健康・医療

腸内環境を改善する食べ物|食材の種類、食べ方で効果を上げる方法を解説

腸活、腸年齢、腸内環境…これだけ健康にまつわる言葉を多岐にわたって生み出した臓器はほかにないだろう。健康のカギを握る「胃腸力」を高める食べ物にはどんなものがあるのだろうか?

管理栄養士の浜本千恵さんが解説する。

「胃腸の状態を健康に保つことが、自然治癒力を上げ、免疫力を高めることにつながるとされています。老廃物や有害物質を体外に排出する“善玉菌”と呼ばれる腸内細菌を増やすことで、病気を予防し、体全体を健康に保つことができるのです」

では、どんな食生活を送れば胃腸力を高めることができるのか。

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キャベツ、納豆、大根…NGな食べ方も

千切りキャベツをまな板で刻んでいるところ
写真/ピクスタ
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キャベツと納豆は、専門家が口を揃えておすすめするが、実はこの2つは熱に弱く、相性が悪い。管理栄養士の中沢るみさんが解説する。

「キャベツに含まれるビタミンUには、弱った胃粘膜を修復してくれる効果があります。ただし、ビタミンUは熱に弱く、水に溶け出す性質があるので、食べるなら生がおすすめ。加熱する場合はスープにして、溶け出したビタミンUも全部飲み干しましょう」

納豆も腸内環境を整えるのに役立つうえ、食物繊維が豊富であるため、胃腸力を上げるのに欠かせない一品だが、やはり熱に弱い。

「アツアツのご飯にかけたいところですが、ネバネバ成分であるナットウキナーゼは熱に触れると効能が弱くなってしまう。胃腸力を高めるのが目的なら、そのまま食べることをおすすめします」(管理栄養士の磯村優貴恵さん)

大根が葉付きの状態で置いてある
写真/アフロ
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大根も胃腸力を上げる食べ物の代表格だが、熱との“共演NG”。管理栄養士の伊達友美さんが言う。

「ジアスターゼという消化酵素が含まれていて、胃酸過多や胸焼け、消化不良を防ぐ働きをしてくれるのですが、弱点が熱。だから、胃腸のために食べるなら生がおすすめ。さらに、細かくして細胞を壊すと成分が活性化するという特性もあるため、大根おろしにすると、より効果が」

りんごは「すりおろさない」!”温ヨーグルト”もおすすめ

反対に、胃腸の働きをよくすると言われるりんごはすりおろさない方がいいという。

コロンハイドロセラピストと呼ばれる腸内洗浄の専門家である女性ライフクリニック銀座の齊藤早苗さんが言う。

「りんごの皮に含まれるペクチンには、悪玉菌を減らして腸の調子を整えてくれる効果が。皮には抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれているので、ぜひ皮ごと食べて」

また、りんごは加熱してもOK。齊藤さんのおすすめは“温りんご”だ。

「皮の赤いりんごをよく洗ってから皮ごと一口大に切り、耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジへ。出力500Wで、りんご半分の量ならば2分45秒ほどで出来上がりです。同じく整腸作用のあるオリゴ糖やヨーグルトと一緒に食べると、相乗効果が期待できます」

ヨーグルトをスプーンですくっている。周りにはフルーツやコーンフレークが置いてある
写真/ピクスタ
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「温りんごヨーグルト」は、夕食が遅くなった時の“置き換え食”にもなる。

「腹持ちがいいうえ、胃腸に負担をかけずに消化できます。さらに、ペクチンには食物繊維も豊富に含まれており、便秘解消も期待できます」(齊藤さん)

ヨーグルトに「米ぬか」を煎ってちょい足しするのもいい。

食物繊維は水溶性と不溶性のバランスがポイント

りんごをはじめとして、胃腸力を上げる食べ物には食物繊維が豊富だ。しかし、食物繊維があるからといってやみくもに食べるのは逆効果になる可能性があるという。

看護師で一般社団法人日本美腸協会代表理事の小野咲さんが解説する。

りんごを半分に切ったものと丸ごと1個が置いてある
写真/ピクスタ
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「実は食物繊維には2種類あり、りんごに含まれているのは“水溶性食物繊維”と呼ばれるドロリとした、水分の多い食物繊維です。ほかにも昆布やわかめ、里いも、納豆などに多く含まれています。粘着性があって胃腸内をゆっくり移動するので、お腹が空きにくく、食べすぎを防いでくれる。便に水分を含ませる効果もあるため、便秘も解消されます。さらに、糖質の吸収を緩やかにして食後の急激な上昇を抑えたり、コレステロールを吸着して体外に排出したりする効果もあります」

もう1つは「不溶性食物繊維」で、豆類や穀類、きのこなどに含まれる。

「不溶性食物繊維は水に溶けにくい特性があります。腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸を刺激してぜんどう運動を活発にしてくれる。ただ、体内に水分がなければうまく便が排出できません」(小野さん)

水溶性と不溶性、両方の食物繊維をきちんと摂ることが大切なのだ。

「特に水溶性食物繊維が不足すると、便が硬くなり、詰まりやすくなります。バランスよく食品を選んだり、ごぼうのように水溶性も不溶性も両方含む食品を積極的に食べたりするなど、意識して献立を考えましょう」(小野さん)

また、腸内環境は常に整えておく必要があることも忘れてはならない。

「腸内細菌は腸内に永住するわけではなく、排便すれば体外に出ていってしまう。腸にいい食べ物をたくさん食べても、1日だけで終わってしまえば何の意味もありません。少しずつでも、毎日摂取し続けることが大切です」(磯村さん)

”酢キャベツ”など効果を高める食べ方は?

「NGな食べ方」とは逆に、食べ方を少し工夫することで、より効果を高められる方法もある。免疫学者で東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎さんのイチオシは、“酢キャベツ”だという。

「お酢によって口あたりがよくなり、たくさん食べることができるのはもちろん、ダイエットにもいいんです。なぜなら、お酢に含まれる酢酸は、短鎖脂肪酸と呼ばれて、やせ菌のエサになり、糖尿病予防効果が期待できるから。キャベツを刻んでお酢につけるだけという手軽さも、おすすめしたい理由の1つです」

腸セラピストの真野わかさんによれば、納豆やみそなどの発酵食品にも、より効果的な食べ方があるという。

納豆にネギ、卵黄、からしが乗っている
写真/アフロ
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「納豆は同じく整腸作用の強い玄米にかけたり、アボカドと一緒に食べたりすると、相乗効果で腸内環境が整い、美肌になったという声も聞きました。気温が上がって冷たいものを多く飲むこれからの季節には、みそ汁も積極的に食べてほしいですね。みそ汁をのむ習慣がないかたにすすめたいのは、ナッツとみその組み合わせ。小腹が空いた時やおつまみ代わりに、ナッツにみそをつけて食べると、不足しがちな食物繊維も一緒に摂れますよ」

西焼津クリニック院長の林隆博さんによれば、みそのほか、魚は胃腸力を上げる食べ物と食べ合わせの相性がいいのだという。

「定番ですが、大根おろしは焼き魚に添えることで、大きな効果を発揮します。大根おろしに含まれる消化酵素は、EPAやDHAといった魚が持つ脂肪酸と相性がよく、吸収と消化を促してくれるのです。

山いもにまぐろを合わせた“まぐろの山かけ”もいい。まぐろのたんぱく質の吸収を、山いものネバネバ成分が助けてくれるうえ、胃に粘膜を張って有害物質の侵入を防いでくれる。実に“合理的”なメニューです」

「どんどん食べて、足りない栄養を補給しよう」と意気込む人もいるかもしれないが、食べすぎは禁物。堀江さんによれば、胃腸力を高めるためには、“食べること”と同じくらい“食べないこと”が重要なのだという。

「胃腸が弱る最大の原因は、実は食べすぎなのです。胃腸は食べ物が入っていない空腹の状態の時こそ、よく働きます。食べ物の残りカスを掃除したり古い粘膜をはぎ取ったりするなど、胃腸をきれいにするための活動をしている。だからきちんと空腹の状態をつくってあげないと、胃腸力はどんどん低下する。お腹がグーッと鳴るのは“お腹が空いた。食べたいよ”ではなく、“掃除中だよ、食べないで”の合図なのです」

まずはお腹が鳴るまで待ってから、今夜のメニューを考えたい。

※女性セブン2019年5月23日号

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