
身近なフルーツのひとつであるバナナ。気付けば真っ黒になってしまった、なんてこともありますが、保存の方法を工夫すれば日持ちもしておいしくいただけるそうです。そこで、正しいバナナの保存の仕方について、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから教えてもらいました。
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常温・冷蔵・冷凍、それぞれの保存のコツ
家族が食べると思ってバナナを買ってきたのに誰も手を付けず、すぐに食べないと腐ってしまうというときは冷蔵庫に入れたり、冷凍したりして保存をしましょう。
バナナの常温保存はバナナハンガーにかけて
バナナは追熟するフルーツです。買ってから何日か経つと、シュガースポット(黒い斑点)が出て、甘みや固さが変わります。ちなみに室温15~20度が追熟しやすい温度です。

常温で保存するときは、グッズを使うのがおすすめです。もし持っていれば、バナナをひっかけるバナナハンガーにかけましょう。そのまま置いておくと、重みがかかっている部分が傷みやすくなるので、バナナハンガーなどを使って実の部分に圧がかからないように保存することをおすすめします。
1本ずつラップにくるんで冷蔵庫保存

さらに長持ちさせたいなら、茎の部分から1本1本分け、ラップで包んで、冷蔵庫に入れましょう。このとき、うっかり茎が取れたりして中の実が空気に触れることのないように気をつけてください。皮がむけてしまったものがあれば、それから優先的に食べましょう。
なるべく酸素に触れさせず、14℃以下で保存することで追熟が防げます。
冷凍のときはカットすると使いやすい
冷凍保存をするとさらに長持ちさせることができます。皮をむいて1本まるごとラップに包む人もいますが、これだとカチカチになって食べづらいですよね。

解凍してバナナケーキなどを作るのであれば問題ないですが、冷凍バナナとして食べるときやスムージーにしたいときには、冷凍前にカットしておくのがおすすめです。一口大にカットしたバナナをフリーザーバッグに入れて冷凍します。平たく整えておけば、使いたい分だけ取り出すことができます。
バナナのトリビア
日本で売られているバナナのほとんどはフィリピン産。ほかにもエクアドル、台湾などで育てられたものが主で、基本的には輸入品なんです。
輸入バナナは日本で黄色に熟されている
バナナは輸入される段階では緑色なんです。日本に着いてから、熟成されて黄色になります。室(むろ)と呼ばれるバナナ専用の施設に運ばれて、温度管理やエチレンガスの投入を行い、追熟させていきます。
スーパーや八百屋さんでたまに見かけるバナナの箱のふたや側面が密封されないように穴が開いているのは、追熟の際にバナナの箱の中までエチレンガスを循環させるためなのだと輸入業者の人から聞きました。

バナナが緑色で輸入される理由
なぜバナナが緑色ときに輸入されるかというと、熟した実につく、日本にはいない害虫がバナナと一緒に国内に入ってくるのを防ぐため。その害虫は、未成熟の緑色の実にはつかないんだそうです。日本の生物の生態系を守るために、法律で定められていると教えてもらいました。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ