フローリングワイパーは、階段掃除やちょっとした汚れの拭き取り掃除など、掃除機を引っ張り出すまでもないときに活躍します。掃除機の音を出したくないときにも重宝するでしょう。ところが、使い方を間違えると、かえって汚れを広げてしまいかねません。どんな使い方がNGで、どう使うのがOKなのでしょうか?
35年間総合病院の清掃作業や衛生管理に携わってきた経験から掃除の新常識をまとめた『病院清掃35年のプロが教える 最新科学でわかった病気にならない掃除術』(幻冬舎)の著書がある松本忠男さんに教えてもらいました。
フローリングワイパーの正しい使い方【1】シートはまずドライを
まず、フローリングワイパーに使うシートは、ウエットではなくまずドライを使用すべきだと、松本さん。
「ウエットシートの方が、ホコリが取りやすいと思われがちですが、ホコリがある状態で濡れたシートを滑らせると、ホコリをべちゃっとさせたまま広範囲に汚れを塗り広げることになります。そうならないよう、フローリングワイパーはまずドライから始めるべきです。
ドライシートで取り切れない油汚れなどがあるなら、汚れのひどい部分だけを水拭きや洗剤拭きし、最後に乾拭きで仕上げるとよいでしょう」(松本さん・以下同)
フローリングワイパーの正しい使い方【2】一方向にS字型に拭いていく
次に、拭き方のポイントです。ぐるぐると円を描くように動かすのはNG。
「正しい方法は、ワイパーのヘッド部分の一方の側面が、常に進行方向に対して同じ向きになるように動かすことです。壁の近くまで動かしたら、ヘッドを180度回転させ、先ほどとは逆向きに拭いていきます。これを『S字ストローク』と呼びます」
ヘッドを回転せずに後ろに引き返すのはNG
ヘッドを回転せずに後ろ向きに引き返してしまうのは、アウト。せっかく集めた汚れを置いてきぼりにしたまま掃除を進めてしまうことになります。
「もしS字ストロークが難しければ、ヘッドを180度回転させてから元の位置に戻しましょう。そしてワイパーの幅の分だけ横に移動して、再度、一方向拭きします。また壁まで達したら、再び元の位置に戻り、再度一方拭き。これを繰り返して全体を仕上げます。ちなみに、動かし方は『ゆっくり静かに』がポイントです。ホコリの舞い上がりを最小限に抑えるためです」
S字ストロークで動かしている最中に誰かに呼び掛けられ、手を止めた。いざ再開しようとしたとき、どちらが前方向だったわからなくなった――。そんなときの目印に、ヘッドの前部分にシールを貼るのもおすすめです。
フローリングワイパーの正しい使い方【3】シートは裏返さない
節約のためにと、フローリングワイパーのシートを裏返して使っている人も多いでしょう。ですが、これも厳禁。
「理由は、裏返した瞬間に、集めた汚染物質が飛び散ってしまうのが一つ。裏返した拍子にホコリが舞い降りたり手が汚れたりした経験は、誰もがあるのではないでしょうか。
もう一つは、集めた汚れでシートに凹凸ができてしまい、汚れがきちんと拭き取れず効率が下がるからです。正しい使い方で効率よく、短時間できちんと汚れの量を減らす。その方が、トータルで見たときに『もったいない』とはなりません」