蒸し暑い季節は、のど越しがよいものやあっさりと食べられるものなどに食事が偏りがち。また、暑い中で調理するのが億劫で、料理の品数や食材の種類が少なくなってしまうなど、栄養バランスが崩れ気味な人も多いのでは?
栄養バランスが乱れていると、夏バテや体調不良を引き起こしやすくなるだけでなく、むくみや肌荒れの一因となるリスクも…。
そこで、「マラソン界のシンデレラ」と呼ばれた最強美人ランナー市橋有里(いちはし・あり)さんに、バランスよく、しっかり栄養を補給できるメニューを直撃!
夏場やダイエット中には特におすすめの高たんぱくメニューを伝授していただきました。疲れて帰った夏の夜は、ついつい夕食代わりにアイスに手が伸びてしまうライターFが徹底レポートします。
栄養満点!味わい、食感、彩りまで揃った高たんぱくちらし寿司
――カラフルで、すごくおいしそうですね!
有里:驚くほど具だくさんで、栄養をたっぷり補給できる、とっておきのメニューです! 私は幼い頃から、夏になると食卓に上る母お手製の鮭寿司が大好きで。これが食べたくて、夏の訪れが待ち遠しかったくらいです。
――市橋家の夏の風物詩というわけですね。
有里:そうですね。今回は、その鮭寿司を食欲がないときの栄養補給やダイエット中の糖質制限にもうれしい「高たんぱくちらし寿司」にアレンジしてみました。
――手軽に食べられるパンや麺だけで食事を済ませてしまうと、糖質だけ過剰で、他の栄養は足りない、なんてことになりやすいですからね。
有里:そう。暑い時期は、食べることにも調理することにもモチベーションが下がってしまいがちですけど、このレシピなら、長い時間火を使うこともなく簡単にできて、たんぱく質豊富なたくさんの食材をさっぱりと食べられるので、とてもおすすめです!
――ステキ! 楽しみです。
《材料》(2人分)
塩鮭…2枚 卵…2個 木綿豆腐…1/2丁 パプリカ(赤・黄)…各1/2個 かんたん酢(酢と砂糖を2:1であわせたものでもOK)…適量 きゅうり…1本 みょうが…1個 しそ…5枚 玄米ごはん…150g
《作り方》
【1】 パプリカは1cm角に切って、それぞれ袋に入れ、かんたん酢をひたひたに注ぎ、しばらく置いておく。しそは千切り、みょうが、きゅうりは薄切りにし、きゅうりは塩もみしておく。
【2】 塩鮭はグリルでこんがりと焼き、冷めたら、ほぐしておく。
【3】 卵をボウルに割り入れ、塩ひとつまみを加えてよくかき混ぜ、フライパンに油を引いて熱し、炒り卵を作っておく。
【4】 油を熱したフライパンに、豆腐を崩しながら入れて、細かくしながら炒める。
【5】 大きなボウルに、玄米、かんたん酢大さじ2を入れて切るように混ぜ、水気を切ったパプリカ、その他の材料を全部入れて、器に盛り付ける。
不足すると大変なことに!たんぱく質はキレイと元気の源
――今回、お母さま直伝の鮭寿司を「高たんぱくちらし寿司」にアレンジしたのは、どうしてですか?
有里:たんぱく質は、骨、筋肉、皮膚、毛髪、爪、それに臓器や血液など、まさに”体の素”となる私たちの体に欠かせないものです。そんな大切なたんぱく質を、自分が1日にどれくらい摂れているか、1日に必要な量はどれくらいか、知っていますか?
――たんぱく質がとても大切、というのは知っていますけど、具体的な量までは意識していませんでした…。
有里:例えば体重50kgの女性なら、1日あたりに摂取すべきたんぱく質の目安は、40~50gと言われています。美容や健康を意識したつもりで野菜だけに偏った食事をしたり、食べる量を減らしすぎたりすると、たんぱく質不足に陥ってしまう危険があるんですよ。
――ダイエットやヘルシーフードの落とし穴のようなものですね。
有里:そうですね。たんぱく質が不足すると、疲労感が抜けにくかったり、免疫力が下がったり、健康面に支障をきたすだけでなく、むくみ、肌荒れ、太りやすくなるなど、美容面にもマイナスな影響が多々出てくるんです。なので、たんぱく質は努めて摂る、くらいの意識が必要です。
――なるほど、それで「高たんぱくちらし寿司」ということですね?
有里:はい。夏は食欲が低下する人やダイエットをする人が多く、特にたんぱく質不足が心配なので、手軽にたっぷりたんぱく質を摂れるメニューを考えました。
――魚、卵、豆腐と、いろいろなたんぱく質を一度に摂れるのがうれしいですね!
ビタミンCやアスタキサンチンなど、美容にうれしい栄養もしっかりチャージ!
――これだけいろいろな食材がはいっていると、たんぱく質以外にも栄養が摂れそうですね。
有里:はい。実は、このちらし寿司には、美容にうれしい効果のある栄養がたくさん含まれています。例えば、鮭に含まれているアスタキサンチンは、ビタミンCと比べて約6000倍もの強力な抗酸化作用があって、紫外線による肌のシワを防ぐなどの効果があります。
――まさに、今の季節にうれしい効果ですね!
有里:そう。それに、パプリカに含まれるビタミンCも摂れますし、豆腐の大豆イソフラボンにも美肌効果があります。
―― 一口、一口に体にうれしい栄養が詰まっていると思うと、食べる喜びも倍増しますね。
有里:そうですね。玄米にもビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素がたくさん含まれていますし、本当に栄養バランスに優れたメニューだと思います。
――確かに! 体にいいものだけで作られたメニューといっても言いすぎじゃないですね。
有里:これだけバランスよく栄養補給ができるのに、糖質や脂質は控えめなので、ダイエットメニューとしてもおすすめです。“小にぎり”にして保存しておけば、小腹が空いたときなどに手軽に栄養を摂ることができますよ。
――それ、いいですね!
有里:薬味や酢の味わいでさっぱりと食べられるので、幼い頃から大好きなメニューでしたが、現役時代にも食欲が落ちやすい夏場の疲労回復や栄養補給のためによく食べていました。
――私もこの夏はたくさん作って食べたいと思います!
有里:ぜひ! 一口にたんぱく質といっても、それぞれの食品に含まれるたんぱく質の働きはさまざまなので、1つの食品から摂るより、複数の食品からバランスよく摂るのが理想的。そういった意味でもおすすめのレシピなので、作って食べてみてもらえたらうれしいです。
――なるほど! なるべくたくさんの食材からたんぱく質を摂取するように意識していきたいと思います。有里さん、今回もステキなレシピをありがとうございました。
有里:こちらこそ。手軽に栄養補給したいときにはもちろん、具だくさんで目にも鮮やかなので、お蕎麦や素麺に添えたり、おもてなしメニューにしたりするのも“アリ”だと思います!
* * *
たんぱく質は、肌や髪、爪など体の表面だけでなく、骨や臓器、血液を作るのにも欠かすことのできない成分。
肉や魚、卵、豆類など、できるだけさまざまな食材から良質なたんぱく質を摂取して、健康な体、そして美しい体を手に入れたいですね
レシピ考案:市橋有里
いちはし・あり。1977年11月22日、徳島県生まれ。アスリートフードマイスター・料理研究家・ランニングアドバイザー。1999年、世界選手権セビリア大会銀メダル獲得。2000年、シドニーオリンピック日本代表。「マラソン界のシンデレラ」とも呼ばれ、現在はランニングアドバイザーとして女性誌でランニングモデルをしたり、料理イベントをするなど、活躍の場を広げている。
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