
暖かくなるにつれて目覚めが悪くなるというかたも多いのではないでしょうか。それには、春の気候が関係しているかもしれません。そこで、朝起きづらくなる原因や春の目覚めを改善する食べ物を、あんしん漢方の管理栄養士・小玉奈津実さんに教えてもらいました。
* * *
春、朝起きづらいのは何が原因?
春になると朝の目覚めが悪くなるという季節性の不調は、自律神経の乱れが大きな原因といえます。
自律神経の乱れ
自律神経には活動モードである「交感神経」とリラックスモードである「副交感神経」があり、通常はこの2つがバランスを取りあうことで心身の調子が保たれています。
本来ならば起床時に交感神経が優位になるはずが、自律神経のバランスが乱れによって切り替えがうまくできず副交感神経が優位になることがあります。すると、リラックスモードの状態で起床することになってしまうので、目覚めたときに体がだるく感じると考えられています。

自律神経は季節の影響を受けやすい
自律神経が乱れる原因として気温や気圧の変化があげられます。気温や気圧の変化に対応するために交感神経が活発に働くことで緊張状態が続き、自律神経の乱れを引き起こします。
春は寒暖差や気圧変動が大きい季節なので自律神経が乱れやすく、春になると目覚めが悪くなる要因と考えられているのです。
春の目覚めを改善する食べ物3つ
自律神経の乱れを改善する方法の一つに食習慣があります。そこで効果が期待できる食べ物について、春に旬をむかえるものや、習慣化しやすいものをご紹介します。
カツオ

初鰹として春に旬をむかえるカツオは、トリプトファンを豊富に含んでいます。
トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、自律神経を整える脳内神経物質のセロトニンの材料となります。さらに、カツオはセロトニンの生成に必要な「ビタミンB6」も豊富なので、自律神経を整えるのに役立つ栄養を効率よく摂ることができます。
バナナ

バナナにもトリプトファンやビタミンB6が含まれているので、効率よくセロトニンを増やし、自律神経を整える効果が期待できます。
また、セロトニンは日光を浴びることで活性化されるといわれています。天気のいい日は太陽を浴びながら「朝バナナ」を食べて、1日のいいスタートを切る習慣をつけるのがおすすめです。
たけのこ

自律神経を整えるには、腸内環境を整えることも大切です。「第二の脳」ともいわれる腸は、脳の次に神経細胞が存在している器官で、神経系と密接な関係があります。
そして、腸内環境がいいと副交感神経の働きがよくなり自律神経が整うため、目覚めの改善にもつながると示唆されています。
整腸作用が期待できる栄養素に食物繊維があげられますが、春に旬をむかえるたけのこは食物繊維がとても豊富なので、積極的に食べましょう。
自律神経の乱れには漢方薬もおすすめ
食事に気をつけても朝の起きづらさに悩むようであれば、漢方薬をのむのもおすすめです。
漢方薬は症状の改善だけでなく、心と体のバランスを整えて健康になることを理想としています。自然由来の薬効が体にやさしく働き、自律神経の乱れを改善したり、ストレスに負けない体を作ったりすることで、不調の起こりにくい体質を目指します。

季節の変わり目の不調や自律神経の乱れに対しても、根本的な改善をはかることができる漢方薬を取り入れてみましょう。
自律神経の乱れに悩む方におすすめの漢方薬2つ
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうぼつれいとう)
不安や緊張など神経過敏を抑え、自律神経のバランスを整える漢方薬です。睡眠の質を高める働きがあるので、すっきりとした目覚めが期待できます。
・加味帰脾湯(かみきひとう)
不眠や不安、イライラ、不快な胃腸症状に対して使われる漢方薬です。疲労や季節の変化などによるストレスで低下した消化器の働きを助け、精神症状を緩和させるよう働きかけます。
漢方薬を始めるときの注意点
漢方薬は繰り返す不調に対して、根本からの改善が期待できる薬です。そのため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれたのは:管理栄養士・小玉奈津実さん

管理栄養士資格取得から食に関する職務に携わってきて15年目。サプリメントの商品開発・外食のメニュー開発・高齢者施設の栄養価計算や献立作成などに従事。現在はサプリメントの監修や食に関する記事の執筆、オンライン栄養指導などフリーの管理栄養士として活動中。さらに、オンラインで漢方を購入できる「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)で情報発信もしている。