健康・医療

中村アンの腸活法って?「酪酸菌」の効果と食べ物で増やす方法も解説

今やブームの域を超え、美容と健康において常識となりつつある“腸活”。その中でも、最近注目を集めているのが「酪酸菌(酪酸産生菌)」だ。

慶応義塾大学薬学部教授の長谷耕二先生と女優の中村アン
写真9枚

5月18日(土)、19日(日)に東京・港区の東京ミッドタウンで開催された、働く女性のためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2019」では、「腸を鍛えて内側から健康になる!医学界で注目『酪酸菌』の秘められた力」と題したセッションを開催。

腸内フローラ研究の第一人者である、慶応義塾大学薬学部教授の長谷耕二先生と女優の中村アンさんが登壇した。

善玉菌が多いほど腸内環境は良好!

慶応義塾大学薬学部教授の長谷耕二先生
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まず、長谷先生が話したのは、“マイクロバイオーム”という人間の腸内細菌叢(そう)について。健康な人40人を対象に検査したところ、腸内細菌の総数は20兆~120兆個と、構成菌の数はもちろんその種類にも大きな個人差があったという。腸内細菌は、フローラ(花畑)に例えられるくらいなので、善玉菌の数が多いほど腸内環境は良好なんだとか。

そんな善玉菌の組成や数を決めているのは、食生活だという。

「腸内細菌叢は、若いうちから食べるものによって決まってしまい、なかなか変化しないので、いかに若いうちから(腸内環境をよくする)いい食事を摂ることが重要です」(長谷先生・以下同)

逆に偏った食生活、抗生物質、加齢などの要因で腸内細菌に悪玉菌が増えると、腸のバリア機能が低下し、免疫系や代謝系の異常が起こり、さまざまな疾患が発症する危険性が高まる。それらが腸の病気だけではなく、肥満、メタボリック症候群、関節リウマチ、パーキンソン病、肝がんなどの原因になることも。

酪酸菌を増やすことが美容・健康のカギに

慶応義塾大学薬学部教授の長谷耕二先生
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では、善玉菌の一種で、このセッションのテーマにもなっている酪酸菌とはどういうものか?

酪酸菌は腸内で酪酸を産生する菌のことで、腸内環境を保つために欠かせないものだという。最近の研究では、長寿の人にこの酪酸菌が多いことがわかっている。

一方で、運動不足や肥満、ストレスなどが原因とされる2型糖尿病患者の腸内細菌叢を調べたところ、日和見病原菌、メタンガス、硫化水素などの有害な代謝物が増えているのに対し、酪酸菌の数が減っていた。

さらに、ここ37年間で患者数が300倍以上も増えている炎症性腸疾患を始めとした腸疾患の患者の腸内でも、酪酸菌が減少していることが判明。つまり、「酪酸の濃度が低くなることが、腸などの病気の悪化につながっていると推測されている」と長谷先生。

加えて、アトピー、喘息などアレルギーの発生とも関係があるとされ、それらを発症している乳幼児の腸内細菌叢を調べると、1歳であってもすでに酪酸菌の数が減ってている場合が多かったという。

そういったことから、腸内の酪酸菌の数を増やすことが、肥満予防、リウマチ、骨量減少、脳内炎症、糖尿病、がんなどさまざまな疾患に対する抑制につながることが期待され、それが結果、美容・健康の増進にもつながるという。

酪酸菌を増やす方法は?ポイントは“MAC食品”

りんご
写真/アフロ
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では、酪酸菌を増やすにはどうすればいいのだろうか? 長谷先生曰く「これを食べたらすぐ増える、というようなものはない」と言うが、まず腸内に酪酸をたくさん作らせるためには、“MAC(マック)食材”を日常的にとる必要があるという。

“MAC食材”とは腸内細菌が喜ぶエサになる食べ物のことで、これにあたるのが、水溶性食物繊維、オリゴ糖、レジスタントスターチ(食物繊維と同様の働きをするでんぷん)などを含むもので、代表的なものが、玉ねぎ、りんご、大麦、きのこ、海藻などだという。

「さまざまな食物繊維をバランスよく摂ることが重要なのはもちろん、運動も大切。適切な運動は腸内細菌を活性化させるので、ぜひ運動もしてください」

中村アンも“腸活”を実践したことで体に変化が

中村アン
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続いて、中村さんが登場し、トークセッションを行った。

モデル、女優として活躍し、現在ドラマ『集団左遷‼』(TBS系)に出演中で多忙を極めている中村さん。不規則になる日常の中でも、美容と健康をキープするため睡眠に注力しているそう。

中村アン
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「やはり、ドラマの撮影が続くと睡眠時間が3~4時間になってしまって。そんなときは、とにかく集中して寝るようにしています。3時間でも集中して寝るとスッキリします」(中村さん・以下同)

また、カロリーが高くなりがちなロケ弁が多くなるため、食生活も工夫しているんだとか。

「お弁当が続くと、肌荒れをしてしまうことも…。私はそんなにマメなタイプではないので、納豆、キムチ、ゆで卵など、簡単に用意できるものをお弁当にプラスするようにしています」

中村アン
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中村さんの美容の悩みは「肌荒れ」で、食事、睡眠が乱れると「荒れやすくなる」とのこと。そんな中、“腸活”を始めたところ変化が。

「体調がよくなったことにプラスして、特に肌の反応がよくなりました。私の場合、甘いもの、脂っこいものを食べると肌に出て、鏡を見るとテンションが下がってしまうので(苦笑)、なるべく普段のルーティーンを守るようにしています」。

中村アン
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ほかにも美容と健康のために心がけていることを教えてくれた。

「食事だけではまかなえない栄養素は、サプリメントで摂るようにしています。あとは、お水を1日1.5~2L飲むようにしていて。それと歩いたり、ピラティスをしたりと適度な運動も取り入れています。

湯船にもしっかり浸かるようにしていますね。40℃くらいから浸かり始めて、41℃、42℃と温度を上げて15分くらいはいっています。その間に、髪をトリートメントしたりするといいですよ」

慶応義塾大学薬学部教授の長谷耕二先生と女優の中村アン
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積極的に“腸活”に取り組む中村さんに、長谷先生も「いいですね」とニッコリ。最後に先生から「腸年齢を若くすることがアンチエイジングにつながります。その1つのマーカー(指標)が酪酸菌だと思いますので、できるだけ酪酸菌を増やすように心がけて。アンチエイジングに努めていただきたいですね」とメッセージが送られ、セッションは幕となった。

【データ】
「WOMAN EXPO TOKYO 2019」
5月18日、19日開催

取材・文/鈴木知子 撮影/平野哲郎

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