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松本伊代『センチメンタル・ジャーニー』が“奇跡の1曲”である理由 「歌謡曲と年齢」について考えてみた

デビュー当時の松本伊代(Ph/SHOGAKUKAN)
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「16才」だから生まれた奇跡の曲

同じ年齢でも、思春期は女子の方が精神年齢は上。ということで次は、16才、17才の女の子の曲を聴いていこう。

『センチメンタル・ジャーニー』は「伊代はまだ16だから」という歌詞と、あどけない松本伊代さんの表情が印象的だが、歌詞全体はなかなか大人っぽい。恋心をはじめて覚えた戸惑い、そして不安。「心が追いつかないけど背伸びしたい感」が味わえる一曲だ。

松本伊代さんのデビューが14才だったら、幼さを加味し、タイトル表記は『せんちめんたる☆じゃあにぃ』になっていたかもしれない。可愛いが、40年愛され続けるロングヒットにはならなかっただろう。

もし15才だったなら「伊代はまだ、じゅうごぉーだーからー」となり、言葉がうまく音符に乗らないので、あの伝説のサビは成立しなかっただろう。

17才でデビューしていたら「伊代はまだ、じゅうしちーだーからー」とリズムは合うが、歌において「17才」は大人への一歩。なので「まだ」という言葉はピンと来ない。「もう」のほうが合うだろう。そうなるとこの歌の世界観は成り立たない。

まさに16才だからこそ生まれた奇跡の名曲なのだ!

ミニスカートがトレードマークだった森高(写真は1992年、Ph/SHOGAKUKAN)
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17才の女の子を描いた名曲といえば、南沙織さん、森高千里さんの歌唱で知られる『17才』だろう。女子にとって17才は、ピュアさと色気両方を兼ね備えた人生で一番眩しい年齢。それを楽しんでいるリア充ぶりを丸ごと感じる1曲だ。

全体からほとばしる生きる喜び! 歌詞には一切「17才」と出てこない。逆にいえば、歌詞で年齢を説明する必要が無いほど、どこを切っても17才な歌である。

中森明菜の『少女A』もヒロインは17才だ。こちらは生命力をコントロールできないツンデレさん。この2人が同じクラスにいたら、案外放課後に恋バナで盛り上がり、仲良くなりそうな気がする。

南沙織の『17才』をカバーして大ヒット(写真は1998年、Ph/SHOGAKUKAN)
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