「やせる」「若返る」と人気に火がついた豆乳。ここ10年、右肩上がりで生産量が増加しスーパーの売り場も拡大中だ。メーカーごとに味の違いも出ていて、無調整から調整豆乳もあり種類も豊富。そこで、管理栄養士の松田真紀さんに選び方やおいしい飲み方を教えてもらいました!
豆乳の種類と特徴
まず、豆乳の種類とそれぞれの特徴について解説する。
■豆乳(無調整豆乳)
大豆固形分8%(大豆たんぱく質換算 3.8%以上)
調味料を用いず、大豆と水のみで作られる成分無調整のもの。大豆本来の味わいが特徴で、料理にも使いやすい。
■調製豆乳
大豆固形分6%以上(大豆たんぱく質換算3.0%以上)
無調整豆乳に植物油脂や砂糖、食塩などを加えて飲みやすくしたもの。お菓子作りなどにも向いている。
■豆乳飲料
【1】果汁入り:大豆固形分2%以上(大豆たんぱく質換算0.9%以上)
【2】その他:大豆固形分4%以上(大豆たんぱく質換算1.8%以上)
調製豆乳に果物(上記【1】)や野菜、乳製品など(上記【2】)のフレーバーを加えたもの。凍らせて食べる方法も話題に。
(上記は日本農林規格(JAS規格)により区分されたもので、大豆固形分(大豆から水分を除いた成分)がどのくらい含まれるかで分けられる。各商品のパッケージに明記されている)
無調製豆乳
原材料は大豆と水。だが、メーカーごとに産地や製法が違うため、意外と味の違いが際立つのが特徴だ。なかでも飲みやすく、個性的な無調整豆乳5品を松田さんがセレクト。忙しい朝でも簡単な“割るだけ健康ドリンク”の作り方も教えてもらいました。
「割合は目安なので、好みで調整してください」(松田さん・以下同)
●「ソイプレミアム ひとつ上の豆乳成分無調整豆乳」
【DATA】
原材料:大豆(国産、遺伝子組み換えでない)、大豆固形分 11%、200ml当たりの熱量 123kcal、たんぱく質 11.0g、脂質 7.0g、コレステロール 0mg、炭水化物 4.0g、イソフラボン 94mg。200ml 105円/マルサンアイ
「国産大豆らしい旨みがありながら濃厚すぎず、のどごしがいい。このままでももちろんですが、苦みのある青汁とも相性抜群」
<松田さんイチオシレシピ>これぞデトックスドリンク「まろやか青汁豆乳」
「これは、私のお気に入りの飲み方です! これを飲むと肌と腸の調子がいいですね。気になるケールの苦みを豆乳がまろやかにしてくれて抹茶ミルクのような味に。ちなみに青汁の原料であるケールは、海外セレブ御用達の最強のアンチエイジング野菜。苦み成分の強力なクロロフィルに加えて抗酸化のビタミンA、C、Eがすべてそろう、希有な野菜です。お好みで、レモン汁&ブラックペッパーを加えると味のアクセントになります。大豆たんぱく質の吸収効率も高めるので、筋力アップにも効果的なんです。健康的で若々しい体を目指す人にもおすすめです」
●「九州産ふくゆたか大豆成分無調整豆乳」
【DATA】
原材料:大豆(遺伝子組み換えでない)、大豆固形分 9%、200ml当たりの熱量 99kcal、たんぱく質 9.2g、脂質 5.1g、コレステロール 0mg、炭水化物 4.1g、イソフラボン(アグリコンとして)45mg。200ml 93円/ふくれん
「豆腐等にも使われる人気ブランド『ふくゆたか大豆』の甘さが感じられるクリーミーな豆乳。豆乳が苦手な人も飲みやすいと思います」
<松田さんイチオシレシピ>シナモン“in”するだけ「まるで“チャイ”なホットシナモンティー」
「世界で最も古いスパイスといわれるシナモン。ミネラルやビタミンを含み、血流をよくし、末端血管を増やす働きがあります。加えて大豆イソフラボンの働きも助けてくれる、豆乳の強い味方。カルダモンやクミンなどトレンドのスパイスを加えると、さらに血流改善の効果が上がり、かつ深みが出て本格的な味になります。少し甘さがほしいときは、さらに免疫力を高めてくれる自然由来の甘味料、はちみつを加えるといいでしょう。この1杯で、手足はぽかぽか。冷え症の人や夏の冷房で冷えたときなどに飲んでいただきたいです」
●「豆腐もできます有機豆乳」
【DATA】
原材料:有機大豆(遺伝子組み換えでない)、大豆固形分 10%、100ml当たりの熱量 55kcal、たんぱく質 5.0g、脂質 3.0g、コレステロール 0mg、炭水化物2.0g、イソフラボン30mg。330ml、500ml、900mlがあり、330ml 130円/スジャータめいらく
「にがりを入れれば自宅でおぼろ豆腐ができるというだけあり、まさに“飲む豆腐”。しっかりとろみがあって腹持ちもバッチリ」
<松田さんイチオシレシピ>罪悪感なき甘さがうれしい「しょうが甘酒豆乳」
「“飲む点滴”ともいわれるほど栄養価の高い甘酒は、味、栄養価とも豆乳と相性がとてもいいんです。疲れたときの栄養補給や小腹が空いたとき、ダイエットでイライラしているときなどに、罪悪感なく甘さを堪能できるのもうれしい。発酵食品の甘酒は腸内環境を整えてくれるので、免疫力も上がります。さらに、甘酒を飲んだときの血糖値の急上昇を、大豆たんぱく質が抑えてくれるというナイスアシストぶり。お好みで、しょうがの搾り汁を加えれば、保温効果も期待できます。甘酒が苦手な人にも豆乳で割ると飲みやすいですよ」
●「豆腐工房[しろうさぎ]の豆乳」
【DATA】
原材料:大豆(遺伝子組み換えでない)、 大豆固形分 11%以上、125ml当たりの熱量 78kcal、たんぱく質 7.2g、脂質 4.6g、コレステロール 0mg、炭水化物 1.9g、イソフラボン65mg。125ml 150円/木次乳業
「低温殺菌の先駆けとして知られる乳業メーカーの豆乳。大豆の風味がしっかり残った素朴で毎日飲みたくなる正統派豆乳です」
<松田さんイチオシレシピ>インスタントみそ汁がゴージャスに「豆乳misoスープ」
「大豆の発酵食品であるみそは吸収がよく、腸の働きを活性化してくれるので、大豆イソフラボンをはじめとする栄養素の吸収を高めてくれます。また、豆乳に含まれるカリウムは、気になるみその塩分を排出してくれる働きもあります。おすすめの具材は、野菜(ほうれん草、大根、なす、きのこなど)や豆腐、チゲスープ、豚汁など。豆乳の植物性たんぱく質は腹持ちがよく、これ1杯でお昼までお腹が空きません。コクのある豆乳を加えただけで、まろやかな“misoスープ”に変身します。パンなどの洋食にも合いますよ」
●「ソイドリンク ナチュラル」
【DATA】
原材料:イタリア産有機大豆(遺伝子組み換えでない)、大豆固形分 8%、100ml当たりの熱量 36kcal、たんぱく質 3.5g、脂質 1.7g、炭水化物 1.3g。1000ml 500円/アリノール 取扱:オーガニック食品サイト「サラダボウル」ほかオンラインショップ
「イタリア発、オーガニックの草分け的豆乳。さらっとしているので、酸味のあるトマトジュースや野菜ジュースとなじみやすい」
<松田さんイチオシレシピ>リコピン効果が女性をサポート「ガスパチョ風トマトクリームスープ」
「イタリア産の豆乳は、やはりトマトにとても合います。爽やかな酸味で、朝ご飯が入らないという人にもぴったりですし、二日酔いの翌朝にもおすすめです。トマトに含まれるリコピンは、美肌効果が絶大。そして抗酸化物質でもあり、豆乳の脂肪分と同時に摂取することで、さらに吸収率が高まります。また、トマトに含まれるGABAにはリラックス効果がありますので、女性ホルモンと同じ働きをするイソフラボンとセットで摂れば、更年期の不調やイライラを整えてくれます。トマトジュースのかわりにβ-カロテンたっぷりのにんじんジュースで割ってもおいしいですよ」
調整豆乳
無調整豆乳を飲みやすく加工した調製豆乳は、豆乳市場の約半分を占める定番カテゴリー。そのなかでも、機能性表示食品を加えた個性派に注目。肉好き、メタボが気になる人に、おすすめです!
●「北海道産大豆 特濃調製豆乳」
【DATA】
原材料:大豆(国産)(遺伝子組み換えでない)、砂糖、天日塩/乳酸カルシウム、乳化剤、糊料(カラギナン)、香料、ビタミンD、200ml当たりの熱量 104kcal、たんぱく質 8.0g、脂質 6.0g、炭水化物 4.6g。200mlと1000mlがあり、200ml 120円/キッコーマン飲料
通常の調製豆乳に比べて大豆固形分が10%以上多く(キッコーマン比)、血清コレステロールを低下させる大豆たんぱく質を摂取しやすいよう工夫した特定保健用食品。体にいい上、上質な北海道大豆のコクとやさしい甘みで飲みやすい。2月に発売。
●「オーガニック調製豆乳オメガ3」
【DATA】
原材料:有機大豆(遺伝子組み換えでない)、有機タピオカシロップ、有機亜麻仁油、食塩、大豆固形分 9%、100ml当たりの熱量 54kcal、たんぱく質 3.7g、脂質 2.6g(n-3系脂肪酸 0.3g)、炭水化物 3.8g。1000ml 600円/プロヴァメル 取扱:CHOOSEEオンラインショップ、自然食品店や高級スーパーなどで販売中
プロヴァメルは、欧州のオーガニック豆乳飲料ナンバーワンメーカー。有機大豆豆乳に、健康維持に不可欠な不飽和脂肪酸、オメガ3を含む有機亜麻仁油を配合。さらりとした飲み口。
豆乳飲料
調製豆乳にさまざまなフレーバーを加えたのが豆乳飲料。子供から豆乳が苦手な人まで、「たんぱく質おやつ」としても幅広く飲める商品がそろう。糖分もあるので、ヘルシーだからと飲みすぎには注意。
●「豆乳飲料 プリン」「豆乳飲料 ブラックチョコ」
現在約25種類のフレーバーをそろえる豆乳飲料シリーズ。パックごと凍らせる「豆乳アイス」、パックから移して温める「ホッ豆乳」など数々の飲み方(食べ方)を提案し、豆乳人気を牽引中。今春のおすすめは容器に移して加熱し、ゼラチンを加えて冷やし固める「豆乳プリン」。これに合わせて「プリン」「ブラックチョコ」が新登場。さっそくこの食感を体験すべし! 各200ml 90円/キッコーマン飲料
●「ソイプレミアム ひとつ上の豆乳シャインマスカットMIX」
3月登場の新作は、厳選した国産プレミアム大豆の豆乳に国産シャインマスカット果汁をブレンド。みずみずしく芳醇な香りと上品な甘さ。200ml 105円/マルサンアイ
●「オーガニック豆乳飲料チョコレート味」
有機大豆と有機チョコレートから作られた豆乳飲料。ヨーロッパ仕込みの濃厚なチョコレートのコクがクセになる大人の味。これでコレステロール0とは驚き! 250ml 210円/プロヴァメル
教えてくれたのは…:松田真紀さん
管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士。企業やスポーツ団体、一般向けに栄養指導やセミナーを行う。著書『居酒屋ダイエット』(三笠書房)が好評。
イラスト/かたおか朋子
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号
●【名医が愛するコンビニ飯】「豆乳」や「納豆」など“大豆習慣”で揺らがぬ肌をキープ
●豆乳のすごい効果、3つの種類、飲み過ぎの注意点、簡単レシピなど紹介
●健康鍋レシピ3品|後藤真希が「美肌」でおすすめ「豆乳きのこ鍋」など
●おからや豆乳が体に優しい。腹持ちも◎の「素材でカラダ想い」を【実食レポ】
●流行の豆乳アイスがさらにおいしく!『スノーデザート 雪花』で作るふんわりヘルシーかき氷【実食ガチ採点】