着る前にローションかクリームで保湿をしましょう」

6. 椿油は万能

椿油は保湿効果が高いだけでなく、クレンジング力にも優れているので1本持っておくと便利だ。

「椿油は皮脂と非常に似た成分で、刺激がほとんどありません。また、皮膚の上で分解され、保湿成分のグリセリンを作ってくれるので、保水効果もあります。大島椿の油はドラッグストアでも手に入るので、使いやすいですよ」

※女性セブン2019年2月7日号

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