暖かい季節になり、これからは薄着になる機会が多くなります。春のファッションを楽しみたいけれど、傷跡・ケロイドが気になるという人はケアの方法を見直してみましょう。傷跡・ケロイドの正しいケアや改善を助ける食事、漢方薬について皮膚科医の金城里美さんに教えてもらいました。
* * *
薄着の季節に気になる傷跡・ケロイドの原因
傷が治る過程で、傷が赤みや凹凸(傷跡)として残ったり、肥厚性瘢痕(はんこん)やケロイドと呼ばれる赤く盛り上がって目立つ傷跡になったりすることがあります。
傷跡・ケロイドができる原因は、遺伝子因子的なもの以外に、物理的なものと体質的なものに分けられます。
物理的な原因
傷が深いほど傷跡・ケロイドができやすいです。そのため、小さくても深い傷(ピアス、ニキビ跡、手術の跡、BCGの跡)は傷跡・ケロイドになることがあります。また、傷の治りが遅く、皮膚の深い部分まで炎症が広がることも原因になりえます。さらに、関節や皮膚に緊張がある部分は傷跡に引っ張る力が加わるため、傷跡・ケロイドになりやすいです。
体質的な原因
傷跡・ケロイドは、妊娠によって悪化するといわれています。悪化の原因には、妊娠中に増加する女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が関わっています。
高血圧の場合は動脈硬化が進み、血管抵抗が強くなります。そのため、血管内の血液の流れが速くなり、傷跡・ケロイドを悪化させることがあるといわれています。また、運動や飲酒によって血流が早くなることも同様です。傷跡に力や大きな摩擦が生じることも、傷跡・ケロイドには悪影響です。
そのほか、全身に炎症があると傷跡の炎症が悪化しやすく、傷跡・ケロイドの悪化をまねきます。
加齢で傷跡やケロイドが残りやすくなる?
皮膚は、古い皮膚が垢として剥がれ落ち、新しい皮膚に生まれ変わる「ターンオーバー」を繰り返しています。ターンオーバーが正常に繰り返されれば傷跡は早く治ります。
しかし、年を重ねると皮膚の再生能力が低下して、皮膚のターンオーバーは遅くなります。そのため、加齢によって傷跡やケロイドはどうしても残りやすくなります。また、治りが遅いと傷に二次的な感染が起こったり、皮膚の深い部分まで炎症が広がったりすることで傷跡・ケロイドがさらに治りづらくなることもあるのです。
そのため、傷ができてしまったら放置せず早めに治す努力をすることが大切です。
きれいな皮膚に戻すには?
きれいな皮膚に戻すためには、傷口の炎症を防ぐことと、ターンオーバーを正常化することが大切です。毎日の生活のなかで心がけたいことが3つあります。
傷跡の摩擦を避ける
傷跡を保護するためにテープを貼ることがありますが、何度も貼ったり剥がしたりすると、その刺激で皮膚に炎症が起こることがあります。また、テープのかぶれでも炎症になります。
傷跡にテープを貼ること自体は傷口の保護になり、外からの刺激を避けられるため効果的なので、まずは、市販の傷跡用のテープから自分に合ったかぶれにくいものを選びましょう。さらに、貼る範囲はできるだけ傷跡の範囲にとどめましょう。万が一テープによる皮膚トラブルが起きても、範囲が小さければそれだけ治りも早くなります。
また、テープはゆっくり剥がすと皮膚への刺激を少なくできます。入浴の際にテープを濡らしながら剥がすのもおすすめです。
保湿する
皮膚の乾燥は正常なターンオーバーの妨げになります。乾燥している場合はしっかりと保湿を。保湿剤を塗るときは強くこすりつけると刺激になるので、やさしくおさえるように塗りましょう。
紫外線を避ける
紫外線は皮膚のターンオーバーを妨げるほか、傷跡の色素沈着の原因にもなります。傷跡は日焼けしないように注意しましょう。傷跡を保護するテープを貼ると紫外線予防になります。保護テープを貼らない場合は日焼け止めを塗ることをおすすめします。