「好きにしていいよ」というわりに、いざとなるとアレコレ詮索されてうざい! そんな夫の態度にイラッとすることありますよね?
今回はそんな妻の悩みをベストセラー『夫のトリセツ』(講談社)の著者で脳科学・人工知能(AI)研究者の黒川伊保子さんに解決してもらいました。
【相談】出かけるときにいちいち文句をいって快く送り出さない夫に腹が立つ
「うちの夫は、口では『休日は好きに出かけていいよ』というくせに、実際に出かけるとなると『俺のご飯、どうするの?』『コロナなのに出かけるの?』などいちいち文句をいってきます。たまに外出するときくらい快く送り出してくれればいいのにと思います。夫の不機嫌な態度にはどう対応したらいいのでしょうか」(55歳・主婦)
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男性脳はスペックが埋まると安心する癖がある
男性が「ご飯、どうするの?」「コロナなのに出かけるの?」と聞いてくるのは、ひとり残されるのがさみしくて不機嫌になることもあるかもしれませんが、たいていの場合はスペック確認です。
出かけにいろいろと言われると、「好きに出かけていいっていったくせに。どこに行こうと関係ないでしょう」と妻は思いますが、夫は文句をいっているわけじゃない。
スペックを確認して安心したいだけ。
例えば、妻が「デパートに行ってくる」というと、夫は「どこのデパート?」と聞いてきます。妻からすると「どこのデパートか、あなたに関係ある?」と思いますが、「日本橋の高島屋よ」と答えると、夫はその距離感を脳で測って安心します。
夫のスペック確認に協力してあげて
男性は、脳の中にスペックを入れる場所があって、そこが埋まっていると安心する癖があるのです。
だから、答えはウソでもいいんです(笑い)。本当は三越だったとしても、夫は場所を特定して偵察に行くわけじゃないので。
「俺のご飯どうするの?」というのも、「帰ってから作るわ」でも「美味しいもの買ってくるから大丈夫よ」でもいいんです。もし美味しいものが買えなかったとしても「買えなかったの。ごめん。ラーメン食べといて」でも構わない。
女性にしたらフラリと出かけたいものですが、出かけるときの夫のスペック確認に協力してあげてください。実際はフラリと出かけてもいいのでね。
面倒でもホウレンソウ(連絡、報告、相談)
そうはいっても、あれこれいわれると嫌な気分になりますよね。
私も仕事に行くのに、夫から「今日、どこ行くの?」と聞かれて、「午前中は●●で打ち合わせ」と答えたら、「午後は?」と聞いてくる。
「どうしてあなたにいちいちいわなくちゃいけないの?」と聞いたら、夫は「別に」と。
だからいちいち本当のことをいわずに、「会社にいる」といっておくことにしました。
ところが、出張先でうっかりお土産なんか買ってしまうと、「今日は会社にいるんじゃなかったの?」と聞かれたり(笑い)。
あるとき、「今日は午前中に原稿書いて、お昼に●●食べて、午後は●●に行くわ」と細かくいったら、午後になって夫が「今日の午後は●●に行くっていってたけど、まだ出ないの?」といわれて、うるさいな〜と思いました。
予定が変わっても気にしなくていい
どうして夫のスペック確認のために私が頑張らなきゃいけないの!ってことはありますが、「何時に帰る」「お弁当買ってくる」など連絡、報告、相談だけはするようにしています。
休日に出かけるときに「7時に帰ってくるね」といっちゃうと、それがイレギュラーになったときに謝らないといけないからいいたくないんだけど、予定が変わってものほほんとしていればいいんです。
「地下鉄が止まっちゃって大変だったわ〜」とか、「カフェで隣にかわいい犬がいて見とれてたら1時間も経っちゃって〜」とかね。夫は「休日は好きに出かけていいよ」といっているのですから、別に謝らなくたっていいんです。夫にとって大事なのは、最初のスペック確認なので。
ただし、100回のうち100回イレギュラーだとスペック確認の意味がなくなってしまうので、ある程度は守ってあげましょう。
妻が質問するのは信頼していないとき。だから夫の質問で嫌な気分に
では、女性は男性に根掘り葉堀り聞かれると、どうして嫌な気持ちになるのでしょう?
例えば、妻が夫の浮気を疑うとき、妻はあれこれ聞きますよね。
女性が男性にそうするときはたいてい嫌な気分なので、自分が同じようにされると「信頼されていないんだな」と感じ嫌な気分になってしまうのです。
夫の「どこ行くの?」に深い意味はない
例えば、妻が夫に「どこ行くの?」と聞いたら「あなた、出かける気なの?」、「なんで買ったの」は「こんなくだらないものどうして買ったの?」といっているのと一緒。
でも男性の「どこ行くの?」は、は単にスペック確認だから本当にどこに行くのか聞いているだけなのです。
夫の“文句”はただのスペック確認。深読みせずに受け止めて
女性は男性の無邪気な言葉を深読みしがちなので、それをやめるだけでも夫に対する気持ちが変わると思いますよ。
例えば「おかず、これだけ?」って言っているのも、90%の夫は文句を言っているわけじゃない。「今日はこれでご飯を1杯食べればいいだ。この後、肉が出てきてもうご飯食べ終わっちゃったなんてことにならないよね?」と確認しているだけ。
残りの10%くらいは皮肉でいう人もいますが、ほとんどの人はスペック確認なので深読みしないと決めるとラクです。
夫が妻にあれこれ聞いてくるのは、ただのスペック確認。面倒だと思う気持ちはよくわかりますが、うまく付き合ってあげてくださいね。
◆教えてくれたのは:脳科学・人工知能(AI)研究者・黒川伊保子さん
株式会社 感性リサーチ代表取締役社長。人工知能研究者、随筆家、日本ネーミング協会理事、日本文藝家協会会員。人工知能(自然言語解析、ブレイン・サイバネティクス)、コミュニケーション・サイエンス、ネーミング分析が専門。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳と言葉の研究を始める。1991年には、当時の大型機では世界初と言われたコンピューターの日本語対話に成功。このとき、対話文脈に男女の違いがあることを発見。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。2018年には『妻のトリセツ』(講談社)がベストセラーに。以後、『夫のトリセツ』(講談社)、『娘のトリセツ』(小学館)、『息子のトリセツ』(扶桑社)など数多くのトリセツシリーズを出版。http://ihoko.com/
構成/青山貴子
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