これまで23年間、お昼の顔としてさまざまな情報を伝えているテレビ朝日アナウンサーの大下容子さん(51歳)。『大下容子ワイド!スクランブル』の週5日の生放送に備えて、自分と向き合うための1人の時間を大切にしている。そんな大下さんが心がけている「人との距離感」とは――。
「会いたい」という気持ちを大事に
「平日2時間35分の生放送が十分過ぎるほど刺激的なので、普段の生活は穏やかです。自然に自分の中でバランスを取っているのかもしれません」
そう話す大下さん。生放送に備えて夜9時に就寝。朝4時に起きて5時には出社する生活を続けている。それに加えてインドア派でもあるため、仕事を終えた後の日常は静かなもので、会食などで出歩くことはほとんどないという。
あえて「凪」を作る
「人と会う予定があると、数日前から緊張しちゃうんです(笑)。体力がないと自覚しているので体調を整えておかなきゃと思って。予定がないと不安になるという方もたくさんいらっしゃると思いますが、あえて『凪』を作ると自分が本当にやりたいことがムクムクと自然に湧き上がってくるような気がして。
予定をこなすことに忙しいと自分の奥底にある気持ちが見えなくなるというのはあくまで私の経験です。どう生きたいのか、何をやりたいのかは大切だから無理をして予定を入れることがなくなったかもしれません。
もちろん人と会って見聞を広げることも大切です。ひとつでも『聞けてよかった!』という話があるものですよね。この人に会いたいという気持ちが沸き上がってきたらその気持ちを大事にして、そのことを素直に伝えて会えればいいなと思います」
“幻の川柳”にしたためたコロナ元年の思い
そんな「会いたい人に会う」という普通のことができなくなり、日常が一変したのが、コロナ禍だ。
<日常が 奇跡と知った 令和2年>――これは大下さんが、全世界が未曽有の新型コロナウイルスに翻弄させられた初めての年の暮れに作った川柳だ。毎日の穏やかな繰り返しが実は奇跡だったと感じた感情をストレートに表現している。
日常が変わってしまったことを実感
「凡庸です(笑)。最初の緊急事態宣言が出た2020年4月初旬、私は日々の生放送がありそれまでと変わりなく出社をしていたので、生活が今までと劇的に変わったという感覚ではなかったんです。でも、ある土曜日の明け方、密にならない時間、近所にウォーキングに出かけたら街には本当に人っ子ひとりいなくて。車も1台も走っていない。真っ赤な朝焼けの空に信号だけが煌々としている。
美しい光景と信じられないくらいシーンとした街になんだか怖くなって歩く気力が失せてすぐに帰宅しました。その時、改めて日常が変わってしまったんだと思いました。
ついこの間までの会社で人と会って雑談していたり、気の置けない仲間とワイワイ食事をしていたことは、実は当たり前のことではない、すごくありがたいことだったんだなって、川柳にしてみたんです。その年末最後の放送で言おうかなと思いましたが、生放送はバタバタするものでお披露目の機会はありませんでした(笑)」