カートに入れてからの“お取り置き”が冷静になるチャンス
以上を踏まえ、橋本さんはネットで買い過ぎないために、次の点を心得るようアドバイスします。
「自分のスマホやPCに表示されたニュースや商品情報などは、誰かが取捨選択して送り込んできた可能性があると認識しましょう。その上で、受け身にならずに、自ら情報を探しに行くことです。例えば前述のAさんの場合、普段自分が見ないノーブランドのショップ情報もあえて探しに行く。
普段目にしない他社商品と見比べて、自分は本当にそのブランドが好きなのか、自身のニーズや意志を確認する。ネット情報の偏りに気をつける。手軽にお金を使い過ぎない。要は、リアルとネットの良さを兼ね備えた行動をとることが大事です」
クローゼットのチェックなどさらに情報収集を
セールの真っ最中で「在庫僅少」状態であったとしても、とりあえずカートに入れたまま、他のサイトでより安く購入できないか、もっといい類似商品がないかを情報収集してみる習慣をつけましょう。クローゼットを開けて似たような服がないか、買おうとしている服は手持ちの服に合わせやすいかの確認も。預貯金残高やカードの利用状況をチェックしたり、家族や友人に相談して客観的な意見をもらったりして、冷静になる方法もあります。
今はネットショッピングで商品をカートに入れ、所定の手続きを踏むと1時間は商品をキープできるサイトや、購入後も1時間以内であればキャンセルができるサイトも増えています。“お取り置き”の制限時間内で、最大限検討と熟考を重ねる。こうした行動を取ることで、浪費しやすいネットショッピングでも、堅実な買い物ができるのです。
◆教えてくれたのは:マーケティング&ブランディング・コンサルタント・橋本之克さん
昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店、日本総合研究所での勤務を経て、現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。著書に、『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』などがある。