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脱ぎっぱなしが当たり前のだらしない夫を改善する方法とは?『夫のトリセツ』著者が解説

何度言っても、脱いだものを洗濯機に入れない、出したものは片付けない夫…イライラしている女性も多いかもしれません。

夫にイライラしないためのコツとは?(Ph/GettyImages)
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いつもだらしない夫、いったいどうしたら改善できるのでしょうか?ベストセラー『夫のトリセツ』(講談社)の著者で脳科学・人工知能(AI)研究者の黒川伊保子さんに教えてもらいました。

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【相談】脱ぎっぱなし、出しっぱなしのだらしない夫にうんざり

「うちの夫はだらしなく、『脱いだものは洗濯機に入れて』と何度言ってもその辺に脱ぎっぱなし、『出したものは元の場所に戻して』と言っても出しっぱなしです。50歳を過ぎた男性に、こんな小言をいうのもうんざりしますが、だらしないのは性格だからもう直らないとあきらめた方がいいでしょうか」(56歳・主婦)

「男性脳」はゴールしか見えない?

以前、ある女性誌で、「夫のイラつく行動」というアンケートを取ったら、「ぱなし」がダントツでした。置きっぱなし、出しっぱなし、脱ぎっぱなし。多くの女性に共通の悩みなのです。

先日も、幼い3人の子を持つ女性が、憤慨していました。

リビングでゴロゴロしていた夫に「早くお風呂入って」と言ったら、さっき脱いだトレーナーをまたぎこしていこうとする。「それ持って行ってよ」と声をかけたら、トレーナーを持ったのはいいけれど、それに重ねるように置いてあった子どもの服を、見事に置きざりに。あまりにも思いやりがない行為に絶望し、「もうこんな夫とは暮らせない!」と思ったと。

たしかに、3人の幼子を育てている妻からしたら、もう、いっぱいいっぱい。トレーナーひとつ拾う余裕もなくて、悲鳴のような気持ちで「それ持って行ってよ」と言ったのに、平気で、子どもの服を置き去りにして行くなんて、ひどすぎる。家事参加意識ゼロ! 育児参加意識ゼロ! 思いやりマイナス! そう感じて当然ですよね。

たしかに、「子どもの服が目に入ったのに、めんどくさくて、わざと置き去りにしたとすれば」、ひどい夫だと思います。

でもね、そこが誤解なんです。

実は、男性脳には、脇にある子どもの服が見えていないのです。知ってて無視したのではなく、知らなかったわけ。

例えば、トイレに行くのなら、飲み終わったビールのコップをついでに片づけてくれればいいのに、と妻は思いますよね。でも、「トイレ!」と思って立ち上がった男性には、コップが見えないのです。

これらは、「男性脳」の基本機能なので、もう許すしかありません。

「女性脳」はついでに何かをやるのが得意?

「女性脳」は、身の回りを綿密に見るようにチューニングされているので、あらゆるものを見逃しません。

例えば、テレビCMの間にトイレに行くときも、テーブルの使用済みのコップを片付けて、トイレから出たときには、玄関に干してあった子供の傘が乾いていたらクルクルっとしまい、ついでに消臭剤の減り具合も確認する。それだけやっても、キッチンに寄って台拭きを持ってくることを忘れず、テーブルの輪じみを拭く。

これだけのことを、家族への愛と、家への愛着で、自然にやってのけるわけ。

掃除する女性
女性脳は家事をするのが得意?(Ph/GettyImages)
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ところが、「男性脳」は真逆、目標物を決めたら、目の前のものは見えないようにチューニングされています。ゴール指向と言います。

太古の昔から刈りをしてきた男性は、獲物(ゴール)を決めたら、その獲物しか見えないほうが有利です。目の前にバラが咲いていても、イチゴがなっていても、気を取られるわけにはいかないからです。

そのため、「お風呂に入って」と言われたら、「お風呂」に全神経を集中して、目の前のものにほとんど行きません。脱ぎ捨てた服を、障害物だと認識してまたぐことはしても、「洗濯機に入れるべき洗濯物」だなんて思いもよらないのです。

優秀な「男性脳」ほどその傾向があるので、優秀なビジネスマンは家庭ではけっこう奥さんに手間をかけている人も多いんです。

男女は同じものでも役割が違って見える

そして、面白いことに男性は、道具なんかはけっこうきれいに片付けるもの。並べる角度まで揃えちゃったりして。

男性脳は、定番に強いので、定番のものを、定位置へ片づけるのはお得意。車の整備も、バイクの整備もできるのに、脱ぎ捨てた服や使用済みのコップなどを「都度、臨機応変に」片づけていくのが、大の苦手なのです。

そこが「男性脳」「女性脳」の違うところ。男女では、得手不得手が真逆の関係にあるのです。

夫の「しっぱなし」は、システムを作って対処する

脳の違いはどうすることもできないので、システムで何とかしましょう。

我が家は、「ぱなし」キングである息子のために、玄関から入って正面に彼専用のウォークインクローゼットを作りました。まんまと、クローゼットの前で、カバンを置き、服を脱いでくれるので、それをクローゼットに投げ入れれば、片づけ終了。

万が一、リビングに置きっぱなしにしたときのために、リビングには、彼専用のかごが。家族は、「片づけてよ」なんて言わずに、さっさとかごに入れるだけ。

工夫さえすれば、腹が立たずに、付き合えるものですよ。そもそも、悪気がないことが腹に落ちれば、かなりストレスは軽減できるはずです。

小言やグチは何の成果も生まない

「あなたってだらしない人ね!」と言っても、夫にはどうしようもできないので、結果、「わかってくれない」という絶望だけが残ります。脳の基本機能である以上、小言やグチは意味が言っても仕方がないのです。

褒めて定着させるのがカギ

どうしても、「これだけは」というピンポイントがあるのなら、根気よくお願いし、褒めて定着させましょう。臨機応変は無理でも、「湯上りのビールのコップだけは片づける」ような定番ならば、しつけることはできます。

50代の夫婦
褒めて定着させるのがカギ(Ph/GettyImages)
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「ありがとう」は、男性脳にとって、ゴール確認の合図。ゴール指向の男性脳にとって、女性の想像以上に気持ちいいものです。

定番タスクを決め、それをお願いしてやってくれたら、「ありがとう。助かったわ」とゴールを積み重ねていくと、そのうちに言われなくてもやるようになります。