バツイチ独身のライター・オバ記者こと野原広子(64歳)が、趣味から仕事、食べ物、健康、美容のことまで“アラ還”で感じたリアルな日常を綴る人気連載。253回目となる今回は、「目指せ夏木マリ!」について。
* * *
「高齢者」までカウントダウン
「え? もうワクチン打ったの?」と聞かれると、なんとも微妙。「だって高齢者からでしょ?」と言われると、ますます微妙。実は私、来年の3月末で65歳になるから、役所的には最年少の高齢者なんだって。
64歳の次は65歳。65歳から「高齢者」と呼ばれるのは知っているよ。カウントダウン状態なのもわかっている。だからといって役所風情がなんの権限があって、ひと足早く「高齢者」にするのよ!と、不機嫌が止まらない。ま、ひと言で言えば、年寄りになるのがイヤなんです。悪あがきしていると言われたら、ええ、その通りでござい、ハイ。
1回目のワクチン接種を終了
とはいえ、注射の針先が自分に近づくのを見たら、パニックを起こす私が早々に第1回目のワクチン接種を終えたのは、うふふ。ある野望があるからなんだけど、そのためにはどうしてもカッコいいおばあさんにならねばならないのよ。
野望のほうは具体化したらお知らせするけれど、どんな高齢者になりたいかは決まっているの。NHKの朝ドラ『おかえりモネ』の夏木マリさんよ。私より5歳年上だけど、スカッとしたお姿がテレビ画面に映るたび、ため息しか出ないんだわ。体中から「年を重ねるっていいな」と思わせる説得力がみなぎっているもの。
「880円定食をお腹いっぱい」な私
「なら、やせろ」`
そんな声が天から地から、横から、斜めから聞こえてくる。と、ここからが本題ね。
お腹が出ている夏木マリさんなんか想像もつかないし、あのシャープな動きはシェイプされた体だからできること。百も承知です。
私みたいにバイト先の食堂で880円の日替わり定食を食べて、お腹を撫でるなど、金輪際していないはず。
YouTubeで「カエル足ダイエット」
しかしさ~、この体がちょっとやそっとでああなるものでもないから、それはひとまず置いておくとして先週から私が始めたのが「カエル足ダイエット」よ。YouTube見ながら、カエル足にして動かすだけでダイエットになるというもので、私がやっているのは入門コースなんだけど、3日目にはお尻から太ももにかけて重だるくなり、実は1日、休んだの。
階段を登るときに「お尻が働く」
日頃の運動不足もあってか、よほど疲れたのね。気がつくと駅前のマッサージ店に吸い込まれていたわよ。で、再び『かえる足』をやりだして3日めの日曜日、日比谷線に乗って上野に買い物に行ったんだわ。
ホームに降りたら、目の前にで~んと階段。これまでの私なら「ムリ!」と、私じゃない、私の足が叫び声を上げてたの。その声を無視して一段一段登ろうとすると、足が先に出てお尻が置いてかれるんだよ。
階段に足をかけたときから感触が違う
で、必死の形相の私の横を、かっかっかと若者が駆け上がっていく。これってけっこうな敗北感よ。それがね、聞いて! 階段に足をかけたときから感触が違うの。お尻が落ちないのよ。この階段を休まず最後まで登りきったのよ。「わずか1週間で?」と疑う? だよね。私だって驚いたもの。試しに翌々日にいつも乗るエレベーターをやめて階段で上ったら、やっぱりそう。お尻の筋肉が働いて、下から押しあげられるみたいなの。
カエル足をするとお尻の筋肉がパンパンに張って、きついといえばきついんだけど、インストラクター氏から「サボりながらしてくださいね~」と言われると、もうちょっと頑張ってみようかなと思えるんだよね。それで階段上りがラクにできるようになったとしたら、キャ〜ッ、いつか階段を駆け上がれるかも!
40秒やって10秒休む全コース10分の地味なエクササイズだと思って始めたけど、いやいやいや、なかなかどうして侮れないわ。これで私も夏木マリさんになれるかしら。
オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。『女性セブン』での体当たり取材が人気のライター。同誌で、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。一昨年、7か月で11kgの減量を達成。
●【252】“とんかつ沼”にハマった末に「カエル足ダイエット」