いつもよく食べ、お腹がポッコリ出ている人は、メタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪がついている可能性がある。一見スリムで「痩せの大食い」と言われていても実はお腹が三段腹…といった隠れ肥満の人も同様だ。
内臓脂肪とは?皮下脂肪との違いは?
そもそも、内臓脂肪とは何か。『内臓脂肪を減らす食べ方』(日本実業出版社)の著書があるダイエット外来医師・工藤孝文さんが解説する。
「内臓脂肪とは、腸の周辺に溜まる脂肪のこと。体内の脂肪には、体温を保つための皮下脂肪と、内臓への衝撃を吸収するための内臓脂肪、この2種類があります。最新の研究によって内蔵脂肪が増えると、糖尿病や高血圧、動脈硬化などのリスクを高めるTNFαと呼ばれる悪玉のホルモンを分泌することが明らかになっています」(工藤さん・以下同)
お腹周りが男性で85cm以上、女性90cm以上、そしてBMI値が男女ともに肥満を示す26.4以上あれば、内臓脂肪が多くメタボリックシンドロームだと言える。他にも、血糖値、コレステロール値、血圧が高めでお腹が出ている人は、“内臓脂肪太り”の特徴にあてはまるという。
内臓脂肪はつきやすいが落ちやすい脂肪
ただし、「内臓脂肪がついているからといって落胆する必要はない」と工藤さんは話す。
「内臓脂肪はつきやすい反面、落ちやすい脂肪でもあります。ついたら落とせばいいのです」
果たして、内臓脂肪はなぜ溜まってしまうのか。言い換えれば、なぜ人はお腹周りに肉がついてしまうのか。その原因を探り、その原因行動を見直すことから始めよう。
ダイエットがうまくいかない理由とは?
◇ストレスで食べてしまう
工藤さんによると、ストレスとのつきあい方がダイエットの成否を分けるという。
「太る最大の原因は、なんといってもストレス。空腹感には、体がエネルギー不足を補うために食べようとする『生理的空腹感』と、不安やイライラ、ストレスを紛らわすための『心理的空腹感』の2種類があります。疲れているときに甘いものを食べたり、嫌なことがあってヤケ食いに走るのは、典型的な心理的空腹感によるもの。生理的空腹感は一定量食べれば満たされるのに対し、心理的空腹感は食べても食べても満たされず、結果的に食べすぎてしまうのです」
なぜストレスを感じると食べてしまうのか。理由は、自律神経に関係する。
「人がストレスを感じているときは、交感神経が優位になっています。ストレスを軽減するには、副交感神経が優位になるようにスイッチしなければいけません。副交感神経が優位になる最も簡単な方法が食べることなのです」
ということは、ストレスで食べてしまう人は、「ストレスの原因」を見直し、それ以外で食べる人は「食べる内容」を見直すことが対策となり得る。
◇ダイエットがストレスになっているケースも
ただし、そのストレスの原因がダイエットになっているケースも少なくない。
「毎日のジョギングや厳しい食事制限、食べすぎて自己嫌悪に陥ることも、人によっては相当なストレスとなり、それ自体がダイエットの妨げに。また、頓挫するたびダイエットのモチベーションが下がり、あきらめてしまう人もいます。ストレスに次いで、自己嫌悪もダイエットの敵です」
食べすぎても、「今日は思いっきり食べられてよかった!」「いつもダイエットをがんばっている自分へのご褒美だ」と気持ちを切り替えることが大事だ。ダイエットは継続が命だから。
◇「飽き」でダイエットが続かない
そしてストレス、自己嫌悪に続くダイエットの障壁は「飽き」である。
「最初は気を使っていてもそのうち面倒になったり飽きたりして続かない人は、自分の中で何パターンかのダイエット方法を持っておき、飽きないようにローテーションで使い回す工夫をしましょう。結局、自分がダイエットが続かないのはストレスなのか飽きなのか、どのタイプかをまず見極め、それに合う方法を実行することが継続につながります」
ダイエットを続ける方法は、起きたら体重計に乗る
その上で、工藤さんおすすめの方法が、体重記録をつけることだ。
「私は、患者さんに毎日体重を測ってグラフに記録してもらうよう指導しています。測るのは、起床直後、朝食直後、夕食直後、就寝直後の4回。4回つけるメリットは、1日の体重の推移が一目でわかり、食事や生活習慣の見直しができるから。
ただし、4回つけるのがストレスになるようでしたら、起床後の1回でも構いません。起床後、トイレを済ませたあとのお腹が空っぽな状態で測れば、本来の体重がわかります」
記録をつけるうちに、自分が太るパターンが見えてくる。つまり、そのダメ行動をしないようにすれば、少なくとも体重は現状維持ができるということだ。
また、1日の終わりに、今日気づいたことを書くと、より太る傾向がわかりやすい。ただし、「食べすぎてしまった。最悪」などとネガティブなコメントを書くと、それが過食を招くストレスに…。「今日は食べてストレスを発散できた」などと前向きに書くことで、明日も続けようという気になるのだという。
教えてくれたのは:工藤孝文さん
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、『あさイチ』(NHK)『ガッテン!』(NHK)『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)減量外来ドクター、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)肥満治療評論家・漢方治療評論家など、メディア出演多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。
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