更年期

遅い更年期障害は重くなる?イライラ、寝込むなどの症状と対策を解説

更年期障害は、「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌が減ることで起こる。症状としては、全身のだるさ、疲労感、急に体が熱くなるホットフラッシュや、頭痛、耳鳴り、吐き気、動悸、めまいのようなものが代表的だ。

オーク住吉産婦人科の船曳美也子院長が説明する。

「更年期はエストロゲンの分泌量によって症状もさまざまです。閉経後、数年経っても症状がスッキリと消えない人、”更年期が終わった”と思っても、また症状が重くなる人もいます」(船曳さん)

閉経が遅くなり60代で更年期障害に悩む人も

悩みを抱えている60代の女性
写真/ゲッティイメージズ
写真2枚

更年期障害は通常、閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間であらわれる。日本人女性の平均閉経年齢はここ最近遅くなってきていて、60代前半まで生理が続く人もいるという。

「考えられる要因は、生活習慣の変化です。ピルを使っていたり、肉や豆といったたんぱく質の摂取を好む女性は、閉経が遅いという傾向があります」(船曳さん)

芸能界でも、高橋真梨子(70才)が64才のときに“遅めの更年期”を告白して話題になった。高橋の場合は、それまで取り組んできた仕事に、意欲を抱けなくなり、食事がのどを通らなくなった。栄養不足からか、充分に歌うこともままならなかった。しかし、病院へ行っても悪いところはないと言われ、約3か月間、仕事を休んで家で寝たきり状態になってしまったという。

ホットフラッシュやイライラなどメンタルが不安定に

都内在住の会社員Aさん(60才)も56才のときに更年期障害に気づいた「遅れ更年期」の経験者だ。

「周りの同世代の友人がやっと更年期から解放されたという時期に、大量の寝汗に悩まされました。多いときは一晩に3回もパジャマを替えたことも。熱もないのに毎晩続くんです。家では、布団の上にバスタオルを敷いて、パジャマの中に吸水性のいいタオルを入れて寝るなど、工夫しましたが、旅行となるとそれもできない。子育てを終え一段落したときに、友人たちとの旅に参加できなかったことは本当に悔しいです」

神奈川県在住のBさん(62才)は58才で症状があらわれたという。

「私の場合、ホットフラッシュが出るようになって、更年期を自覚しました。頭の上に手をかざすと、明らかに熱いんです。これくらいならまあいいかとあきらめていた数年後、60才のときに今度は突然涙が止まらなくなったり、些細なことにイライラしたり、メンタル面が不安定になってしまいました」

この年代に”なりやすい病気”と併発するとさらに疲弊

更年期障害によるうつ症状で部屋で頭を抱える女性
写真/ゲッティイメージズ
写真2枚

閉経が遅くなり、更年期障害も“後ろ倒し”されると、症状は重くなるという。前出のAさんが言う。

「ちょうど母の介護が大変な時期と重なりました。更年期でメンタルが不安定なところに、言うことを聞かない母の世話は苦痛以外の何物でもない。母を怒鳴るたびに自己嫌悪になっていました」

症状が重くなる理由はほかにもある。

「子育てが終わって燃え尽きた、介護で充分な睡眠がとれないといった理由で症状が重くなることもあります。アラ還での更年期は、そこからうつに発展しやすいという傾向もあります」(船曳さん)

ほかにも、甲状腺機能低下症や骨粗しょう症、子宮内膜症など、この世代特有の疾患と併発すると、体力面でも精神面でも疲弊してしまう。一方で更年期障害と思われる症状を自覚したのをきっかけに、大病が悪化するのを未然に防げるケースもある。

歌手の園まり(74才)は、12年前にほてりや寒気などの更年期障害に似た症状を自覚し、緩和するためのホルモン補充療法を受けることになった。ただしこの療法は、乳がんや子宮がんの危険性を高めてしまう。そこで検査を受けたところ、乳がんが見つかったのだ。すぐに手術を受け、その後は転移や再発を防ぐ治療を続けながらも、歌手活動を再開している。

「更年期障害は仕方ないことだからと放置せず、不調を感じたら、病院へ行ってください」(船曳さん)

※女性セブン2019年4月18日号

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