美容と健康への効果が期待できると最近注目のナッツ類。その種類は10以上もありますが、中でも血液の健康や高血圧予防に役立つナッツは何でしょうか?
工藤内科の院長で、『ナッツをうまく食べれば100歳まで長生きできる!』(河出書房新社)の著書がある医師の工藤孝文さんは、「くるみ、ピスタチオナッツ、アーモンドが特におすすめ」だと言います。その理由についてお話をうかがいました。
血圧のコントロールに効果的なナッツ
工藤さんは、ナッツ類の血圧コントロール作用に注目しています。
「ナッツ類を食べると血圧の上昇を抑えることができるという研究成果が、2012年頃から続々と発表されています。例えばイランのある調査によると、アーモンドやくるみ、ピスタチオナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツ、ピカンナッツ、ピーナッツなどを摂取すると、2型糖尿病(後述)を持たない人の場合では、収縮期血圧と拡張期血圧が下がることがわかりました。
特に、ピスタチオナッツは両方の血圧を下げる効果がもっとも強く見られたそうです」(工藤さん・以下同)
◆アーモンドは“血液の健康”に有効
高血圧ではない人も、健康維持のためにぜひ摂取しておきたいところ。また、くるみ、アーモンドはコレステロール値の改善にも有効だそうです。
「アメリカの調査ではくるみを摂取すると、消化管内の特定の腸内細菌が増え、血圧とコレステロール値の改善が見られるという研究結果が出ています。またアーモンドは、摂取することで血液中の中性脂肪値とコレステロール値が改善しますし、体重を減少させる効果や、動脈硬化のリスクを上げるアポリポ蛋白bを減らす効果も。総合的に健やかな血管を保つことに役立つことがわかっているのです」
食後の血糖値上昇を防ぐ低GI食品のナッツ
では、糖尿病対策にはどのナッツが有効なのでしょうか? 答えを聞く前に、糖尿病の基本的な知識を復習しましょう。
◆そもそも糖尿病とは?
既にご存じのかたも多いと思いますが、糖尿病には大別して1型と2型の2種類あります。
「1型は膵臓がインスリンをほとんど、もしくは全く作ることができない糖尿病です。2型は、作られるインスリンの量が十分でない、あるいは作用しない疾病で、生活習慣病とされています。中年以降に発症する糖尿病の多くが、2型です。この2型糖尿病を持つかたにおすすめしたいのが、食後の血糖値の上昇度を示すGI値が低い食品です。
GI値の高い食品を食べると食後血糖値は急上昇しますが、GI値の低い食品なら、緩やかな上昇にとどまってくれます」
その点、アーモンドはGI値が低いことで知られています。
「台湾の台北医科大学の研究者の調査結果でも、アーモンドを食事にとり入れることは、血糖値コントロールなどに有益な効果があること、2型糖尿病患者の心血管リスクを低下させることが示唆されています」