健康・医療

青学大フィジカルトレーナーが教えるダイエットの新常識「最寄り駅より1駅遠くから歩く」ではやせない?

有酸素運動の脂肪燃焼量が多いのは、どっち?

脂肪を燃焼させるには、20分以上の有酸素運動が必要とされてきました。そんななか、中野さんは「最近では、体脂肪は運動のスタート時から燃焼しているというのが常識になっています」と言います。では、次のうち、脂肪燃焼量の多い運動方法はどちらでしょうか。

脂肪が燃焼され始めるまでの時間は?(Ph/Getty Images)
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A「20分の運動を続けて1回」、B「10分の運動を3回」

「正解はB『10分の運動を3回』です。『脂肪を燃やすには20分以上の有酸素運動が必要』との考えは、古いです。近年の研究によると、20分間の連続した運動と10分間の運動2回とで比較すると、体脂肪の燃焼効果にはほとんど差がないことがわかりました」

一体、どういうことでしょうか。

「これまでは、運動を始めるとまず体内の『糖』が主なエネルギー源として使われ、20分後に『体脂肪』に変わる、と考えられていました。しかし、実際には私たちは起き上がった瞬間から体を動かしています。つまり、起床時から『糖』がエネルギー源として使われているので、20分経たずとも体脂肪は燃える、と考えられるようになりました」

つまり、連続して運動しても、複数回に分けても、運動の内容や合計時間が同じであれば効果は同じであるということ。

「1回10分の習慣を2か月も続ければ、体型や体の調子の変化を明らかに感じることができます。長い時間、続けて運動するのが苦手な人や、忙しくて運動に長時間割く時間のない人にとっては嬉しい話ですよね。効果を感じられる頃には物足りなくなり、『もっと歩きたい』と、積極的に動きたい気持ちになっていますよ」

通勤・通学、日常の買い物時間などを活用し、「運動の強度が充分にあるか」のポイントを意識すれば、運動のためにまとまった時間を捻出する必要はないようです。運動習慣のない人や、毎日を忙しく送る人には朗報と言えるでしょう。

短い時間でも、習慣化すれば効果はあります(Ph/Getty Images)
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◆教えてくれたのは:フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さん

フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一さん
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PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。数多くのトップアスリートやチームのトレーナーを歴任。卓球の福原愛さんやバドミントンのフジカキペア(藤井瑞希さん・垣岩令佳さん)を担当した他、マラソンの神野大地選手の個人トレーナーとして広く知られる。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化も担当。近年は超高齢化社会における健康寿命延伸のための啓蒙活動にも注力している。主な著書に『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)、『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)などベストセラー多数。https://twitter.com/nakanojames?lang=ja

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