舌触りがねっとりと濃厚でクリーミーな味わいが人気のアボカド。でも、黒く硬い皮におおわれていて、おいしいものを見極めるのが難しいですよね。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから選ぶときのコツや、アボカドの栄養について教えてもらいました。
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おいしいアボカド選びのポイント
アボカドは食べるタイミングによって選び方が変わるので、そのポイントを押さえておきましょう。
アボカドを選ぶコツは表面の色とへた
熟しても皮が緑のままの品種もあるのですが、一般に流通しているアボカドのほとんどはハス種という品種で、これは食べごろになると皮の色が黒くなります。
熟していく過程で皮の表面が薄い緑色→濃い緑色→黒と変色していきます。なので、すぐに食べるなら黒っぽい色、2~3日後に食べるなら濃い緑色、それ以上保存したい場合は薄い緑色を選ぶといいでしょう。
へたの周辺もチェック
色以外の見分けのポイントは、軽く握ったときに柔らかいかどうか。特にヘタの反対側の丸い方を触って適度な弾力があるものは熟していると言われるので、買ってすぐに食べるときはチェックしてみるといいかもしれません。
また、へたと外皮との間に隙間があるものも食べごろです。未熟なアボカドは水分が豊富なため、外皮にハリがあり、へたが外皮にしっかりついています。熟してくると、水分が少なくなり外皮にハリがなくなり、へたと外皮との間に隙間ができるのです。
保存期間が長くなりそうなときは、へたが外皮にしっかりついているものを選びましょう。
アボカドの栄養価は優秀
アボカドはカロリーが高いものの栄養豊富なので、日々の食事にうまく取り入れてみてください。
カロリーが高いけれど糖質は低め
アボカドはカロリーが高く、1/2個(約100g)あたり178kcalあります。ちなみにご飯100gのカロリーが156kcalなので、それよりも高いです。(出典:日本食品標準成分表2020年版〈八訂〉)
アボカドは可食部の約2割が脂肪分のためカロリーが高いのですが、その脂肪分の8割は一価不飽和脂肪酸。これは悪玉コレステロールを減らし血液をサラサラにするため、動脈硬化の予防も期待できる良質な脂肪分です。ちなみに、オリーブオイルにも含まれている脂肪酸です。
一方で、アボカドの糖質は100gあたり0.8gとかなり少なめ。例えば、ダイエット中でも良質な脂肪分は体に欠かせないので、糖質制限中の食事などにも適度に取り入れることをおすすめします。
アボカドに含まれる豊富な栄養素
アボカドは生食の果実(食品成分表で野菜ではなく果実に分類)で栄養価No.1としてギネス認定されているのをご存知ですか?
例えば、肌を乾燥から守るセラミドを作ってくれるリノール酸という必須脂肪酸は、アボカド半個で1日の必要量を十分摂取することができます。
また、アルコールやニコチンなど有害物質の解毒作用を促進し、肝機能の低下に役立つグルタチオンのほか、健康な皮膚を作るビタミンB2、ナイアシン、さらにがん予防や抗酸化作用が期待できるビタミンEも多く含まれています。
さらに、余分な塩分を排出してくれるカリウムも含むので、高血圧予防にも期待が持てます。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ