健康・医療

痩せるための昼以降の過ごし方|お昼ごはんの選び方から間食、夜ご飯、入浴の注意点まで

記録的な猛暑を過ごすうちに、いつしか脂肪を体にため込み、ダラダラとした生活を送っている…。そんな悩みを解消してくれるのが、体内時計をリセットするだけで、やせ体質に変身できるという方法だ。「3時のおやつ」と19時の夕食を摂り、22時半には寝床へ――やせ体質に導く時間割を専門家が紹介。効果的なやり方や、アドバイスも伝授。タイムスケジュール通りに過ごせば、いつの間にかスリムになって体の調子が上がっていることに気が付くはず!

昼ごはんはどんなメニューがおすすめ?

前日に食べすぎた場合、昼食を控えて食事量を調節するといい。時間栄養学に詳しい管理栄養士の麻生れいみさんが解説する。

「昼食は、体内時計に影響しないので、好きなものを食べていいし、反対に食べなくてもかまいません」(麻生さん・以下同)

◆ビタミンB12が豊富な貝類やレバーが昼食におすすめ

アサリが3つならんでいる
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「より健康効果を高めたいなら、ビタミンB12が豊富な貝類やレバーなどの食材を摂ること。ビタミンB12は、DNAの生成を助ける働きを持ち、昼間に吸収率が高まることがわかっています。貧血予防効果があるため、ダイエット中の女性が摂っておきたい栄養素です」

あさりのスパゲッティや、レバニラ炒めを選ぶといい。

間食はチョコレートやナッツを

時計遺伝子には、脂肪を蓄積させる働きのあるたんぱく質「ビーマルワン」を作る働きがあり、このビーマルワンは14~15時に最も少なくなる。ちょうど「3時のおやつ」の時間帯にあたり、この時間帯にケーキなどの甘いものを食べると、脂肪として体にたまりにくい。

「いくら脂肪になりにくいとはいえ、食べすぎは厳禁。片手のひらにのるくらいを目安にしましょう。果物なら、だいたいこぶし1つ分です」

◆カカオ含有量70%以上のチョコがダイエットに効果的

チョコレート
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よりダイエット効果を求めて間食を摂るなら、カカオ含有量が70%以上のチョコレートがおすすめとも。

「カカオに含まれるポリフェノールには体脂肪を抑える働きがあり、カカオプロテインは腸内環境を改善します。おまけに、カフェインの一種であるテオブロミンにはリラックス作用やストレス緩和作用が。ダイエットのサポートにつながります」

一方、ナッツ類にはオメガ3系脂肪酸やαリノレン酸など良質の脂質が含まれ、少量で満腹感を得やすい。抗酸化作用や美容効果も期待でき、ダイエット中の間食として活用したい。

夕方の運動で脂肪を燃やし筋肉を作る

ランニングする女性
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朝の運動は、体を目覚めさせて体内時計を動かすためだが、夕方の運動は脂肪を燃焼させることができる。早稲田大学スポーツ科学部の実験によると、夕方の運動は、朝に比べて交感神経が活性化し、成長ホルモンの分泌が多くなって脂肪の分解が活性することがわかっている。

また、同大学理工学術院のマウスの実験では、夕方に運動すると糖質よりも脂質をカロリー源として消費し、高脂肪食による体重増加を大きく抑えて、太ったマウスはやせていくことが判明した。

予防内科医で米国予防医学学会にも所属している中村康宏さんによると、

「ストレスホルモンのコルチゾールが最も低くなるのは夕方。コルチゾールには、筋肉を分解してしまう働きがあるため、筋トレで筋肉をつけたいなら、コルチゾールの少ない夕方の運動が有効です。さらに、夜に向けて成長ホルモンが出てくるので、寝ている間に筋肉合成がしやすくもなるのです」という。

◆夕方前の運動がベスト!夜遅い時間の筋トレは避けて

一日の中で筋力が最も高くなるのは14~18時、心肺機能は15~19時に高まるため、強めの運動をするなら夕方前の午後がベストタイミング。けがのリスクも減少する。

一方で、山口大学の研究では、筋トレを20~22時に行うと、筋トレを行わなかったときに比べて体内時計が2~4時間も遅れることが報告されており、夜遅い時間帯の運動は、避けた方がいい。

朝食と夕食は12時間以内に収める

夕食の時間は、遅くなるほど太りやすい傾向にある。

体内時計研究の第一人者で、早稲田大学先進理工学部教授で先端生命医科学センター長の柴田重信さんが解説する。

「体内時計を正しく動かすには、夜から朝にかけての絶食時間を10時間以上空けた方がよく、12~16時間空けるとやせやすいことが科学的に証明されつつあります。朝食を7時、昼食を12時、夕食が19時なら、翌朝までの絶食時間が12時間あるので、体内時計はきちんとリセットでき、やせやすくなると考えられます」(柴田さん・以下同)

2018年の米・イリノイ大学のバラディ博士らは、肥満気味の男女46人を、1日の食事可能時間(朝食から夕食まで)を8時間に制限してそれ以外の時間はノンカロリーの飲み物のみにした群と、特に制限しない2群に分けて12週間過ごす実験を行ったところ、前者は平均で2㎏減り、後者はほぼ変わらなかったという結果が報告されている。

「一般的な社会生活をしている場合、先の実験のように1日の食事可能時間を8時間に制限したとして、“朝食は8時で夕食は16時”のような時間設定は難しい。食事をしていい時間を10~12時間に延ばしても減量効果は確認されているので、自分の生活リズムに合わせ、できるだけ夕食を早めの時間に摂るようにするといいでしょう」

◆夕食が遅くなりそうなときは対策をとれば大丈夫!

どうしても夕食時間が遅くなるなら、空腹時間が長くなりすぎないようにすること。

「たとえばいったん、17時におにぎり1個など、少量の炭水化物を夕方に食べておき、20時過ぎに帰宅してから野菜、肉の順におかずを食べる、分食がおすすめ。こうすれば、体内時計を大幅に狂わすことなく、肥満防止になり、翌朝にきちんとリセットできます」

夜遅くまでパソコンやスマホの画面を見ない

スマートフォンを操作する女性
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パソコンやスマホの液晶画面から出るブルーライトは、朝日に匹敵するほどの強い光。夜に浴びると、コルチゾールの生成を促し、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を妨げる。

◆寝る2時間前までにスマホの電源を切る

「覚醒も担うコルチゾールは朝の目覚めに大切なホルモンですが、夜になっても分泌が続けば、本来21時頃から分泌が始まるはずのメラトニンが増えません。睡眠の質を上げるためにも、寝る2時間前には電源を切ること。どうしても画面を見なくてはならないなら、ブルーライトをカットするメガネなどを着用して」(中村さん)

就寝の1~2時間前に湯船につかる

湯船につかりリラックスする女性
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一日の疲れをとる入浴だが、シャワーだけですませるとスムーズな入眠につながらないことがある。米・テキサス大学の研究によると、就寝の1~2時間前に40~42.5℃のお湯に10分以上かけて入浴すると、入眠までの時間が短くなり、睡眠の質が向上することが報告されている。

「暑い夏でもシャワーだけですませず、湯船に10分ほどつかって、体の深部体温を上げると、体温が下がってきたタイミングで入眠しやすくなります」(柴田さん)

◆食事は寝る時間の2時間以上前、入浴は1時間前に調整

朝、きちんとリセットできた体内時計は、一日のしめくくりもきちんとしたい。

「日によって寝る時間が多少ずれても、午後の早い時間にその日の寝る時間を自分で設定し、それから逆算して食事は2時間以上前、入浴は1時間前になるように決めておけば、眠る時間を確保しやすくなるはずです」(中村さん)

寝室の照明は赤色系の電球にする

明るすぎる寝室は交感神経が優位になりやすく、頭がさえてしまう。

「入浴後は部屋の照明を落とし、体内時計への影響が少ない赤色系の電球を利用するといい」と柴田さん。いざ入眠となれば、照明は消すべきとも。米国立環境衛生科学研究所が医学誌JAMAに発表した研究によると、照明やテレビをつけっぱなしで寝ていた女性は、暗くして寝る女性に比べて5年間で体重が5kg増えるリスクが17%高く、肥満リスクは33%高かったという。

起きている時間が長いと、その分エネルギーを消費するためやせると思いきや、間食もしやすく、睡眠は一日の疲労を回復させる働きがあり、就寝中の体内では細胞組織などが修復に働いているため、しっかりとっておきたい。

米・スタンフォード大学が2004年に30~60才の男女1024人に対して行った研究では、睡眠時間が5時間以下の人は、満腹中枢に作用して食欲を抑える満腹ホルモンのレプチンの分泌量が少なく、食欲を増進させる食欲ホルモンのグレリンの分泌量が多かったという。

◆肥満度が低いのは睡眠時間が6~7時間の人

さらに、肥満の指標となるBMIも高かった。一方、おおむね肥満度が低かったのは、睡眠時間が6~7時間の人だったという。

「寝不足は肥満の原因になる。就寝時間が遅れて、朝寝坊をして朝食を摂る時間がなくなれば、体内時計はリセットできずに後ろにずれる。これが繰り返されれば夜型化が進み、深夜の食事が慣習化され、太りやすい生活になっていく。この悪循環を断ち切るのが、睡眠と朝食なんです。翌朝、すっきりした起床を目指しましょう」(柴田さん)

あなたの体が刻む時間とじっくり向き合えば、今年こそ夏太りを解消できるはずだ。

昼以降の“やせるタイムスケジュール”まとめ

◆12時 昼食

代謝が活発なため、好きなものを食べていい

DNAの生成を助けるビタミンB12。その吸収率を高める貝類やレバーを摂るのがおすすめ。

レバーが皿にのっている
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◆15時 間食

甘いものはこのタイミングで

14~15時は脂肪の蓄積を促すたんぱく質「ビーマルワン」が少ないため、甘いものを食べたいならこの時間帯に少量食べるといい。

◆18時 運動

夕食前の空腹時に、少しきつめの運動をする

◆19時 夕食

朝食から12時間以内に食べること

コーヒーなど、カフェイン入りの飲み物はこの時間までに。低糖質を心掛け、食事量は1日のうちで最も少なくする。

◆21時 デジタルオフ

スマホやパソコンの電源を切る

電子機器から浴びるブルーライトが体内時計を狂わせ、睡眠を妨げてしまう。

◆入浴

就寝の1~2時間前に入浴をすませる

良質な睡眠のため、シャワーですませず、湯船につかる。

◆22時半 就寝

23時までに就寝。睡眠時間は7時間前後が理想

いちばん睡眠が深まる午前2時には寝入っていることが望ましい。

※女性セブン2020年9月10日号

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