新型コロナウイルスの感染者の増加を防ぐため、外出自粛を余儀なくされている事態が続いている。外出が減り、自宅にいる時間が増えたことで、太った人も多いのでは?
工藤内科副院長でダイエット専門医・工藤孝文さんは、こう言う。
「家にいることで、単純に運動不足になり、脂肪が分解・燃焼されずに蓄積されてしまいます。また、外出を制限されることでストレスが溜まり、ドカ食いしてしまうという人も多いと思います。とはいえ、運動が苦手だったり、在宅勤務で運動に時間を割けないという人には、飲み物でダイエットするのもおすすめです。アレンジを加えたコーヒーや、こんぶ茶、甘酒など、身近で手に入りやすい飲み物なので、実践しやすいと思いますよ」(工藤さん・以下同)
【緑茶コーヒー】1日3杯、ミックスさせることで効果を実感!
1つめは緑茶とコーヒーを混ぜるだけ、という「緑茶コーヒー」だ。
◆緑茶コーヒーの効果とは?
「ポイントは3つ。まず、コーヒーと緑茶、それぞれに“痩せ効果”が期待できること。この2つに含まれるカフェインと、コーヒーのクロロゲン酸、さらに緑茶のカテキンを掛け合わせることで、脂肪燃焼効果が高まるのです。
クロロゲン酸はミルクを足すと吸収率が落ちるため、カフェオレなどで飲むのではなく、あくまでもブラックで飲むことが大切です。どうしてもブラックが苦手というかたでも、緑茶を足すと苦みがマイルドになり、飲みやすくなりますよ」
次に、緑茶とコーヒー、それぞれの栄養素をバランスよく摂れること。
「コーヒーと緑茶をミックスさせれば、コーヒー単独だと多くなりがちなカフェイン含有量が減ります。さらに緑茶の成分の1つ、テアニンにはリラックス効果があるため、コーヒーと混ぜることでカフェインの覚醒作用や緊張作用を緩和させます」
ならば、交互に飲んでもよさそうだが、あくまでもミックスさせて飲むことが重要だという。食後の血糖値が上がりにくく、より痩せやすくするためだ。
「同時に飲むと、それぞれの成分の体内濃度が合わさり、相乗効果が期待できるのです。痩せ効果のあるコーヒーのクロロゲン酸は食後血糖値の上昇を抑えますが、同じくコーヒーに含まれるカフェインは一時的に血糖値を上昇させてしまいます。しかし、ここに緑茶を加えることで、カテキンに含まれるエピガロカテキンガレートという成分が、小腸からの糖質の吸収量を減らし、急激な血糖の上昇を抑えるのです」
◆緑茶コーヒーの作り方
緑茶コーヒーの作り方、そしてダイエットの実践法はとっても簡単だ。
「緑茶とコーヒーを1:1で割ったものを、1日3杯飲むだけでOKです。1回の量は250~350ml程度で、大きめのマグカップで食べる直前にたっぷり飲むことで、食べすぎを防ぐこともできます」
【おからコーヒー】おから+コーヒーのWパワーで痩せホルモンが増える!
「おからコーヒー」も手軽にできる飲み物によるダイエット法の1つだ。考案した工藤先生が作り方と痩せる仕組みを解説してくれた。
「そもそも、同じ量の食事を食べても、太る人と太らない人がいますよね。実は、体内で生成されるアディポネクチンという、痩せホルモンの量が関係していたことが日本の研究で発見されました。アディポネクチンとは脂肪のこと。内臓脂肪から分泌され、血管を通って全身を巡ります。主な働きは、脂肪燃焼、血糖値ダウン、血管の修復と拡張、悪性腫瘍の増殖抑制。つまり、健康を維持するにはなくてはならないホルモンです。
さらに、アディポネクチンが多く分泌されている人ほど、運動をしなくても、運動したのと同じ脂肪燃焼効果が得られるので、太りにくい体質になることが解明されています。アディポネクチンの量には、内臓脂肪の大きさが関係しており、標準的なサイズならば多く分泌されますが、内臓脂肪の肥大や小さすぎる場合、分泌が少なくなる傾向にあります。太りすぎても痩せすぎてもダメということです」
◆おからコーヒーの効果とは?
アディポネクチンを増やしながら、痩せられる一石二鳥の食材が、豆腐などの大豆製品を作る際に大豆を絞った後に残る、おから。
「元々、大豆由来のたんぱく質には、体内で作れない必須アミノ酸が豊富に含まれ、内臓脂肪や中性脂肪を減らす効果があります。その上、おからには、アディポネクチンを増やすβコングリシンが含まれています。つまり、内臓脂肪は減り、痩せホルモンは増える。痩せたい人には強力なお助け食材です」
おからと組み合わせるコーヒーにも脂肪燃焼効果があり、アディポネクチンの濃度を高めることが判明されている。
「おからとコーヒーは最強タッグ。絶大なダイエット効果が期待できます」
◆おからコーヒーの作り方
《材料》(1杯分)
おからパウダー…小さじ1(5g) インスタントコーヒー…小さじ1/2~4/5(2.5~4g) お湯…適量
《作り方》
【1】カップにインスタントコーヒーとおからパウダーを入れ、お湯を注ぐ。
【2】しっかりスプーンでかき混ぜて、完成。
「お湯で溶けずにカップ底に残ったおからは、そのまま食べてOK。舌触りが気になる人は、なるべく目の細かい微細粒のおからパウダーを選びましょう」
【こんぶ茶】毎朝1杯飲むだけ、2週間で3kg減も!
“ダイエット飲料”として「こんぶ茶」もおすすめだという。
茶とは、粉末状にした昆布にお湯を注いだもの。これを飲むと、ダイエット効果が期待できるという。『毎朝こんぶ茶を飲んだら2週間で3kgやせた』(CCCメディアハウス)の著書を持つ工藤さんが、“こんぶ茶ダイエット”について教えてくれた。
◆こんぶ茶の効果とは?
なぜ、こんぶ茶で痩せるのか? その秘密は、昆布に含まれる成分にあるという。
「こんぶ茶のダイエット効果は多岐にわたりますが、主なものの1つはいわゆる“デブ味覚”を改善してくれること。往々にして太りやすい人は、高カロリーなものをドカ食いしてしまう食習慣があります。それが朝1杯こんぶ茶を飲むことで、昆布に含まれるうまみ成分、グルタミン酸をはじめ、さまざまな栄養素が脳を満足させてくれます。その結果、それまでスナック菓子や甘いものを食べないと満足できなかった“デブ味覚”が“ヤセ味覚”に変わっていくんです」
効果が出るのも早いという。
「私の患者さんを見ていると、こんぶ茶を毎朝1杯飲む習慣を続けると、早くて3日から遅くとも2週間で効果が出始めています。この期間に“デブ味覚”から“ヤセ味覚”に変わってきているんです。味覚を感じる味細胞は、約2週間のサイクルで入れ替わっているためです」
昆布に含まれる成分には、他にもこんな働きがあるという。
「まず、基礎代謝をアップする成分、ヨウ素が含まれています。基礎代謝を上げると、効率よくエネルギーが消費され、痩せやすくなるんです。また、昆布のぬめり成分、アルギン酸やフコキサンチンにはコレステロールの吸収を抑えるだけでなく、血中のコレステロールの増加も抑えてくれます。さらに、フコキサンチンは脂肪の燃焼を促進する作用も」
◆こんぶ茶の作り方
こんぶ茶はどう飲むといいか。難しいルールは一切ない。朝起きてから朝食をとるまでの間に、1杯のこんぶ茶を飲む。それだけでOKだ。
1つ気をつけてほしいのは、市販のこんぶ茶には塩分が含まれていること。
「血圧が高めのかたや、治療中のため医療機関から塩分を制限されているかたは、かかりつけ医に相談の上、始めてください。制限されてないかたで塩分が気になる場合、自宅にミキサーやミルがあるなら、自家製のこんぶ茶を作り、ミキサーなどがないなら、昆布をそのまま粉末にした市販の昆布パウダー(昆布粉)で塩分のないものを買うといいでしょう」
《材料》(1杯分)
だし用昆布や切り昆布などの市販の乾燥昆布を50g
《作り方》
【1】ミキサーなどで乾燥昆布を粉砕する。それをざるに入れてふるいにかけ、より細かい粉状にする。
【2】【1】を小さじ1杯、コップに入れて、お湯を注いでかき混ぜる。
保存する場合は、ふた付きの密閉容器に。直射日光の当たらない場所で常温保存しよう。1か月くらいで使い切るのがおすすめだという。
【甘酒】1日200mlまでを厳守して、痩せと美肌を同時にGET!
疲れた体を回復する“飲む点滴”として、近年注目されている「甘酒」。実は、美肌や健康にとっても優れた飲み物だ、と工藤先生も太鼓判。
◆甘酒の効果とは?
「甘酒には、米こうじと酒かすを主成分にした2種類があり、いずれも肌にとって有効な成分が多く含まれています。米こうじ甘酒に豊富なのが保湿成分を増やすグルコシルセラミド。保湿成分は、肌細胞の活性化で増えますが、活性化のスイッチを押すのがグルコシルセラミドです。保湿成分が増えれば肌内部の水分量も保持されて乾燥肌を防いでくれる。
一方、酒かす甘酒にはいっているのがα-EG(アルファイージー)。この成分には、皮膚の真皮にあるコラーゲンの素となる細胞を元気にする働きがあります。コラーゲンを増やして肌のハリもツヤもアップさせることができるのです」
飲み続ければ美肌に近づけるという。潤いもハリも欲しいから1日2種類飲みたいところだが、1日の適量はあるのだろうか。工藤さんが続ける。
◆糖分も多い!1日に適した飲む量はどれぐらい?
「美肌作りが目的なら、米こうじと酒かすの両方を飲むのがベスト。ただし、1日に飲みたいだけ飲んでもいいというわけではありません。1回当たり50~120ml(おちょこ、コップ各1杯程度)が適量です。エナジードリンクと言われるだけあって糖分が多く含まれているので、糖分の摂りすぎを防ぐためにも1日に飲む量は200mlまでに抑えましょう」
飲み方の注意点もあるという。
「空きっ腹に飲むのもNG。糖分が高いので血糖値が急上昇してしまいまい、動脈硬化、心筋梗塞、がんや認知症などの原因となる血糖値スパイクが生じる可能性があります。食事と一緒に飲むのがいいですね。糖尿病やアレルギー疾患のある人は、主治医に相談した上で始めてください。また、酒かす甘酒にはアルコールがはいっていますから、妊婦さんやアルコール摂取が禁止されている人は控えましょう」
この人に聞きました:医師・工藤孝文さん
減量外来・糖尿病内科医。福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへの留学を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で診療を行う。日本内科学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学会、小児慢性特定疾病指定医。『ガッテン!』(NHK総合)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)など、テレビ出演も多数。YouTubeチャンネル『シックスパックのイケメン医師工藤孝文先生のダイエット外来』も配信中。最新の著書は『内臓脂肪が落ちる!糖質オフスープ 』(宝島社)。
http://www.kudonaika.com/
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