日本で初めて、環境などへの基準を満たしたビオホテルジャパン認証を受けた「カミツレの宿 八寿恵荘」。木の温もり、豊かな自然、そして環境に優しい八寿恵荘での滞在は、疲れた心に響きメンテナンスにぴったりです。
私もすっかりファンになり、昨年の緊急事態宣言明けすぐに、ひとりで向かったほど。秘密にしておきたい、とっておきの宿を旅行ジャーナリストの村田和子が紹介します。
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日本初のビオホテルへ
長野駅から篠ノ井線に乗り換え、鈍行で約1時間。明科駅で下車して宿の送迎バスへと乗り込みます。決して東京から近くはないけれど、道中アルプスの山をみながらのんびり列車に揺られれば、徐々に疲れた心がほぐれていくのを実感します。「八寿恵荘」があるのは山の上ですが、送迎をしてくれるのでノープレブレム。
「カミツレの宿 八寿恵荘」は、オーガニックな製品や再生可能エネルギーの活用など、環境に配慮した基準を満たした「ビオホテルジャパン」認証を初めて受けた宿。
お湯を沸かす熱源は、オーストリア製の木質チップボイラーを導入。環境に優しく、チップも地元の廃材を活用しているという徹底ぶり。他にも滞在を通じてその魅力を感じることができます。
カミツレのパワーで体は美しく、気持ちも整う
八寿恵荘を運営するのは、農薬不使用、無化学肥料栽培による国産カモミールを原料にしたスキンケアブランド「華密恋(かみつれん)」を製造・販売する会社。社員寮を改修したという全7室の小さな宿は、アカマツ、スギ、ケヤキ、ナラ、ヒノキ、クリ、タモ、サクラなど9種類の無垢材で作られ、温かみのある空間は深呼吸をしたくなるほど。
客室にはトイレやバス、そしてテレビもありません(バリアフリールームを除く)。決して豪華ではなくシンプルですが、寝具は100%オーガニックコットン、カバーはカミツレ染めなど、ひとつひとつにこだわりがあります。SDGs(国連が定める持続可能な開発目標)が注目される中、サスティナブルな滞在そのものが真の贅沢だと感じます。
お風呂は外のカモミール畑を見ながらゆったり
早めにチェックインをしたので、まずはお風呂へ。大浴場の浴槽には池田町の清らかな水に、「華密恋」のカミツレエキスがたっぷりと入っていて、肌がしっとりと潤うのを実感します。外のカモミール畑を見ながら、ゆったりと入浴すれば疲れもどこかへ飛んでいくよう。
カミツレ畑で花摘み&自然の中を散策
カミツレが満開の時期は、摘み取りもOK。私も長靴とはさみを借りて、少し摘み取り、部屋へいけてみました。また一帯には散策路も用意されていて、四季折々の自然の営みを感じながらのウォーキングもおすすめです。
宿のスタッフがおすすめするのは、秋には7 色に紅葉するという大きな”七色大カエデ”までの往復1時間ほどのコース。眼下を臨む素晴らしい景色が広がるそう。
かまどで炊いたご飯に体に優しい夕食
夕方になると、外の窯場が賑やかになります。毎晩夕食のご飯は釜で炊くということで、見学や体験もできます。おいしそうな匂いとともに、ご飯が炊き上がったら、ダイニングへと向かいます。
食事には、化学調味料や添加物は一切使用せず、ビオ認証基準を満たした食材のみを使用しているとのこと。例えば塩は、日本伝統の釜だき製法によるもので。
その季節に採れる食材をシンプルに丁寧に調理
コース料理だった夕食は動物性食材不使用のお膳スタイルへと変更され、「普段の過食気味の食生活と離れ、その季節に採れる食材をシンプルに丁寧に調理する」ことを大切にしているといいます。愛情たっぷりの料理は、体から気持ちも元気になります。アレルギーで悩むかたも多いですが、アレルギー食にも出来る限り対応してくださるそう。
食後はラウンジで読書をするのもよし、お風呂や部屋で肌のメンテナンスをするもよし。ゆったりと自分と向き合う時間を大切に過ごします。
朝の散歩と食事でパワーチャージ
鳥の声で目覚めたら、あまりの気持ちよさに再び散策へ。季節ごと、そして時間によってかわる自然の景色は、見飽きることがありません。
散策から戻ったら、ちょうど朝食の時間。季節の野菜を使った具がたくさん入った「食べるスープ」がメインで、体が芯から温まります。
ハーバルヘルスツーリズムに力を入れる池田町
できれば2泊してのんびりと滞在するのがおすすめですが、池田町はハーバルヘルスツーリズムにも力をいれていて、トレッキングマップなどの用意もあるそう。6月からは山一面が紫色に染まるラベンダー畑、秋には雲海も見られる日があるといいます。
また「安曇野ちひろ美術館」「大王わさび農場」などの施設もあるので足を延ばすのもいいでしょう。観光スポットやアクセスについては、スタッフへ相談するとアドバイスもしてくれます。
木曜には限定で「焚き火の日」も開催
この春からは、木曜日限定で、焚き火の日も開催しているとのこと。オープンデッキで焚き火を囲みながら過ごす夕食は、お野菜だけのこだわりのカレー。食後はゆっくりと、お酒を楽しみながらひとりで考えごとをしたり、大切な人と語り合うのもよさそうです。
サスティナブルな滞在は、自分の日常生活を振り返る機会にもなります。豪華なご褒美旅行もいいけれど、肩ひじ張らずに素の自分へ戻れる場所を持っておくのも大切。ひとりで、のんびり気ままに過ごすのにおすすめです。
【DATA】
■カミツレの宿「八寿恵荘」
住所:〒399-8604 長野県北安曇郡池田町広津4098
アクセス:
・東京から:北陸新幹線で長野駅へ。JR篠ノ井線へ乗り換え「明科(あかしな)駅」下車より、無料送迎バスで30分(要予約・時間指定)
料金:2名1室ひとり2万2000円(税サ込)~ 1名利用の場合/2万2000円(税サ込)~
※1泊2食付き
https://yasuesou.com/
■焚火の日(毎週木曜日実施。2021年8月末まで特別価格)
料金:1名1万9800円(税サ込)
※1泊2食付き。夕食は、かまどご飯と八寿恵荘カレー、グリル野菜とサラダ
※焚き火は18:00~21:00。小雨決行
教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表。(https://www.travel-k.com/)旅ブログも行っている。(http://www.murata-kazuko.com/)
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