ラグジュアリーからカジュアルまで、多くの宿が開業する京都。そんな中、旅行ジャーナリスト・村田和子のお気に入りの一つが、2020年3月22日にオープンした「ザ・ホテル青龍 京都清水」。
ベースとなるのは昭和8年に竣工し、地域の子どもたちを見守ってきた清水小学校(2010年度閉校)の歴史ある建物。丁寧に補修し、新しい魅力や快適さを加えたラグジュアリーホテルは、滞在すると、懐かしく愛おしい気持ちがこみ上げる唯一無二の空間です。
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京都東山の最高のロケーションにある隠れ家ホテル
「ザ・ホテル青龍 京都清水」があるのは、清水寺に向かう松原通り。一帯はコロナで落ち着いているとはいえ、京都でも有数の人出がある観光地。通りには控え目にサインがあるだけで奥の様子が伺えないため、知らないとそのまま通り過ぎてしまいそう。
美しくモダンな洋風建築
奥へ歩みを進めると、だんだんと目の前が開け、かつては学校のグラウンドだったという芝生の庭が目に入ります。通りの喧騒とは無縁な静寂さ、そして、「小学校だったとは何とも贅沢で羨ましい」と思ってしまうほど美しくモダンな洋風建築が佇む様子は、別世界に迷い込んだよう。
開発のコンセプトは「記憶を刻み、未来へつなぐ」
笑顔の素敵なスタッフに出迎えられチェックイン。部屋へ向かう途中では、いたるところに校舎だったときの面影をみつけ、何度も足が止まります。
元の建物を大切に、新築する以上に大変な労力をかけて修復をしていることが伝わり、古きよき建物をしっかりと未来に向けて残してくれたことに感謝の気持ちがわきあがるほど。
学校の独特の雰囲気に、幼いときを思い出し、心が穏やかになるよう。ノスタルジックな時間が流れます。
増築された客室では、法観寺「八坂の塔」を独り占め
客室は、元の校舎をコンバージョンしたものと増築されたものがありますが(リクエストベースで指定は不可)、今回は、景観が素晴らしいという増築された客室へ案内されました。
中に入ると、目の前の大きな窓には、迫力ある法観寺「八坂の塔」がそびえていてびっくり。京都に住んでいる地元のかたも、このアングルや大きさの八坂の塔は、お目にかかれないかと。まさに独り占め状態で、贅沢な時間が過ごせます。
新旧それぞれ魅力のある客室
クラシックホテルは、歴史ある建物の客室が人気ですが、「ザ・ホテル青龍 京都清水」は、新旧それぞれ魅力があり、甲乙がつけがたいのが悩みどころ。
予約は部屋タイプの指定となり、旧校舎や眺望などはリクエストベースになるそう。どんな部屋になるか、ワクワクするのもよさそうです。
宿泊者専用ゲストラウンジでは、ゆったりと過ごす提案がいっぱい
ゲストラウンジに向かうと、手前には小学校として使われていた当時の様子がわかるアーカイブコーナーがあります。こちらも滞在中に立ち寄ると、ぐっと建物に親近感がわきます。
ラウンジではアルコールやスイーツの提供も
ラウンジでは、アルコールを含む飲み物や、時間によりスイーツやピンチョスなどの提供も。部屋数も少ないため、のんびりと寛げます。
アルコールの種類が多く、お抹茶をたてたり、コーヒーを豆からミルでひいて淹れる用意もあります。ゆったりとした時間を過ごす提案が目を引きます。
夜は京都の街並みを一望するルーフトップバーへ
夕食は、京都の街並みを一望するルーフトップバー「K36 Rooftop」で季節や時間の移ろいを感じながら頂くことに。360度開けた素晴らしいロケーションはCMの舞台となり、インスタグラムでも評判。天気のよい日は夕暮れとともに満席になることが多いとか。
伝説のバーテンダーがシェイカーを振る
室内フロアはクラシカルな落ち着いた雰囲気。伝説のバーテンダー・西田稔氏がシェイカーを振るとあって、長年のファンも訪れ、老若男女でにぎわいます。
ホテルの宿泊者はもちろん、宿泊者以外のかたも事前に予約できるプランがあるので、ぜひ予約しておきたいところ。カウンターならバーテンダーのかたの技術や話術も堪能でき、おすすめです。
早朝の散策へ。荘厳な雰囲気の中で祈りを捧げて一日をスタート
ホテルから清水寺までは、徒歩8分。清水寺は朝6時から開門をしているので、朝食前に散策をするのもおすすめです。朝は空気も澄んで気持ちよく、日中とは異なり、人もまばらで、境内をゆっくりと拝観できます。
ただし、御朱印を授かりたいかたは時間を確認してお出かけくださいね。(※夏には早朝限定の御朱印があることも)
縁切りで知られる「安井金比羅宮」
清水寺と反対方向、坂を下っていくとバス通りに面して、縁切りで知る人ぞ知る「安井金比羅宮」があります。高さ1.5m、幅3mという、中央に穴があいた縁切り縁結び碑(いし)があるのですが、願いを書いた「形代(かたしろ)」で、その原型はわからないほど。悪縁を断って良縁を呼び込みたいかたは、ぜひ訪れたい神社です。