健康・医療

リバウンドしないダイエット方法|食事制限なし、食べ方を変えるだけで太りにくい体に!医師が教える3つのルール

糖質制限、炭水化物抜き、〇〇だけダイエット…、毎日太ることにおびえながら、流行りのダイエットに飛びつく日々。なのに結果が出ず、ストレスでリバウンド…そんなダイエット地獄から脱出するにはどうしたらいいのか? 20年以上リバウンドしていない医師が、「リバウンドしないダイエット法」をズバリ解説!

食事をがまんしている女性
写真/ゲッティイメージズ
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『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)の著者で、精神科医の奥田弘美さんは、子供の頃から20代後半までずっと太っていたという。それは「思い込み」による悪習慣によって、自分自身を太らせていたからだと語る。

「痩せない理由は、ずばり思い込みによる食べすぎです。“食べるべき”という思い込みよる間違った思考と習慣によって、ダイエットの成功を阻んでいたんです」(奥田さん・以下同)

太る原因、「食べすぎ」の理由は“思い込み”

ケーキが2つ並んでいる
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食べすぎを呼ぶ思い込みは大きく分けて4つあるという。

【1】3食きっちり食べ
「私がよくやっていたのがこれ。『3食きっちり時間通りに食べること』が健康にとって非常に重要だとしつけられ、お腹が空いている空いていないにかかわらず、朝起きたら朝食、正午から午後1時には昼食、午後7時前後には夕食を食べていました」

【2】付き合い食べ
学校や職場でお菓子を持ち寄り休憩時間に食べる。友達と会って、カフェでコーヒーのおともにケーキなどのスイーツを食べる。お腹が空いているかは無関係に、「『どうぞ』とすすめられて断るのは悪いから」「みんなが食べているから」という理由で食べる。

【3】ストレス解消食べ
嫌なことがあったから、イライラするから、なんとなく気分を落ち着かせるカンフル剤的な理由で、チョコレートやクッキー、ケーキなど、甘いものをつまむ。

【4】目で見て食べ
旅行先や外出先などで、普段食べないような珍しい食べ物、レアな食べ物、見た目がおいしそうな食べ物、“限定”の食べ物、テレビや雑誌で話題の食べ物に出合い、お腹の空き具合を無視して食べる。

「これらはすべて、空腹感を無視して、頭でいろいろ考え、理由をつけて食べる“思い込み”。こういった食べすぎアクションが習慣になっていませんか? 私が考案した『脳ダイエット』は、食べすぎる自分と決別すべく、誰もが持っているスリム維持センサーを目覚めさせるもの。基本的な3つのアクションをシンプルに実践するだけで、安全に太りにくい体へと変わっていきます」

「脳ダイエット」の基本は以下に詳しく紹介していく。

【ルール1】お腹がすっきり空いてから食べる

下着姿の女性が、吹き出しタイプのカードをもっている
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「脳ダイエット」で最も重要なのがこの「お腹がすっきり空ききってから食べる」ということ。周りにいるスリムな体型を維持している人は、常にこの法則を実践しているはずだと奥田さんは言う。

「前に食べた物のエネルギーを使い切らないうちに、次の食べ物を食べるから、余った分がどんどん脂肪になって体に蓄えられてしまうのです」

「お腹がすっきり空く」という感覚にピンとこない人がいるかもしれないが、わかりやすくいえば以下のような状態だという。

・なんとなく小腹が空いたという感じではなく、お腹がグーッとなりそうなほど徹底的に空いた感じ。(実際にならなくてもOK)

・目の前の食べ物がすべておいしそうに見えて、「とにかく何でもいいから食べたい」という感覚。

実際にお腹がすっきり空くと、何を食べてもおいしく感じるそうだ。そのため妙な食い意地もなくなり「目で見て食べ」も避けられるという。

【ルール2】食べる量は「腹八分目」でストップ

食べ残しのパスタ
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「子供のころを思い返してみると、『お腹が空くまで食べない』『お腹がパンパンに苦しくなるまで食べない』ということが当たり前にできていたはず。それは、人間に備わった“スリム維持センサー”が正常に働いていて、腹八分目あたりで満腹だと判断して食べ終えるからなんです。それがなぜか大人になると、多くの人の満腹ラインが狂ってしまい、腹十分目の満腹ラインに変化してしまうのです」

腹八分目の満腹ラインが狂う原因としては、下記のようなことがあげられる。

●道徳食べ
「残すと作ってもらった人に悪いから」「食べ物を残すなんて生産者に申し訳ない」といった道徳を、成長過程で刷り込まれてきたから。

●早食い&ドカ食い
時間に追われて食事をかき込むために満腹ラインを感じる暇がない。

●食い意地食べ
ダイエットの繰り返しで、食べ物への強い執着が生まれて、食べ始めるとお腹がパンパンになるまで食べないと気が済まない。

健康的にスリムな人の満腹ラインは、「空腹でなくなって、ほどよく胃袋が満たされた感じ」だという。

「腹八分目ラインにバランスよく食べていると、食後でも体を楽に動かせます。そして自然と1日3食のリズムでお腹が空いてきます。なぜかというと、肝臓と骨格筋には糖質をグリコーゲンに変えて蓄えておくタンクがあるからです。これを超えて食べた糖質は、体の中で脂肪となって蓄積されていきます。血糖をコントロールしている肝臓のタンクに蓄えておけるグリコーゲンの量は体格にもよりますが70~80g前後。カロリーに換算すると500kcal前後と言われています。平均的な女性の体格であれば、ご飯茶碗1杯前後におかずや飲み物をバランスよく腹八分目まで食べれば、6~8時間おきくらいにタンクのストックが減ってきてお腹が空いてきて1日2~3食のペースで規則的な食生活が送れます」

このグリコーゲンタンクをあふれさせないように食べて、脂肪となって蓄積されるのを防ぐ。そして常に摂取したエネルギーを使い切る。これを繰り返していけば、糖質が体脂肪に変換されずにスリムな体型を維持できるというわけだ。

【ルール3】食べ順は「緑→赤→黄」で“バランス栄養食べ”

和食
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これらのスリム体型を維持する習慣も、このバランス栄養食べの知識と実践がなければ、ちょっとのきっかけで崩れてしまう。スリムな体型を揺るがない確固たるものにするためには、この「緑→赤→黄」の食べ順(詳細は後述)で、“バランス栄養食べ”を実践することが重要だという。

ざっくりひと言でいうと、赤はたんぱく質食品のグループ、黄は炭水化物と脂肪のグループ、緑はビタミン・ミネラル食品のグループ。

【赤グループ】

牛乳
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〈体の組織のもとになるたんぱく質がメインに含まれている食品のグループ〉
・肉類(赤身のところ。脂身は黄色グループにはいる)
・魚、練り製品(かまぼこ、さつまあげ、はんぺんなど)、卵、大豆製品(豆腐、豆乳、大豆、枝豆、油揚げなど)
・チーズやヨーグルト、牛乳などの乳製品(脂肪分や糖質が高いほど、黄色グループとのミックス食品となる。生クリームやバターは完全に黄グループ)

【黄グループ】

白米が茶碗いっぱいに入って、お箸で一口分すくいあげている
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〈体を動かすエネルギーとなる食品のグループ〉
・米、小麦粉製品(パン、麺類、パスタなど)、とうもろこし、いも類などの炭水化物
・お菓子、甘いジュース類などに含まれる糖質(砂糖、ブドウ糖、果糖などすべて)
・バター、ラード、オリーブオイル、生クリーム、肉の脂身などの油脂類
・日本酒、果実酒、酎ハイ、ワインなどのアルコール類

【緑グループ】

2種のサラダ
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〈体の調子を整えるビタミン・ミネラルがメインに含まれる食品グループ〉
・野菜類(ただし、いも類、とうもろこし、かぼちゃなどはダイエットでは黄グループ)
・海藻、果物類(果糖が含まれているので黄色グループの働きも併せ持つ)

それぞれのグループには1日に食べなければならない目安がある。

赤グループ→だいたい手のひらにのる量(赤身の肉なら80g前後、卵なら1個)を1日に3~4つ分。

緑グループ→緑黄色野菜、淡色野菜、海藻などを取り混ぜて、赤グループと同じ量以上。

黄グループ→油脂類は赤グループの動物性食品(肉、魚、卵)に含まれているので、あえて積極的に量を決めてとる必要はない。

炭水化物は、体格や活動量によって異なるが、標準体型の女性であれば、ご飯なら茶碗軽く1杯を1日に3つ程度。

そして、太らないためには“食べ順”も重要だ。それは「緑→赤→黄」の順番だという。

この食べ順で食べていくと、緑グループや赤グループの食材によって、黄グループを食べても急激な血糖値の上昇を防ぎ、脂肪化されにくくなる。さらには、先に緑や赤グループを食べるから、最も太りやすい黄グループの食べすぎを防ぐこともできる。

「みそ汁やスープがある場合は、緑グループと一緒に先に食べてください。水分で緑グループの食物繊維が膨張して、さらに黄グループの食べすぎを防止できます」

この脳ダイエットで、奥田先生自身、ぽっちゃり体型から健康的なスリム体型になった。そして2児の出産を経て、アラフィフとなった今もBMIは20(BMIは体重と身長から算出される肥満度を示す指数。正常値は18.5以上~25未満)、洋服のサイズは常に7~9号をキープしているという。

やればいいのはたったこれだけ。無理な食事制限も激しい運動をしなくてもいい。以上あげてきた、食べ方を続けることで、“思い込み”による悪習慣を断ち切り、「脳の使い方」を変えることができると奥田先生は指摘する。

その結果、一生リバウンドしない健康的なスリム体型を手に入れることができるという。

教えてくれたのは:医師・奥田弘美さん

精神科医の奥田弘美さん
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おくだ・ひろみ。精神科、精神保健指定医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。日本マインドフルネス普及協会代表理事。メディカル&ライフサポートコーチ研究会代表。精神科医・産業医として都内18か所の企業やクリニックで老若男女の健康ケアに携わっている。作家活動も精力的に行っており、ストレスケアやマインドフルネス、コーチング、ダイエットなどをテーマに著作は20冊以上。ベストセラーとなった著書に『心に折り合いをつけてうまいことやる習慣』(すばる舎)、『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)などがある。

取材・文/竹腰奈生

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