入浴には、リラックスすることにより副交感神経が優位になり免疫力がアップしたり、血液循環がよくなり老廃物が排出されやすくなるなど、メリットがいっぱい! より効果的に入浴するために、お風呂の専門家たちに健康&美容効果を得るための正しい入浴法を聞いた。
浸かるだけで全身マッサージ機と同様の効果が!
「温熱作用で血管を広げ、水圧作用で血液を押し出し、浮力作用でコリがほぐれるので、入浴は最高の全身マッサージ機。むくみの解消も望めます」(バスクリン広報でお風呂博士の石川泰弘さん)
マッサージ効果を最大限に実感したいなら、断然全身浴! 鎖骨までたっぷり、ゆったり浸かって。
シャワーのみの場合、体や髪を洗う間に足湯をプラス
入浴できない場合は、シャワーで髪や体を洗いながら、足首まで浸かる桶で足湯をするのがおすすめ。
「全身浴にはおよびませんが、足先で温めた血液は全身を巡るため、シャワーのみよりも体を温める効果が得られます」(眠りとお風呂の専門家・小林麻利子さん)
「お風呂で痩せる」はウソ! お風呂だけでは痩せない
入浴後に体重が落ちるのは汗で水分が減ったからで、実際はほとんど痩せていない。一方体温を上げて「痩せやすい体」を作ることは可能。
「血液を温めれば関節可動域も広がって動きやすくなり、さらに痩せやすい体になります」(石川さん)
浴室照明を柔らかい光にして睡眠ホルモンの分泌を促進
浴室照明が白色の蛍光灯の場合、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を妨げる可能性があり、質のいい睡眠が得られない。
「暖色系の灯りにしたり、キャンドルなどで副交感神経を高めて、睡眠ホルモンを分泌させましょう」(小林さん)
体温が高い月経前こそより体温を上げ熟睡へ誘導
月経前は基礎体温が高く、通常より体温が下がりにくいため、睡眠の質も下がりがち。「そんな時こそ入浴して血管を広げ、体温のメリハリをつければよく眠れます」(小林さん)。
月経中も同じ効果が得られる。
熱がなければ風邪ぎみでも入浴OK!
「体温が上がることによって血中の白血球が活性化し、ウイルスを退治するため、入浴は風邪の引き始めにも効果的です」(石川さん)。
深い睡眠も得られ、多少の不調は改善できる可能性が。ただし、すでに熱が上がっている場合は控えること。
基礎体温が35℃台なら長めの入浴で免疫力アップ!
体の機能を高めるたんぱく質「ヒートショックプロテイン(HSP)」を増やせば、低体温の人も基礎体温が上がり、不調知らずの体に。
「HSPは入浴で簡単に増やせます。以下に紹介する入浴法を、週2回を目安に無理をせず行うとよいでしょう」(小林さん)
【HSPを増やす入浴方法】
・浴室を温めて、体温を計る
シャワーで打ち湯をして浴室を温めている間に、婦人体温計で体温を計る。タオルや着替えはすぐ手の届く場所にスタンバイ。
・体温が2℃上がるまで入浴する
湯ぶねに半分ふたをして、41℃で15分、または40℃で20分を目安に入浴。血行促進効果のある入浴剤を使用する場合は40℃15分でOK。体温が2℃上がるのが理想的。
・入浴後、10~15分間保温する
上がって身支度をしたら、体温が最高温度より1℃以上下がらないように、暖かい部屋で10~15分間保温。常温や温かい飲み物で水分補給を。
塩素は肌や髪にもダメージ!浄水シャワーヘッドにチェンジ
「備え付けのシャワーヘッドでは、水道水に含まれた塩素を全身に浴びていることに。肌や髪にも残ってダメージ大です」(お風呂ソムリエの松永武さん)。浄水シャワーヘッドにチェンジすれば肌や髪にやさしく、洗浄力もアップする。
正しい入浴は一番の薬!認知症予防にも
「正しい入浴を続けることで、免疫力を向上させ、栄養素の循環を高めることができます。熟睡にもつながり、その結果、日頃の風邪予防などに役立つほか、認知症のリスクも減ると考えられています」(石川さん)
入浴後は乾燥度MAX!5分以内に手早く保湿を
入浴すると肌の保湿成分が流出し、入る前よりも乾燥した状態になるため、5分以内に保湿したい。
「ボディミルクを手早く塗ること。浴室内で塗れば蒸発を防ぎ乾燥を防止できます」(小林さん)
体温の降下とともに就寝し、成長ホルモンを分泌させる
入浴の効果を最大限に得るには、上質な睡眠との組み合わせが欠かせない。冬場は、寝る30分~1時間前、夏は1~2時間前に入浴したい。
「上がった体温が急降下し始めたときに布団に入るのが、熟睡へと導くベストタイミングです。熟睡すると寝始めの90分以内で深いノンレム睡眠が得られ、このとき成長ホルモンが分泌しやすくなります。これにより、アンチエイジングや不調の改善などさまざまな効果が得られるのです」(小林さん)
寝る前までは靴下で保温!布団に入ったら脱いで放熱を
足先は、熱が最も放出される部分。「お風呂上がりは靴下を履いて血管の収縮を防ぎます。冬はレッグウォーマーを加えても。布団に入るときは靴下を脱ぎ、急速に熱を逃がして深部体温を下げることで、最高の眠りが得られます」(小林さん)。
教えてくれたのは:
お風呂博士・石川泰弘さん
バスクリン広報。温泉入浴指導員として講演を行う。著書に『たった一晩で疲れをリセットする睡眠術』(日本文芸社)ほか。
お風呂のソムリエ・松永武さん
バスグッズ専門店「バスリエ」代表取締役、HOT JAPAN プロジェクト代表理事。快適なバスタイムの提案を行う。
眠りとお風呂の専門家・小林麻利子さん
生活習慣改善サロン「Flura」主宰。1700人以上の体の悩みなどを解決。著書に『読む お風呂の魔法』(主婦の友社)ほか。
撮影/菅井淳子 イラスト/きくちりえ(softdesign)
※女性セブン2019年2月21日号
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