家の中にあふれているものを片付けるとき、ものを捨てなきゃ…と考える人は多いでしょう。でも、幸せ住空間セラピストで家事効率化支援アドバイザーの古堅純子さんの提案する片付けは、今までの常識をくつがえすものばかり。重い腰をあげるまでに時間がかかるという人こそ、これまで5000軒以上の家でサービスを重ねてきた古堅さんの片付け術を学んで、家の中の景色を変えてみませんか?
* * *
パブリックスペースからまず片付ける
古堅式の考え方では、片付けたい場所からものをなくして、見える場所をすっきりとさせる。古堅さんは、このきれいな状態のことを“更地”と呼んでいます。
「私はパブリックスペースとプライベートスペースを分けて考えて、パブリックスペースを優先して更地にします。ものがあふれた中で過ごす方が居心地がいいと言う人もいるけれど、そういう人とそうじゃない人が一緒に暮らしているとトラブルの元になるからです。
まずはリビングなどのパブリックスペースから更地にしていきましょう。一つの場所の景色が変わり、整ったあるべき姿になると、他の場所が散らかっているのが気になってくるので、自然と片付けたいと思う気持ちになっていきますよ」(古堅さん・以下同)
片付けのスタートは“捨てる”ではなく“寄せる”
「目に見える景色を一回更地にすることが大事。散らかったものが目に見えているかいないかで、意識は全然変わるので」と語る古堅さん。そのために必要なのは、捨てることではなく、寄せることだといいます。
「本当に捨てるって大変。それに、実は人はこれまでに結構ものを捨てています。片付けに伺ったお家でも『これでも結構捨てたんです』ってよく言われるけれど、家の中は全然片付いてないんです。だから、捨てなくてもいいから、とりあえず片付けようと提案します」
その方法は、物置部屋をひとつ作って一度そこに寄せるということ。「一気にやろうと思うとなかなかしんどいですよ」と古堅さんが言うように、まずはリビング、次はダイニングと、見えるところからひとつずつ整えていくのが片付けを成功させるコツ。
物置部屋に“寄せる”ときのポイント
「物置部屋を作って一旦暫定でリビングダイニングで使わないものを寄せておきます。パブリックスペースがきれいになった後で、必要かそうでないかを考えて、必要だと思うものは秩序を作って寄せるか、その家の“僻地”(あまり使われていない部屋)の収納に“埋めます”。そうやって段階的に考えることによって、とりあえず、物置部屋以外を片付けることができます」
物置部屋に寄せるときには、秩序をもたせることがポイント。
「一応でいいのでカテゴリー別に箱などに入れておきましょう。バラバラだったものが一か所にまとまると、こんなにあったんだ!と、気づくこともあります。すると、こんなにいらないかなって自分の中で腑に落ちて、捨てられるようになったり、それ以上増やさなくなるんです」
物置部屋の片付け方
物置部屋を作るときは、カテゴリー別に寄せることで秩序を作りましょう。
「秩序がないと、どこから片付けていいか見えなくてやる気もなくなってしまいますが、箱に分けて可視化してあれば、今日はこれをやろう、とひとつずつ手を付けることができるので、片付けに対する精神的な負担を減らすことができます」
思い出のものなど、明らかに使用頻度が低いものは部屋の奥やあまり使わない収納に“埋める”。使うかもしれないと思いながら現状うまく活用できていないものは、比較的取り出しやすい場所に寄せることで使用機会も増えるはず。物置部屋も使い方次第で機能的に使うことができるのです。
物置部屋とは言っても、それまでの散らかった状態よりは、見た目の景色が変わり、ものの場所も把握できているので、きれいな状態をキープしながら使うことができるようになるのもメリットのひとつです。
1部屋をセパレートして使うのも一手
ちなみに、部屋数が少なく物置部屋が作れない場合は、1部屋の半分を物置部屋にするのでもOKとのこと。古堅さんは1部屋をセパレートして使う方法も提案しています。
「部屋が足りないからと、寝室や自室にものをただ詰め込むのはおすすめできませんが、しっかりと境界線を作るだけで、ものの場所が決まるので“無法地帯”になりづらいです。ここは寝る場所、ここは物のスペースと決めて、タンスなどで仕切りを作ってみてください」
この時、気をつけたいのは、動くもの(使うもの)は手前、動かないもの(使わないもの)は奥にしまうことです。