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松本伊代『センチメンタル・ジャーニー』が“奇跡の1曲”である理由 「歌謡曲と年齢」について考えてみた

松本伊代『センチメンタル・ジャーニー』(1981年)
写真6枚

懐かしの青春ソングにおいて、キーフレーズとして使われてきた「年齢」。15、16、17……と歌われる「青春年齢」は時代や世代を超えて愛されています。尾崎豊、松本伊代、シブがき隊、岩崎宏美……そして安室奈美恵まで。1980〜1990年代のエンタメ事情に詳しいライターの田中稲さんが、歌謡曲と年齢の関係について振り返り、考察します。

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最近「人生100年時代」という文言をよく目にする。1世紀とは、な、長い……!

私はやっと折り返し地点を過ぎたが、私が幼少の頃イメージしていた50代と己の今は違い過ぎる。頼りなすぎる。これでいいのだろうか。

ドラマ『太陽にほえろ!』が放送開始したころ、ボス役の石原裕次郎さんは38才だったそうだ。現在の私より14も下ではないか。人生何回目の38才なのだろう。

ちあきなおみさんが『喝采』でレコード大賞を受賞されたのは25才だ。私の25才といえば仕事でオロオロ失敗しまっていた頃である。

さらに言えば、おとぎ話「一寸法師」のおばあさんは40才の設定。40才で婆扱いって、もう泣くしかないよ!

平均寿命が延びていくことで、年齢イメージは大きく変わっていくが、今も昔も変わらないのが「青春時代」。昭和だって平成だって令和だって悩み苦しみ輝くのが10代から20代前半のアオハル期!

ということで、この青葉が美しい季節、せっかくなので年齢と「青春」の関係性を、歌で見ていこう。音楽は聴くだけで若返る、素晴らしい妙薬でもあるのだから。

男子はZIG ZAG、女子はキラッキラの「17才」

春は暖かな日差しが心地良いが、同時に花粉症に悩まされたりもする季節。思春期もまさにそれで、世の中の色がこれまでと違ってみえる戸惑いとアレルギー反応が歌われる。

早熟な方は13才くらいから大人の態度にイラッと来る。そして15才ごろから行動に出る。尾崎豊さんの『15の夜』はイライラが頂点に達した様子が書かれた名曲だ。

イライラを、大人ではなく同級生の好きな女子にぶつけるという若き男子の典型的な荒ぶりを表現しているのが、シブがき隊の歌である。

『NAI・NAI 16』(ナイナイシックスティーン)——。この表現、見事としかいいようがない。これは恋なの? とか細かいことは考えNAI。勢い以外はなにもNAI。それが16才!

『ZIG ZAGセブンティーン』では、なにも考えず荒ぶって16才を過ごした結果、17才で反動がきて頭でっかちになっていく様子が窺える。妄想パンパンで右往左往するボーイズの様子はまさに「ZIG ZAG」。シブがき隊の楽曲は、「そうそう若さってこんな感じ!」と一言で伝わってきて本当に面白い。

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