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“アフロ記者”稲垣えみ子さんにとってピアノは「老い方のレッスン」、その真意とは?

本のタイトルを『老後とピアノ』にした理由

世の中には2つの世界があるのではないか、と稲垣さんは語る。

稲垣えみ子さん
ピアノは、成果や効率とは全然関係ないところに希望を感じさせてくれた
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「1つは目標を持って、それに向けて効率的に練習をしたり、手間も時間もかけずに最短で達成するのがいいという世界。仕事も趣味も、いかに無駄を省いて生産性を上げるかに注目が集まっているような気がします。

でも、正反対の世界もある。本のタイトルを『老後とピアノ』にした理由もそこにあります。老いていくということは、成果主義や効率主義でいえば、どんどん負けていくことですよね。昨日まで出せていた結果もだんだん出せなくなり、体が動かなくなって、死んでいく。だから成果主義、効率主義だけで立ち向かっていこうとしたら、なんの希望もないと思うんですよ。

そういう老いを目前にしたときにピアノに出会って、成果や効率と全然関係ないところに喜びがあった、ということに希望を感じています。私にとってピアノは老い方のレッスンなのかもしれません」

◆フリーランサー・稲垣えみ子さん

フリーランサー・稲垣えみ子さん
フリーランサー・稲垣えみ子さん
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1965年生まれ。愛知県出身。朝日新聞社で論説委員、編集委員などを歴任。2016年に50歳で退社し、フリーランスに。著書に『魂の退社』『寂しい生活』『人生はどこでもドア』『一人飲みで生きていく』など。『もうレシピ本はいらない』で第5回日本レシピ本大賞エッセイ賞を受賞。今年1月、40年ぶりのピアノ体験を綴った『老後とピアノ』(ポプラ社)を出版。

撮影/浅野剛 取材・文/小山内麗香

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