冬に向けてやっておきたいことのひとつが、エアコンのお手入れ。掃除機や水洗いでホコリを落とすフィルター掃除のほか、室内機の内部につまった粘着性のあるカビや油汚れなど、業者に頼みたい本格的なお手入れもあるでしょう。
ただ、こうしたエアコンのお手入れも最新機種に買い替えると、ゼロにはできないものの、頻度が激減します。家電ライターの田中真紀子さんが解説します。
エアコンのお手入れをしないとどうなる?
そもそも、エアコンの内部をお手入れしないでいると、どうなるのでしょうか?
「エアコンは部屋の空気を吸い、内部にある『熱交換器』で冷やしたり温めたりして温度調節を行い、冷風や温風を吹き出します。その際に、部屋の空気と一緒にホコリも吸い込んでしまうんですね。そこでフィルターでホコリを取り除いているわけですが、当然ながらフィルターのお手入れを怠ると目づまりを起こして風が充分に行き届かなくなり、冷暖房効率がダウン。
またエアコン内部は冷房や除湿運転によって結露しやすく、そこにホコリが付着するとカビが繁殖します。それがエアコンの風で部屋中にまき散らされ、ニオイの原因にもなってしまうのです」(田中さん・以下同)
つまり、お手入れをサボるとニオイで不快になるだけでなく、カビによる健康への影響も懸念されるということ。
「さらに、昨年からのコロナ禍で空気浄化への関心が高まり、業者のエアコンクリーニングや、自動お手入れ機能が搭載されたエアコンへのニーズも高まっています。メーカーもその声に応え、この秋発売されるエアコンは、自動的にお手入れをしてくれる機能が進化しているのです」
ミドルモデルにも搭載されている「自動フィルターお掃除」と「内部クリーン」
エアコンのお手入れ機能で多いのは、主に3種類。
「ひとつは、フィルターについたホコリを自動で落としてくれる『フィルター自動お掃除』。最近では、除去後にダストボックスに溜まったホコリをそのまま掃除機で吸い取りやすくした機種や、ホースを経由してホコリを屋外に自動排出する機種など、さらにお手入れの手間を軽減しているものも。なかなかお手入れができない人にはありがたい機能です。
次に、冷房や除湿などの運転後にエアコン内部を乾燥させて湿気を取ることで、カビの繁殖を抑える『内部クリーン』。冷房などを切ったあとに自動で運転してくれるタイプ、手動で運転するタイプがあります」
「フィルター自動お掃除」と「内部クリーン」は、各メーカーの上位モデルはもちろん、ここ数年では、ミドルモデルにも搭載されていることが多いといいます。
「熱交換器の洗浄」があればエアコンクリーニングの頻度も激減
そしてもう一つが、ホコリが吸着しやすい熱交換器を清潔に保つ「熱交換器洗浄」。上位モデルに多く、いま特に注目すべき機能だそう。
「空気の温度調節をしてくれる重要な部分で、奥の方にあるため通常、人の手では届かないのが、熱交換器。清潔に保つには、熱交換器自体を結露水で洗い流す洗浄方式が主流ですが、中には結露水を凍結させて一気に解凍することで、こびりついた汚れを洗い流すスゴ腕の機種もあります。
この機能があれば1件約1万円以上するエアコンクリーニングを依頼する頻度も減り、冷暖房効率もUP。初期投資は高くても長い目で見ればコスパは良いでしょう」
中でも、今年10月に発売される以下の新モデルは、内部洗浄の機能が秀逸。もちろん、どちらもフィルター自動掃除、内部クリーンは搭載されています。
【1】日立ジョンソンコントロールズ空調『白くまくん』プレミアムXシリーズ
「加熱→凍結→洗浄」でエアコン内部の油汚れを引き剥がす。
リビングダイニングで揚げ物やグリルなどの油料理をよく行う家庭には、日立のエアコン『白くまくん』プレミアムXシリーズがおすすめ。
「油を含んだ煙は、他の空気とともにエアコン内部に吸い込まれ、ホコリなどを吸着。エアコン内部のガンコな油汚れの原因となります。そこに着目したのが、本モデルの『凍結洗浄ヒートプラス』。まず、熱交換器を高温加熱することでこびりついた油汚れをドロッと溶かして剥がします。そのあと、凍らせて付着したホコリ、菌、カビをしっかりキャッチ。そして一気に溶かして洗い流すという工程です」
通常、内部洗浄は単独運転。稼働中は一時的に気温が上がり室内が暑くなることもあるため、冷暖房運転の必要がない、不在時に稼働します。その点、この凍結洗浄ヒートプラスは、エアコンに搭載されたAIが自動でタイミングを見計らってくれるのもありがたいポイント。
「『くらしカメラ AI』が部屋の状況を認識して、エアコン内部の汚れ具合を予測します。人が判断しなくても適切なタイミングで、しかも人がいない時に洗浄してくれる優れものなのです」
【2】ダイキン『うるさらX』
暖房シーズン中でも“加湿水”で熱交換器を洗浄。
熱交換器の洗浄は、エアコンを駆使した夏と冬のあと、できれば年間通して行いたい。そんなニーズに応えたモデルが、こちら。
「一般的に熱交換器の洗浄は、冷房時や除湿時に発生する結露水を利用するため、夏の冷房シーズンに自動的に行われます。そんな中、ダイキンは業界に先駆けて、給水せずに加湿できる機能を採用し、冬の乾燥しがちな室内環境で洗浄することが可能になりました。
加湿された空気を吸い込み、水分を結露させて水を作ることで、汚れを洗い落とすのです。内部に結露が出てカビが生えやすい夏はもちろん、暖房を駆使することが多い冬の間もしっかり自動洗浄し、清潔を保ってくれます」
健康のためにも常にキレイな空気を保ちたい、だけどコマメなお手入れや業者を呼ぶクリニーニングはなかなか…。そんな人にこそ、おすすめのエアコンといえるでしょう。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん
白物家電・美容家電を専門とするライター。雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://ameblo.jp/makiko-tanaka89/
取材・文/桜田容子
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